立憲民主党は20日、党経済政策調査会で議論を進めてきた経済政策「ボトムアップ経済ビジョン」(以下PDF参照)を発表しました。
この経済政策は、「賃金・所得アップで消費を拡大し、多様性を力に、着実な成長を実現する」方向性の下、
【賃金・所得を上げるために】
(1)賃金を上げて、GDPの6割を占める家計消費を回復する
(2)人間らしい働き方(可処分所得・可処分時間の十分な確保)を確立して家計消費を拡大する
(3)公正な税制改革であらゆる人々の「健康で文化的な最低限度の生活」の所得を確保して家計消費を安定化する
(4)事業所得を増加させ、賃金アップと設備投資を誘発する
【成長力を強化するために】
(5)一人ひとりの持つ力を引き出すことでイノベーティブな(創造力ある)働き手と企業を増やし、賃金と成長の源泉となる労働生産性を向上する
(6)原発ゼロと分散ネットワーク型社会の構築によって「ヒト・モノ・カネ」を地域で循環させる
(7)人口減少時代に適応した都市・インフラ・資産を形成して、地域経済と住民の暮らしを支える
(8)日本と相手国の双方にとって持続可能な社会づくりに資する視点で、公正な国際通商関係を発展させる
――とする計8つの柱からなるものです。
枝野幸男代表は、国会内で記者会見を開き、「大きな方向性として、これまでの政策との違いは、賃金・所得をアップさせ、そこから消費を拡大させていく。この流れを作っていかない限りは経済の安定的な成長は実現できない。まず上げるべきは賃金であることを明確に打ち出している。そして、そうした賃金を上げていくプロセスにおいて、将来の不安を小さくしていくことにもつながるが、これらをあわせて従来『社会政策』と位置付けられていた政策こそが所得を増やし、消費を増やし、経済をしっかりと循環させていくことにつながっていく『経済政策』として中心を占める政策である。社会政策と経済政策が表裏一体になっていることを明確に示させていただいている」と説明。一方で成長力を強化していく必要性を説き、「これまで成長するためには、人件費を安く抑えるなど、コストを抑えることが生産性を高めることだという間違った流れがあまりにも強くなっていた。本来であれば、しっかりと賃金を払ってもそれを上回る、生産性を高めていくことが求められている。そこに向けた施策を進めていくことがもう一つの柱だ。積極的な労働政策、基礎研究にもしっかりと視点を置いた研究開発支援、あるいは国公立大学の授業料の引き下げ。こうした本当の意味で生産性を高めていくところにしっかりと投資をする。生産性を高めていくという意味が従来とは違った時代に入っているので、その一つの象徴として原発ゼロ、自然エネルギー、省エネルギー、あるいは廃炉の技術などを含めて原発ゼロを進めていくことが結果的に新しい生産性、経済の成長を生み出していくことも明確に示している」と述べました。
具体的な内容については、逢坂誠二政務調査会長が説明。「物価を上げる安倍政権」に対し「賃金を上げる立憲民主党」だと基本的な方向性の違いを示した上で、立憲民主党は「企業の膨大な内部留保が働き手と下請企業に回らない現状を改善し、働き手の可処分所得・可処分時間の拡大、個人の消費を拡大することでボトムアップの経済の実現する」など、全体として「公正な分配により人間のための経済を具現化するもので、未来への責任をまっとうし、活力ある共生社会をつくる、教育や福祉などの社会政策と表裏一体だ」「単なる経済政策ではなく社会政策と一体化した、真の意味で人にやさしい経済が実現すると確信している」と強調しました。