日本学術会議が主催するシンポジウム「『男女がともにつくる民主政治』を展望する―政治分野における男女共同参画推進法の意義―」が6日に開催され、立憲民主党から神本美恵子ジェンダー平等推進本部長が登壇しました。

 本シンポジウムは、2018年5月に制定・施行された「政治分野における男女共同参画推進法」(以下、「推進法」)に関し、学術の視点から意義を明らかにし、同法の掲げる理念を社会に浸透させつつ、政党の努力をうながす環境を整備することを目的として開催されました。

 冒頭、日本学術会議連携会員で明治大学教授の辻村みよ子さんは、女性国会議員比率が世界1位のスウェーデンに関し、「1970年には女性比率が10%だったが、今は45%近い。これは、クオータ制の導入などのポジティブ・アクションを取り入れたから。推進法は、このようなポジティブ・アクションを行う法的根拠となる」と、推進法の意義を語りました。

 続いて上智大学教授の三浦まりさんは、「推進法は、議員の性別構成を問題視する初めての法律で、成立するまで3年間にわたってきわめて強い注目を集めた」と、同法成立の意義を語り、「実際に、各政党の女性擁立の動きは大きくなった。各党がこの法律をどう実行しようとしているのか、モニタリングを続けると同時に、女性の政治参画の障壁に関する実態調査をしよう」と呼びかけました。

 東北大学教授の糖塚康江さんは、「日本の衆議院とフランス下院の女性議員率は、少し前までどんぐりの背比べだったのに、今はフランスはG7で第1位、日本は最下位。この分岐点は何か。フランスによるパリテ(男女同数)の法制化のように、自ら改革を断行するのか、自然に任せるのか、この政治的決断の違いだ」と述べました。

 名古屋大学教授の武田宏子さんは、「イギリスでは、労働党が1990年に10年間で女性議員比率を50%に増やすと目標を設定した。97年の総選挙では、女性有権者の支持を得るために女性候補者を本気で増やし、18年ぶりに政権をとった。イギリスの女性議員は、この総選挙で一気に増えた」と紹介。

 お茶の水大学准教授の申琪榮(しん・きょん)さんは、三浦まりさんとともに主宰するパリテ・アカデミーの実践を踏まえ、「高校生までは、男女が同じようにリーダーになれると思っている。その頃からセミナーに参加してもらい、政治的リーダーシップをとるモチベーションや自信を保ってもらうことが重要」と語りました。

 駒澤大学教授の大山礼子さんは、「諸外国では地方議会から女性議員が増えた。日本の現在の地方議会は、業界団体や地域代表の集まりできわめて保守的なため、女性が増えにくい」と指摘しました。

 元参議院議員でクォータ制を推進する会(Qの会)役員の川橋幸子さんは、推進法成立のために市民が足しげく国会に通ってロビー活動をしてきた様子を紹介し、今後も政党の本気度を求めながら、熟議の民主政治を草の根から構築したいと語りました。

 その後、各政党から参加した議員が女性議員を増やすための党の取り組みについて語りました。

 立憲民主党の神本議員は、ジェンダー平等推進本部の設置、女性候補者比率の目標設定、女性候補者の公募、候補を決定する場への女性の参画、ハラスメント防止宣言、相談・通報窓口の設置、立候補休職制度や、議員の出産・育児・介護の法案など、女性が立候補しやすくなるための環境整備など、立憲民主党の取り組みを紹介し、「政治は男性と一部のエリート女性のものだという観念をなくしていきたい」と言葉を強めました。