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2019年11月6日

【衆院予算委】導入延期となった英語民間試験めぐり経緯などを追及 大串、川内両議員 

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 衆院予算員会で集中審議が8カ月ぶり、214日ぶりに開かれ、野党共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」(立民社)から渡辺周、大串博志、川内博史、今井雅人各議員が質問に立ちました。

 大串議員は、(1)閣僚の任命責任(2)英語民間試験――について質問をしました。

 閣僚の任命責任について、6日間で菅原大臣、河井大臣の2閣僚が辞めたが事実関係の確認を本人にしたか、安倍総理をただしました。
 安倍総理は、「任命した大臣が就任からわずか1カ月余りで」と6日のうちに辞めたことを1カ月と表現、その上で2人とも政治資金規正法に則り対応しているが行政に遅滞を及ぼしてはならないという「最大の責任のとり方」をした「ご本人の覚悟・決意を私は受け入れた」と質問に対し明確な答弁をしませんでした。
 大串議員は再度、2人から事実確認の聴取をしたか端的に答えるよう求めると安倍総理は次のように答弁し聴取したか明言を避けました。

 お二人の記者会見等を(大串議員が)ご覧になったかどうかは私は承知をしておりませんが、その際にお二人は説明をしておられと思いますが、もう一度しっかりと調べてみたいと、こう述べているところでございます。しかし、先ほど申し上げましたように行政に遅滞があってはならないということについて、またあるいは自らの問題についてですね、それぞれの委員会において時間が費やされるということになってはならないと。これは当然そう思うのであろうと、こう思うところでございますが、その中でお二人がそれぞれ判断されたわけでございまして、その辞意を示された。それを受け入れた。辞任したいという申し出を受け入れたということでございます。

 これに対して大串議員は、第2次安倍内閣での10人の辞任は「決して少ない数ではない。そのたびに行政の停滞が起こっている。この責任が総理にある」として「極めて内閣を軽んじている」と指摘しました。

 英語民間試験については、センター試験は全国700カ所(北海道25、沖縄13、山口9カ所など)で受けられるが、民間で同じようなレベルでできるのかと指摘。民間で行うことを今の段階で立ち止まり白紙にして考えるべきだとして萩生田大臣の見解を求めました。
 萩生田大臣は、今回の英語民間試験の制度設計に無理があったとして検証を行い、どういう仕組みが受験生にとって一番良いものになるかしっかり議論を積み重ねていくと答弁しました。
 これを受け、大串議員はその検討会に実施団体・業者が入らないかを問うと、萩生田大臣は「どのように検討会を組織していくかも含め、これから慎重に対応していきたい」と述べ明言を避けました。

 さらに安倍政権で行われてきた教育の制度改革では、今回のように民間事業者が試験を行ったり、加計学園問題のように学校を作れるという利便を図っていると指摘。教育の分野に市場原理や民営化といった考え方を過度に入れることは問題ではないかと安倍総理をただしました。
 安倍総理は、「民間がやると悪くなる、あるいは民間は邪な考えを持っている、そういう考え方は採りません」「政府として、教育等については公的な責任を持っている。その中でいかに民間の知恵・活力を生かしていくかということではないか」と述べるにとどまりました。

 大串議員は、民間企業の知恵や活力の活用は大事なことだとした上で、「それを過度に推し進めてはいけないエリアがある。さらに政権の利益誘導のような形に国民に疑念を持って見られるようなことがあってはならない」と指摘。「今回は高校生の方々の大学受験。毎年私たちにとっては起こっているように見えますが、いち高校生の皆さんとっては一生に一回のこと。萩生田大臣は初年度は制度向上期間と言われましたが、そんな学生さんを実験台のように扱う、(略)軽々しい気持ちで民間の活力等を考えるべきエリアではない。しかも一定の業者に文科省が天下りしている、あるいはそこの理事がこの会議(導入を検討する会議)のメンバーになってる、そんなことでは高校生は悲しむ」と訴えました。

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 川内博史議員は、2020年度からの大学入試改革について、本来「学力の3要素(1.知識・技能、2.思考力・判断力・表現力、3.主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)」を育成・評価するための一体的な改革であったはずの高大接続改革実行プランが入試の民営化になっているのはないかと指摘。「高大接続改革とは何なのかというところから議論をしていくべきだ」と述べました。

 質疑では、導入延期となった英語民間試験をめぐり文部科学省が、高大接続改革の進捗状況として16年8月31、入試に活用する必要があるとする文書をまとめたときの文部科学省の検討・準備グループ8人のメンバーに英語の専門家が含まれていなかった、その後議論に加わった英語の専門家は英検の関係者であった、民間試験の1つとして活用される予定だった「GTEC」をベネッセコーポレーションと共同で作成した一般財団法人進学基準研究機構(CEES)には文部科学省の事務次官や参与経験者が再就職していたなどと答弁。川内議員はゼロベースの見直しを求めました

 川内議員は、国語と数学の記述式問題についても高校生や現場の教育関係者らから多くの問題が指摘されているとして導入見送りを要請。「50万人規模が受験する共通テストの国語と数学の記述式問題の採点を、その質を担保しながら短期間で民間事業者に担わせることが可能なのか」とただすと、安倍総理も「答弁を差し控える」と言わざるを得ませんでした。

 2018年11月に実施した記述式問題の試行テストの正答率について、文科省は、国語3問については問1:43.7%、問2:73.5%、問3:0.7%、数学3問については問あ:2.0%、問い:4.7%、問う:8.4%だと回答。業者による採点と自己採点との不一致率については、国語は約30%、数学は約10%だと答え、川内議員は「入試の問題の体を成していない」と切り捨てました。

 川内議員はまた、5日の衆院文科委員会の参考人質疑では、記述式問題の採点者に民間業者が担うアルバイトも含まれることが明らかになったことから公平・公正性は保たれるのかと追及。萩生田文科大臣は「質の高い採点を求めている」とする一方、「結果としてさまざまな属性の方がいると承知している」と明言を避けました。

 川内議員は、現役高校生が呼びかけた、インターネット上の大学入学共通テストの中止を求める署名活動には4万筆以上が集まっていることにも触れ、直接会って高校生らの声を聴いてほしいと求めましたが、萩生田大臣は応じませんでした。