衆院予算委員会で28日、令和元年度補正予算案の基本的質疑が行われ、共同会は「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」(立国社)から川内博史、本多平直、小川淳也、大西健介、前原誠司の各議員が質問に立ちました。
川内議員は、(1)「桜を見る会」と公文書管理問題(2)大学入学共通テスト(3)障害の「害」の表記――等について取り上げ、安倍総理らの見解をただしました。
「桜を見る会」の招待者名簿をめぐっては、政府が保存期間「1年未満」の文書として「廃棄した」と説明していることから、川内議員は「桜を見る会」以外に、すでに参加者が分からなくなってしまっている総理主催の会合はないことを菅官房長官に確認した上で、「桜を見る会」の名簿は1年未満廃棄文書の類型のなかの何に当たるのかと尋ねました。これに対し内閣府大臣官房長は「ガイドラインに則って適切な時期に廃棄した」などと強弁。保存期間を1年未満とする文書については、2017年12月の「行政文書の管理に関するガイドライン」の改定(※)で7つの類型を示していますが、定義があいまいで、文書を作成した省庁の担当課の判断だけで廃棄できるというものです。川内議員は、公文書管理法4条(文書の作成)には文書の作成義務について、「行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるように」と定められていることに触れ、「(公文書管理法1条にある)現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにするため、総理『桜を見る会』の名簿、出席をした皆さん方は行政の事務・事業の実績に当たるのか、当たらないのか」と質問。政府の答弁は要領を得ず、川内議員は「『桜を見る会』の名簿が公文書管理法上の『政府の事務・事業の実績』に当たるのか否かを政府として明確な見解を出してほしい」と要請しました。棚橋委員長は「後刻理事会で協議する」と応じました。
本多議員は、(1)補正予算への防衛費の計上(2)カジノ汚職(3)小泉環境大臣の政治資金問題――等について取り上げ、安倍総理らの見解をただしました。
総額4兆4,700億円あまりのうち経済対策に4兆3,030億円を充てる補正予算のなかで、「国民の安全・安心の確保」(7,621億円)として「自衛隊の安定的な運用体制の確保」に3,783億円が計上されていることについて本多議員は、来年度に借金の返済としているものを前倒しして補正予算に組み込んでいることを問題視。財政法29条の規定による補正予算の編成において、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」にあたるのかただしました。
安倍総理は、「刻々と変化する安全保障環境や自然災害への対応等のため緊要性のある経費を計上している」として財政法の趣旨を逸脱しているという指摘は当たらないと答弁しました。
河野外務大臣は、予算編成後に生じた事案として、(1)昨年5月以降に北朝鮮は20発以上の弾道ミサイルの発射を繰り返したこと(2)ロシアの爆撃機による南大東島や八丈島における2度にわたる領空侵犯(3)中露の爆撃機によるわが国周辺での初めての共同哨戒飛行(4)自衛隊の活動を必要とする自然災害が相次いで発生している――と説明しました。
本多議員はさらに、北朝鮮情勢が緩和した年にも補正予算に防衛費が含まれていると指摘すると、河野大臣は北朝鮮が核開発やミサイルの開発を続けていることは事実であり、北東アジアをめぐる安全保障環境で中国がこの10年間で軍事予算を2.5倍に増やしていることなどを挙げ、「ゆるんでいると捉えることはできない」と説明しました。
本多議員は、北朝鮮情勢は毎年変わるが緊張が緩和しても高まっても、元から買うと決まっているものを購入しているとして、災害の復旧はしっかりやる必要があるとしながらも、こうした費用は補正予算と財政法の趣旨に合わず、補正予算に紛れ込ませるのは非常におかしいと指摘しました。
その後、締めくくり質疑が行われ、質疑は終局。討論採決が行われ、補正予算案は賛成多数で衆院本会議に上程されました。
※ 改正案では保存期間を原則1年以上としつつ、その例外として「1年未満」で廃棄してもよい文書として7つの類型を例示しました。
1.別途、正本・原本が管理されている行政文書の写し
2.定型的・日常的な業務連絡、日程表等
3.出版物や公表物を編集した文書
4.〇〇省の所掌事務に関する事実関係の問合せへの応答
5.明確な誤り等の客観的な正確性の観点から利用に適さなくなった文書
6.意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響が極めて小さい文書
7.保存期間表において、保存期間を1年未満と設定することが適当なものとして、業務単位で具体的に定められた文書