枝野幸男代表は11日、日本記者クラブで会見し、社会的な課題と、それらを解決するために必要な変化・転換(パラダイムシフト)について語りました。

 枝野代表は、今夏の選挙に向け、新しい民主主義社会の形をビジョンとして示した上で、具体的な政策の各論を展開していくと話し、その前提となる日本の抱える課題として「急激な人口減少と高齢化」「価値観やライフスタイルの多様化」「生活の不安定化・貧困格差」を挙げました。これらの課題は、従来の社会構造・政治構造では限界があるとして「大きなパラダイムシフトを行っていかなければならない」と語りました。

 そして、(1)「企業収益」を起点をする経済運営から、「家計所得」を起点とする経済への変換(2)多様性、違いを認め合う社会(3)政治・民主主義をバージョンアップ――を掲げ、課題を可能性に変え、未来を切り開いていくと語りました。

 その後、記者からの質問を受けました。主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:国のあり方の一つとして、象徴天皇のあり方も問われるのではないか。女系天皇・女性天皇についてのお考えは。仮に女系天皇を認めるということになれば、これまでの126代続いていた皇統が絶たれるということにもなりかねない。それを認めることになると共産党と同じということになると思いますが、その点についての見解を伺います。それから、国民民主党が象徴天皇について女性天皇は良いが女系天皇は駄目だということになっている。そういった国民民主党と共闘できるのか

 早急に、そして政党間あるいは政治的な政局的な議論にすることなく、落ち着いた環境で国民合意を得て、安定的な皇位継承を可能にしていかなければならない、象徴天皇制を守らなければならないという強い意志を持っています。
 象徴天皇制を守っていくためにも幅広い合意を作っていかなければならない。そこに向けてどういう枠組みでどういう風に議論を進めていくのかをしっかりと提起をしていくにあたり、われわれは論点整理をしました。
 論点整理の中では、女性天皇や女系天皇などについての論点整理や、一つの考え方を示していますが、結論はまったく出していません。われわれとしてはこういう論点があるとか、こういう論点の中でこういう考え方があるとか、こうした考え方が一つの考え方として望ましいのではないか、という整理はしました。
 しかし結論は出していません。結論を出してはいけないと思っています。なぜならば、幅広い国民合意を得なければならないので、わが党はこうだ、あの党はこうだということになってしまったら、幅広い国民合意にならずに象徴天皇制の不安定化を招くと思っていますので、そうったことをするつもりはありません。

Q:明確には答えないのですか

 明確に私が申し上げたら、政治的な争点になります。政治的な争点の結果では、どういう結論になったとしても、国民の統合の象徴として象徴天皇制に矛盾するような客観状況を作ることになります。
 したがって、それぞれの考え方はありますが、結論を導いていくプロセスは、合意を積み重ねていくというプロセスをしていかなければならないので、私はこうだ、わが党はこうだ、という考え方はベースにはそれぞれあると思いますが、静かな環境の元で、しっかりと議論を積み重ねていくことが大事なので、その議論をするための論点整理はいたしました。現時点で、立憲民主党としてこれで行くべきだとか、これがいいんだという結論は出していませんし、出すべきではない。どの党も出すべきではないと思っています。

Q:金融庁の報告書を巡る2000万円の不足問題、これについて今後どのように追求していくか

 この問題は複数の論点が重なっている。撤回しろとか、担当大臣が受け取らないとか、そういう報道が流れていますが、そういう問題ではなくて、一つは財務大臣でもある金融大臣が、この報告書を読みもしないで事実上「2000万円貯めないと大変だよ」と国民に向かって発表をした。これは正直申し上げて、経済の観点から、「財務大臣が経済を冷え込ませるような発信をして何やってるんだ」と。先程来申し上げている通り、日本の不況は消費不況です。消費不況の中で「2000万貯めないと大変だぞ」と財務大臣が言えば、それはますます消費を冷え込ませる。著しく景気の足を引っ張る発言だという自覚なく発言をされているのが財務大臣だ。