教育協力NGOネットワーク(JNNE)が主催する「SDG4教育キャンペーン2020」が21日国会を訪れ、国内外の教育に関する要望を、立憲民主党の国会議員に向けて発表しました。 同キャンペーンでは、教育に問題意識のある子どもやユースを募り、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」に関する提言を、1か月かけて作成。その中から5名の子どもたちが、議員と意見交換を行いました。

朝倉凛花さん(大学1年生)

提言作成にあたり、4つのグループに分かれ、テーマを決めて話し合った。
(1)今、当たり前を壊したい
(2) 教育を受けなければ見られない景色がある~世界中の子どもたちの可能性は家計や環境に邪魔されない
(3)外国ルーツの子どもにも声を上げるチャンスを
(4)教育はこの世界で生きるために必要だし、教育から生き方を学ぶ。だから、貧しいからとか教育を受けれないのはおかしい。誰も排除しない教育を望みます

安部瞳さん(高校2年生) 

「グループの中で国際公務員になりたい子がいたが、国際公務員応募の絶対条件となる『大学卒業』が、いま簡単ではない。『奨学金』という借金を負うのが大変で、受験をあきらめて働く人が周囲に多くいると言っていた。返済しなくていい奨学金の対象者を広げてほしい」(テーマ2)

古川美羽さん(小学5年生)

「教育は生きるうえで必要で、権利だと思う。教育にかかる家庭の負担を減らして、すべての子どもが教育を受けられるようにしていただきたい」(テーマ4)

鹿内あかりさん(高校2年生)

「小4まで普通学級に通っていたが、勉強が難しくなり、仕方なく支援学級に入った。でも、友人と同じクラスにいたかった」


都さくらさん(高校2年生) 

「今回コロナウイルスの対応が、私立校と公立校で違っていた。公立校は紙の宿題が多く、私立校はiPadなどを使った映像授業を進めていた。紙の宿題のほかに、アクティブラーニングも進めていけないか。また、自分の通う女子高で、スカート以外の制服にしたいという声が出たが、『伝統だから』という理由で突っぱねられた。当たり前を壊して、女子校でもズボンを選べるようになればいいと思う」(テーマ1)

 これに応えて、立憲民主党の西村智奈美衆院議員(団体交流局長)は、SDG4の教育目標を進めるにあたり、SDG5=ジェンダー平等も一緒に進める必要があることに言及。さらに、「コロナ禍で休校になる際に、ネットで首相や文科大臣が説明したり、子どもからの質問を受けたりする国もあったが、日本でそういう取り組みができなかったことを申し訳なく思う。日本と世界の子どもにとっていい教育の実現のために、また声をきかせて」と述べました。

 水岡俊一参院議員(文部科学部会長)は、「本日は、教育を受ける側の問題意識を発表していただいた。日本の教育は、教育に携わる人、教育に予算を出している人の問題意識や思いで進んでいるが、教育を受ける側の声をもっと聞くことが、今、求められている。例えば、外国にルーツを持つなどの理由で差別を受けている子どもたちの声を聴く運動も、どんどん展開していこうと思う。今日はそういう意味で励まされた」と述べました。

 山内康一衆院議員(外務部会長)は、「日本を離れ、大きなスコープで議論をするのもいい。例えばフィリピンでは、制服が買えなくて学校に行けない子がいたり、学校の先生の給料がちゃんと払われず先生の出勤率が5割程度だったりもする。アフガニスタンでは、学校が戦場になって教育が成り立たなかったり、女子教育が皆無だった時期があったせいで大人向けの識字教育が必要だったりする。国内の問題に加え、海外の問題にも踏み込んだキャンペーンを行っていただけたら」とコメントしました。

 石川大我参院議員(文部科学部会事務局長)は、「自分は、小学校高学年から中学生の頃、自分が同性愛者であることに気づいた。しかし、当時文部科学省が出している『生徒指導の手引き』には、同性愛は『性非行』であると書いてあった。万引きや暴力と同じような悪いことだと。当事者が声を上げることで、状況は少しずつよくなっている。皆さんも、『おかしいな』と思うことがあれば、周りに人たちを巻き込みながら、どんどん声を上げていただきたい」と言葉を強めました。

 同キャンぺーンをけん引している開発教育協会(DEAR)、シャンティ国際ボランティア会、ラオスの子ども、ガールスカウト日本連盟、フリー・ザ・チルドレン・ジャパン、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのスタッフも出席しました。