辻元清美国会対策委員長は21日昼、自民党の森山国対委員長と国会内で会談。立憲民主、国民民主、共産、無所属の会、自由、社民の野党6党を代表し、障害者の雇用率水増し問題について閉会中審査を開催するよう申し入れました。
企業や行政機関などに一定の割合で障害者の雇用を義務付ける「障害者雇用率制度」をめぐり、複数の中央省庁が実績を水増ししていた可能性があることが発覚。中央省庁に加えて、山形、愛媛、高知の3県が20日、対象外の職員を算入していたと発表、このほか4県が障害者手帳や医師の診断書を確認せずに雇用率に算入したケースがあったと認め、地方自治体でも広がっている実態が明らかになっています。
同制度は、障害者雇用促進法に基づくもので、差別を禁止し、障害者の就労機会を広げることを目的としたもの。原則として身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳を持つ人や児童相談所などで知的障害者と判定された人が対象となりますが、今回、国土交通省や総務省など10近い主要省庁で、手帳交付に至らない比較的障害の程度が軽い職員などを合算することの常態化が明らかになりました。
辻元国対委員長は会談後記者団に対し、障害者の雇用率水増し問題を受けて、まず衆院厚生労働員会の閉会中審査を行うように申し入れるとともに、ほぼ全省庁にまたがり政府ぐるみの様相もあることから、必要であれば予算委員会も開くよう求めたと報告。「安倍総理は『1億総活躍社会』や『多様性』とおっしゃっており、こうした事態を招いている責任は厚労大臣だけでなく総理にもある」と指摘しました。
会談ではまた、森友学園問題をめぐる証人喚問で嘘の証言をしたとして、野党が議院証言法違反(偽証罪)での告発を検討している佐川前国税庁長官の問題についても、あらためて予算委員会の理事懇談会を開催するよう求めたと述べました。
これに対して辻元国対委員長は、自民党の森山国対委員長はこの期に及んでも「調査中」を理由に開催に後ろ向きの姿勢であり、会談は平行線だったと述べました。
また雇用率水増し問題についての受け止めを問われると、「あってはならないこと」だとコメント。「政府が決めた基準を民間にはやるよう奨励しながら政府がごまかしをしていたとのは二重三重に罪深い。障害者雇用の問題は、ご家族も含めてきちんとした仕事につきたい、自立への道筋をつけていくというのは切実な願い。それを踏みにじる、ごまかしていたというのは許されない」と断じました。
野党各党は同日午後、この問題を受け国会内で厚生労働省や財務省、内閣府、気象庁など13府省庁の担当者から雇用実態についてヒアリング。13府省庁はいずれも事実関係は「精査中」と述べましたが、法務省と気象庁でも障害者手帳などを確認せずに雇用率を算出していた疑いが同日、新たに判明しました。