新型コロナウイルス合同対策本部・共同会派税制調査会・財務金融・総務部会合同会議が21日国会内で開かれました。政府は20日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、1人10万円の現金給付を盛り込んだ2020年度(令和2年度)補正予算案の組み替えを閣議決定。会議ではこれを受け、20年度補正予算案の変更点について関係省庁からヒアリング後、役員が説明した共同会派としてまとめた補正予算の組み替え案について協議しました。
冒頭、あいさつに立った対策本部本部長代行の逢坂誠二政務調査会は、休業などで収入が減少した中小の事業者などを支援するため、家賃の支払いを一定期間猶予するための法案を検討していることに言及。「16日の政府・与野党連絡協議会のなかで与党にも提案をし、自民党からは党内の議論があるのでもう少し待ってほしいと言われているが、できれば連休前に国会に出して成立をさせ、事業者の皆さんに安心してもらえるようにやっていかなければいけない」と述べました。
政府は、2020年度(令和2年度)補正予算案の変更点として、減収世帯への30万円支給を撤回し、1人あたり一律10万円の給付「全国すべての人々のへの新たな給付金」(特別定額給付金〈仮称〉)約12兆8303億円を計上、補正予算案の総額は約25兆7千億円で、特別定額給付金(仮称)事業(案)の概要については、「事業の実施主体は市区町村」「実施に要する経費(給付事業費及び事務費)は、国が補助(補助率10/10)」「給付対象者は、基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者」「受給権者は、その者の属する世帯の世帯主である」などと説明。このなかでは特に、「受給権者は、その者の属する世帯の世帯主」とあることに対し、「住民票上の世帯としては一緒に住んでいることになっているが、DV被害等個人の事情で居所を明かさずに住んでいるケースにはどのように対応するのか」「申請者は世帯主でなくてもいいのか。複数の口座に別々に振り込んでもらうことは可能か」「受給権者も世帯主ではなく個人であるべきではないか」など多くの質問、意見が上がりました。これに対し総務省は「(DV被害者等への対応については)市町村の意見を聞きながら給付金の支給が可能となるよう検討していく」とする一方、「世帯単位での設計を考えている。特別給付金が家計への支援をその趣旨としているため、住居と生計を共にする社会生活の単位である世帯ごとに行うのが適当であると考えている」「個人の口座に別々に振り込むことは事務の手続きの簡素化、振込手数料の抑制という経費節減の観点からも課題があると考えている」などと答えたため、安倍総理が言う「個人への支援」という制度の趣旨と異なるのではないかといった指摘がありました。
会議終了後、逢坂政調会長は記者団に対し、補正予算の組替え案をめぐっては、「2次補正予算案が必要」「令和2年度本予算の不要なところ、例えばカジノ関連やポイント還元、オリンピック対応などを削減して財源に回すべきではないか」「医療、介護、福祉施設それぞれの経営の在り方に対する支援が必要ではないか」「10万円の給付金については、課税対象にして高額所得者に対しては事実上の減額になる措置が必要だというわれわれの主張をもっとクリアにしたほうがいい」といった意見が上がったと報告。同日の意見を踏まえてバージョンアップし、最終的には共同会派それぞれの政調会長に一任することを了承したと述べました。
政府が撤回した減収世帯への30万円給付については、「10万円の一律支給は大前提で、これが第一弾。その上で、それぞれの事情に応じて追加給付もありうるという意味で30万円の予算を残すべきではないか、あるいは予備費に入れるべきではないかという話はあったが、政府の仕組みを残すという趣旨ではない」と発言。一部報道で、枝野幸男代表が、政府が撤回した減収世帯への30万円給付(の仕組み)を維持すべきだと主張したとされていることには「枝野代表も誤解を与えるものだと発信していた」と反論しました。
組み替え案では、緊急経済対策では自治体が地域の実情に応じて施策を実施することが極めて重要であることから、地方創生臨時交付金を政府案1兆円に3兆円追加し総額4兆円とする案を盛り込んでおり、この点について逢坂政調会長は「自治体の現場ではすでにさまざまな対応が迫られるなか財政力によって支援に差が生じている。中央政府には分からない切迫感が自治の現場にはあり、急いで対応しなければいけない。すでにさまざまな取り組みを進めている自治体もあり、自治体に安心感を与えなければならない」と強調しました。