2019年1月22日
【沖縄】枝野代表、基地問題を中心にタウンミーティング。その後、辺野古基地埋め立て工事現場を船上から視察
枝野幸男代表は20日、沖縄県を訪れ、党の地域組織である沖縄県連合のタウンミーティングに参加しました。その後、辺野古基地埋め立て工事現場を船上から視察しました(写真上は、タウンミーティングで話をする枝野代表)。
新春タウンミーティングと題した集会では、県連代表の有田芳生参院議員のあいさつに続き、急きょ体調不良で欠席された玉城デニー県知事からのメッセージが代読。その後、海勢頭豊(うみせど ゆたか)氏のミニライブ、枝野代表講演、質疑応答と続きました。
枝野代表は講演の冒頭、宮城県仙台市にある東北大学に進学し一般教養の日本史の授業で、その後の歴史観・日本観に強い影響を受けた話を語りました。
最初の日本史の授業で先生から「君たちは日本史の勉強は、京都史や東京史である。我々東北の人間は、坂上田村麻呂によって征服されたという歴史を持っている。せっかく東北で学ぶのだから東北から見た京都や江戸・東京を、そういう歴史観をもって、ものを見ないといかん」と教わったと語り、「それぞれの地域には、それぞれの地域のさまざまな歴史がある。ましてや沖縄には独自性の非常に強い歴史がある。そのことをしっかりと国全体を見ていく時に考えながらやっていかないと必ず間違える」と話しました。
さらに、「(政権時、)基地の問題で皆さんに大きな期待を持っていただきながら、その期待に応えられなかったことに対して責任の一端を強く感じている」「近代だけを見ても、沖縄には無理・負担・犠牲を押し付けてきたという意識を前提とせず、その後、辺野古の問題を無理やり進めている。沖縄の問題ではなく日本の問題なんだとしっかりと共有させることが私たちの一つの大きな役割」「基地問題は安全保障問題ではなく外交問題。沖縄に大きな陸上基地が必要という、安全保障上の理由は調べれば調べるほどない」「アメリカだって、いろいろな意見の多様な人達がたくさんいる。アメリカ国内にも辺野古基地の建設は必要なのかと疑問を上げている人もいる。そういう人たちと政府以外の人間がまったくコミュニケーションをとってこなかった」などと語りました。
質疑応答では基地問題や政権時の話を中心にさまざまな質問が寄せられました。参加者から寄せられたいくつかの質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。
Q:沖縄が『琉球は独立だ』と言った場合、どういう答えをするか(農業従事者)
いろいろな歴史があると思う。近代国家という成り立ちをして以降、北海道、北方領土から、沖縄、尖閣諸島まで日本という国家の単位で150年歩んできている。そうしたことの中でその一部が別れたいということになるような状況を作ったら、それは中央政府の大失敗だと思っている。そうならないように、どこに住んでいる人たちも、この今の日本という単位でみなで一緒にやっていきましょうねと思えるような、政治をやる責任がある。
Q:原発事故の時、家族はどうしたのか。政府幹部の家族は疎開したと聞いた(※氏名のみ)
私の家族がシンガポールに逃げたというデマが広まり、いまだに信じている人がいる。(海外に行っていないことを証明するために)パスポートを持ち歩いていた。震災直後に統一選があり、地元の選挙区で活動をしていた。官邸にも差し入れなどしていた。
Q:政権にいないので辺野古に対しての意見は言い訳に聞こえる。賛成ではないが止めることが出来ないのでは。今更議論しても日米間で決めたことをひっくり返すことができるのか。徴用工の話も(那覇市民・無職)
簡単だとは思っていないが、アメリカだってTPPはアメリカが言っていた話なのに、大統領が変わった途端にさっさと抜けた。外交というのは、連続性の問題で守らなければならないことと、状況が変わったから変えられることがある。20年前に合意したが、20年前の合意通りにいってないことは向こうにもたくさんある。また安全保障環境は20年前と全然変わっている。県民の皆さんの問題意識も全然違っている。そういう状況のなかで諦める話ではない。沖縄の皆さんがここまで強い反発をいろいろな選挙などを通じて示しているということに対して、それに沿った交渉をするということが政治の責任だと思っています。
