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2019年11月21日

「就労や自立だけでなく、いまある状態を支える支援を」と初鹿議員 ひきこもり対策WT

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 立憲民主党は21日、ひきこもり対策ワーキングチーム(WT)の会議(第3回)を国会内で開き、ひきこもり対策について関係省庁から説明を聞きました。

 冒頭、同WT座長の初鹿明博衆院議員は、10月に札幌市で開かれた、特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり全国家族会連合会全国大会に参加したことにも触れ、「あらためて厚生労働省からこれまで取り組んできた施策や、今後考えていることついて話を聞き、さらにわれわれとしての考え方も加えて、より良い方向に施策を進めていきたい」とあいさつ。ひきこもりを家から強引に連れ出す民間悪質業者「引き出し屋」の問題については、「かなり深刻だと感じている。現状の制度のなかでどのような対応ができるか、今後法規制などを考えたときにどういう問題があるのかを整理しておく必要があると思う」と述べ、同日のヒアリングを踏まえ何らかの対策を講じられるよう、検討していく考えを示しました。

 会議では、厚生労働省から(1)生活困窮者自立支援制度に基づくひきこもり支援施策の全体像(2)就職氷河期世代活躍支援プランに係る2020年度予算概算要求(社会参加実現に向けたプログラム関係)(3)基礎自治体による取り組み例(岡山県総社市・愛知県豊明市)(4)ひきこもり地域支援センターにおける実相談人数および相談件数の推移(2012-17年度)・ひきこもり地域支援センターが関係機関へつないだ件数(17年度)(5)地域若者サポートステーション事業――等についてヒアリング。「引き出し屋」が問題化している現状を踏まえ、消費者庁からは「民間のひきこもり支援サービス」に関する主な相談事例について、法制局からは「ひきこもり自立支援ビジネス」問題について(下記PDF参照)それぞれ話を聞きました。

 「ひきこもり自立支援ビジネス」問題について法制局は、問題の所在として「ひきこもりの当事者が無理やり連れ出され、施設に監禁される」「施設において暴力等の人権侵害行為を受ける」「支援の内容が不適切、あるいは何も支援が行われない」「不当に高額な料金を取った上に、契約内容通りの支援を行わず、契約の解除を求めても返金しない」の4つに分類。その上で、考えられる対処方法として、現行法による対処、規制立法の制定、ひきこもりを支援する法律の制定の3つを挙げました。

 出席議員からは「ひきこもり本人や家族の話を聞くと支援事業にある『就労』『自立』よりもまずは安心できる居場所づくり、社会参加の実現を支援するのが先ではないかと感じる」といった意見や、ひきこもり地域支援センターが関係機関へつないだ総計8169件のうち11.6%を占める『その他機関』について、『引き出し屋』も含まれているのではないかといった指摘があり、厚労省に対し内訳を調べるよう求めました。

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厚労省のひきこもり支援策に意見を述べるKHJの池上さん(左)と深谷さん

 会議には、KHJの理事の池上正樹さんとソーシャルワーカーの深谷守定さん、問題のある自立支援施設から脱出してきたというタカハシさんも出席。池上さんは、「8050」問題に社会的関心が高まっているように、長期高齢化するなかで家族全体が孤立化しているとして、その背景には話を聞いてもらえない、受け皿がなかったことが現実としてあると指摘。「就労から遠い人たち程対応してもらえない、制度の狭間に置かれ支援につながらなかったという、支援する側の問題が大きかった。話を聞いてもらいたいというのが家族や当事者の声としては最も多い声であり、ひきこもっている本人たちは頑張って生きている。そこを理解し、まずは後押ししてほしい。それが生きる力になり動き出すきっかけになる」と話しました。「引きこもり支援には就労支援はなじまない。成果を求める就労だけがひきこもり支援ではない。まずは生きていることを支援してほしく、相談の入口は就労支援と引きこもり支援は分けてもらいたい」と主張。社会適応を目的にした民間ビジネスをめぐる問題については、「法規制が何もなく業者のやりたい放題で高額請求などいろいろなトラブルがあり、人権侵害も起きている」と述べ、「まじめな業者もあるからという話だが、当事者の人たちがどういうことで傷つけられてきたのか、実態をヒアリングするところから優先的に始めてほしい。ぜひ法規制を」と求めました。

 深谷さんは「ひきこもりとは、『自ら人間関係を遮断せざるを得ないほど追い込まれた人たち』とKHJでは考えている。就労、自立以前に、人との関係性の回復の場が地域社会に著しく希薄なのが日本社会。自ら人間関係を遮断せざるを得ないほど追い込まれた人たちと、どうやって第三者との関係を回復していくのか、そこに支援やまなざしを当てないと同じことが繰り返されていく」と、いまの支援のあり方に対し懸念を表明しました。

 タカハシさんは、昨年5月のある日突然、両親と契約をしたという施設の職員に拉致され入寮、契約解除することもできないまま医療保護入院という形で精神科の病院に強制入院させられ、そこで発達障害だと病名をつけられるなど酷い状況に置かれていたと告白。病院から再び施設に戻されるなか、今年8月に脱出、弁護士を通じて現在民事の損害賠償の訴訟中だと話し、問題は「引き出し屋」と言われる悪質な自立支援施設にとどまらず、結託している病院があることだと訴えました。

 最後に初鹿議員は同日の話を受け、厚労省に対し「就労や自立だけでなく、いまある状態を支えるという発想もこれからの支援には必要であり、それが本人や家族につながっていくのではないか」と述べ、厚労省に対してこうした姿勢を前に出して取り組んでほしいと要請。「引き出し屋」の問題についは何らかの法規制を検討したいと力を込めました。

「ひきこもり自立支援ビジネス」問題について.pdf