枝野幸男代表は11日、衆院予算委員会での質疑終了後に記者団の取材に応じました。
はじめに、全体としての受け止めを問われた枝野代表は、「残念ながら検査の遅れ、あるいは支援の遅れや不十分さ、そのことについての責任の自覚を感じることができなかった。そして、あくまでもこれまでやってきたことの延長線上で『検査の迅速化が進む、そして支援は進む』とおっしゃっていたと受け止めざるを得なかった。国が責任を持って検査を増やしていくという姿勢が乏しい中では、本当に解除をしていいのかどうかという判断すら、客観的で正しいデータなのかという信頼を得ることができない。第2波、第3波を防ぐという意味での、次の感染拡大の予兆を捉えることもできないのは、大変心配だ。支援策についても、結局『さまざまな制度はあるから、それを使え』ということで、そこからこぼれてしまう人に対する問題意識は甚だ乏しかったと言わざるを得ない」と述べました。
内閣が検察幹部の役職定年を延長できるようにする検察庁法改正案の審議を与党が強行したことには、「今、感染症から命と暮らしを守るために、政府も国会も全力を挙げなければならない。そのために、われわれも協力できることは最大限協力するという姿勢でやってきているという状況の中で、国論が2分をする、大きな批判のある、国会の中でも円満に議論が進められる環境が整えられていないという中、どさくさ紛れに進めようとするのは、火事場泥棒と言われても仕方がない状況である。火事場泥棒というのは質疑でも申し上げたが、火事を軽く見ているから、火事についてどうでもいいと思っているから火事場泥棒ができるのであり、まさにこのコロナによる感染症危機について、総理の危機感の欠如がこのことに現れていると思う」とあらためて強く批判。検察庁法改正案は、枝野代表が質疑のなかで「賛成」の意を表明した国家公務員法(国公法)の改正と併せて審議されていることから、採決に至った場合の対応を問われると、「今のような権力分立原則とか、立憲主義・民主主義の基本に関わるような根本的な問題をはらんでいると、99%が良いものであったとしてもなかなか賛成するのは難しいと思っているが、最終的には政調(政務調査会)で賛否については決める。今後の進め方については国対(国会対策委員会)で、与党もこれだけの世論のうねりをしっかりと受けとめて対応していただくことを、特に公明党に期待をしたい」と述べました。
「 #検察庁法改正案に抗議します 」というハッシュタグを付けたツイートを、一般の人々に加え、俳優や作家ら著名人が多数投稿している動きに対しては、「これだけ多くの皆さんが短期間に声を上げられた。国民の世論をしっかりと国会の審議に反映させる、その責任がわれわれ野党にあるし、特に最大野党である私たちの責任であると思っている。この土日からの動きを見て大変重い責任を感じている」とコメントしました。
厚生労働省がこのたび削除した、「37.5度以上の発熱が4日以上続く」としていたPCR検査を受ける際の基準について、加藤厚労大臣が自身の「誤解があった」との発言を「あくまでも目安であって、現場に責任転嫁はしていない」という趣旨の答弁をしたことへの所感を問われると、「『責任転嫁していない』という答え自体が、責任転嫁だと言わざるを得ない。もちろんいろいろな事情と経緯、加藤大臣なりの理屈は知らないわけではない。しかしながら命に関わる問題で、現実にこの基準が基準として扱われた結果として、早期の検査を受けられなかった方が少なからずいるというのは、これは結果的に皆さんもご存知のことだと思っている。やはり、特に命に関わる問題で、政治は結果責任だと言わざるを得ない。いろんな釈明をされるのは、気持ちとしては分からないではないが、少なくとも責任について国民の皆さまにお詫びをする。そこから始まらなければ、今後のことについて信頼することはできない。大変残念に思う」と述べました。