確実に短期間でアメリカの意見を変えさせるというつもりはない。簡単な話ではありません。ものすごい時間がかかるし、エネルギーがかかるかもしれない。向こうの政治状況よっても左右されるかもしれない。でもチャレンジをすることはやらなきゃいけないと思っているし、チャレンジをすれば、100点じゃないにしても、変わる余地が十分にあるという判断をして頑張っていきたい。
Q:立憲民主党は、国会で外交に関してもう少しアピールしたほうがいい(同上)
ほとんどの皆さんが、政治は新聞とテレビでご覧になっていると思う。ネットニュースを含めても、何を取り上げるかは、マスコミの偉い人たちが決めている。外務・外交防衛委員会でいくら質疑しても、取り上げるかどうかはマスコミの皆さんが決めている。また外交の話は、方向性は示せるが、各論・具体的な話は野党の立場で責任を持って言える部分は非常に小さい。外交は相手があり交渉事ですから、例えば地位協定の改定案を作ってぶつけるとかには消極的(な考えを持っている)。地位協定を改定するのはアメリカと合意するか、日米同盟を破棄するかしかありえないので、相手に対して「俺たちはこれじゃなきゃ困るんだ」みたいなことを最初から掲げて交渉なんてできる訳がないので、(そういったことは)無責任だと思っている。
枝野代表はタウンミーティング終了後、記者団の取材に応じました。記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。
Q:辺野古問題に関する県民投票で5市で実施しないという動きがある。先週、代表も権利が侵害されているということで提訴、あるいはリコールという可能性についても言及していた。また(タウンミーティングでは)ハンガーストライキという手法の話も出た。どう意思表示していくのか有効性については
権利を侵害されている5市の主権者、有権者のみなさんが主体的に判断をされることだと思うが、憲法論、民主主義論として、このようなことが許されるという前例が作られれば日本全体にも影響する。当事者のみなさんだけの問題ではない。そうした中では、リコールというやり方と、損害賠償請求、訴訟等の手続きという2つのパターンがある。実際には当事者のみなさんが主体的に判断されることだし、我々はその当事者のみなさんの判断を踏まえながら、訴訟に我々が直接介入することはできなませんが、それ以外の政治的な対抗の仕方についてはできる範囲で連携をしていきたい。
Q:3区補選についてどのような位置づけか
オール沖縄という枠組みと自由党が主体的になってやるという枠組みの中で、みんなで連携してやる選挙というのは出しゃばるよりも、枠組みの中で我々が果たしうる役割ということを最大限果たしていくこと。県連がもうできあがっているので、県ベースでもいろいろな相談・連携はできるので、それを踏まえながら、我々に期待される、そして我々が得意とする分野での最大限の協力をして当選につなげていきたい。
その後、辺野古を視察。視察には枝野代表の他、タウンミーティングに出席していた有田県連代表、同副代表の江崎孝参院議員、党役員室長の阿久津幸彦衆院議員が同行しました。また視察後に記者団の取材に応じました。
冒頭枝野代表は、「東京にいても、画像・動画、あるいはさまざまな説明で、わかるべきところは分かるのですが、現地に来て改めて見させていただくと、規模感・距離感、そういったものは現地を見させていただかないと分からないなと。頭で分かっているつもりでも、思っている以上に、現場に来ると、非常に広域なところで大きな工事がなされている。そしてまた、説明を受けながら海の藻・草、あるいはサンゴなどに対して海流・地形などの影響で、この工事が進めば相当大きな地域に大きな影響を与えるということを改めて痛感した。安全保障は国民と国土を守る。ただ、希少な国土の破壊をこんなに大規模に進めながら本当の意味で安全保障と言えるのかをということを含めて、改めて今日実感した物を踏まえて国会での論戦に備えていきたい。
記者から、土砂投入が進んでいる状況で、改めて土砂投入・埋め立てを進めることへの賛否、これを止めるべきかどうか問われると、「多くの県民のみなさんがさまざまな経緯と事情の中で、これは許されることではないと強い反対をされていることに加えて、サンゴであるとかさまざまな自然環境が、進めれば進めるほど、本当に貴重なものが、回復困難な、あるいは不可能な状況になっていく。いったん立ち止まってということについて、不可欠な状況ではないかと改めて痛感している」と語りました。