参院本会議で3日、「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定」案(日EU EPA)及び「日本国と欧州連合及び欧州連合構成国との間の戦略的パートナーシップ協定」案(日EU SPA)の趣旨説明質疑が行われ、立憲民主・民友会を代表して牧山ひろえ議員が質問に立ちました。

 EPAは、EUとの間において物品およびサービスの貿易の自由化、円滑化を進め、電子商取引、政府調達、競争政策、知的財産、中小企業等の分野での枠組みを構築するもの。SPAは、EUおよびEU構成国との間において、幅広い分野の協力を推進し、戦略的パートナーシップを強化するための枠組みを構築するものです。

 牧山議員は、「総論として、EPAやFTA(自由貿易協定)は、自由貿易の促進拡大による経済的メリットや、協定国間の信頼関係の熟成等の政治的メリットが見込まれるケースもあり、それ自体については、その意義と必要性を否定はしない」と述べた上で、「今回の協定については、日本の国益が守られているか、日本の真の国益に適ったものであるのか。政権の点数稼ぎのための早期の締結ありきで、日本側が、日本の経済界や市民の利益を代表して粘り強くギリギリの交渉し、日本のために最善の好条件を勝ち取ったという形跡は乏しい」と指摘。安倍政権の外交の特徴として、非常に閉鎖的・秘密主義的な傾向が強く、「政府・外務省のみによる独占的な外交」の弊害が顕著にあるとして、「国民から信頼され、世論の強い支持を背景にしてこそ、強い外交力を発揮することができるのではないか。そのためにも、あらゆるステークホルダーを巻き込んで議論を尽くし、公開性・透明性を守りながら、国益を守ることを第一義に進めていくことを、日本の外交交渉の原則とすべきと考える」と表明しました。

 その上で、(1) 日本の外交交渉の姿勢(2)中核市の政府調達市場の開放による地元中小企業等への影響(3)調達市場についてTPPを上回る開放を約束した理由(4)食料安全保障への影響(5)農林水産分野の国益(6)農林水産物の生産額への影響試算の妥当性――等について政府の見解をただしました。牧山議員は最後に、安倍外交の特徴として、自らの「レガシー(政治的遺産)」作りのため、わが国の国益が二の次にされているケースが多い点を指摘し、質問を締めくくりました。