立憲民主党と国民民主党、社会民主党、社会保障を立て直す国民会議、無所属フォーラムは21日午前、新型コロナウイルス感染症対策の予算措置の大幅な拡充や情報公開・情報提供等の徹底を求める申し入れを政府に行いました。立憲民主党からは逢坂誠二政務調査会長が出席し国会内で菅義偉官房長官に手交しました。
申し入れた要請は、(1)生命と健康を守るための検査・医療体制整備の強化(2)クルーズ船関連対応(3)予算措置の大幅な拡充(4)経済・雇用対策(5)情報公開・情報提供等の徹底の5つの柱からなり、予算措置については、東京都が400億円を超える補正予算案を取りまとめたのに対し、日本政府は153億円の緊急対応策だとして大幅拡充を求めました。また、経済雇用への影響も広がってきており、当初は観光に対する影響でしたが、広範囲にわたり影響が出ているとして対策を要請しました。そして国民に対する情報の発信が必ずしも適切ではないと指摘。さらに海外への情報発信を適切に行うことにも留意するよう求めました。
申し入れ後、記者団の取材に応じた逢坂政調会長は、「政府の対応が必ずしも的確ではない。場当たり的な対応もあり国民の不安が広がっている。政府はより一層緊張感をもってこの問題に対処していただきたい」と要請し、菅長官からは、申し入れた事項について「そうだと思う」との話があり、この方向に沿い、さまざま対応していただけると受け止めたと語りました、また、情報の発信・公開が難しいという発言があり、具体的な話はなかったものの、政府が情報発信に苦慮していることが読み取れたと話しました。
記者から今後の対応について聞かれると、今回の要請は現段階で急いで行ったほうが良いものを取りまとめたものであり、今後はそれぞれの部会・部門で議論を深め、水際対策から国内対応へ力点が移るので、変化する状況に対応しながら、随時政府に申し入れをしたいと語りました。また、政府職員が感染したことをうけ、該当する職員の動線を把握した上で、感染を政府自ら広げることがないように今後も要請していきたいと話しました。
2020年2月21日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
新型コロナウイルス感染症について 万全の対策を求める申し入れ
― 国内外の英知を結集し、国民の生命と健康を守る ―
立憲民主党・無所属フォーラム
国民民主党
社会保障を立て直す国民会議
社会民主党
新型コロナウイルス合同対策本部
新型コロナウイルス感染症の患者が日本国内でも増加し、同時に不幸にして死亡者も出ている。政府の場当たり的な対応もあり、新型コロナウイルス感染症に対する国民の不安は、日々増大している。政府はより一層の危機感を持ち、総力をあげて対応すべきである。
私たちは国民の生命と健康を守り、経済への影響を最小限に抑えるため、現時点で必要と思われる対策を取りまとめたので、以下の通り申し入れる。
■生命と健康を守るための検査・医療体制整備の強化
1.国民の不安に寄り添うため、PCR検査を受けられる体制を早期に拡充すること。
2.想定患者数を明確にしつつ、2次医療圏ごとの必要病床数の確認、並びに予想を上回った場合の対応方針を策定すること。その際、診療を行わない医療機関(産科や血液透析専門機関等)を決定しておくこと。
3.医薬品、医療機器、衛生品の安定的な流通を確保すること。
4.国内外の知見を活用し、治療法・ワクチン・簡易検査キットの迅速な開発に官民全力を挙げて取り組むこと。開発されたものについて、保険の適用範囲を検討すること。
5.分野ごとの専門家による小委員会等を設置し、エビデンスに基づいた見解と対応を早急にとりまとめること。
6.感染例を追跡する監視網の構築や封じ込め戦略を担う組織の設置を早急に検討すること。
7.今後、国立感染症研究所について、より有効な組織や人員体制となるよう再構築すること。
■クルーズ船関連対応
8.クルーズ船から下船した人に対する健康観察を徹底すること。
9.現在実施されている船内の感染防止対策等を早急に点検し、必要な見直しを随時行うと同時に、乗客乗員に対し適切な情報提供を行うこと。
10.陽性患者等を受け入れた地域・施設に対する十分な支援を行うこと。
■予算措置の大幅な拡充
11.上記の検査・医療体制の整備、観光・運輸分野、サプライチェーン等への経済的影響に対応するため、早期に予算措置を大幅に拡充すること。
■経済・雇用対策
12.日本経済の停滞が続き、消費税増税によってさらなる悪化のリスクが高まっている中で今回の事態が招くであろう景気後退リスクを深刻に受け止め、内需と雇用に重点を置いた根本的な経済対策を講じること。
13.観光をはじめ、経済的に影響を受ける地域、企業等に必要に応じ適切な支援等を行うこと。
14.サプライチェーンの寸断等により影響を受けている中小企業に対して、信用保証の上限引上げや公的金融による支援拡大を行うこと。
15.業績悪化による解雇や待遇悪化に備え、雇用安定のための対策を強化すること。
■情報公開・情報提供等の徹底
16.国民、企業などが不必要な混乱を避け、冷静で的確な行動がとれるよう、正確で必要十分な情報発信を適宜、適切に行うこと。特に、医療従事者、高齢者、学校関係者、訪日・在留外国人、海外等への情報発信には最大限の留意を行うこと。
17.患者やその家族、海外からの帰国者等への偏見や差別を防ぐための対策を徹底すること。
以上