国会で19日、今国会初となる安倍総理と野党の党首による党首討論(国家基本政策委員会合同審査会)が開かれ、枝野幸男代表が出席しました。
枝野代表は冒頭、18日夜、山形県沖を震源とし、新潟県で最大震度6強を観測した地震を受け、被害に遭われた方へのお見舞いの言葉を述べるとともに、政府に対し引き続き万全の対応をするよう求めました。
その上で、夫婦の老後資金として「30年間で約2000万円が必要」との試算が盛り込まれた、金融庁の金融審議会「市場ワーキンググループ」による報告書を契機として、年金に対する関心と老後に対する不安の声が高まっていると指摘。「多くの皆さんが年金の何に対し関心を持ち、老後の何に対し不安を持っていると認識されているか」と尋ねました。
「年金によって老後の生活が賄うことができるのか、制度が持続可能なのか不安を持っていると考える」と答える安倍総理に対し、枝野代表は、「多くの有権者の皆さんが自分がいまもらっている年金、あるいは将来もらうと見込まれている年金だけではなかなか老後の暮らしが成り立っていかない。にもかかわらず、今回の報告書が出たあとも安心ばかりを強調されて、多くの有権者が抱えている不安に向き合っていないことに対し多くの皆さんが怒っているのではないか」と分析。「これまで森友・加計学園問題をはじめとして公文書の隠ぺいや改ざんなどが繰り返され、それに対する責任の所在等についてもあいまいなままにきている。見たくない事実はなかったことにしてごまかす姿勢が、自分の暮らしに直接関わる問題で見せられたことが、短時間で多くの皆さんの関心を招いているベースにあるのではないか」「今回の2000万円報告書を『存在しない』とか『受け取らない』といった弥縫策ではなく、一つの試算ではこういうこともある。そうした場合に自分の力だけではなかなか2000万円規模では貯蓄できないと不安を持っている皆さんたちと正面から向き合うことが、いま政府に求められている姿勢ではないか。今回の件であらためて突きつけられた公文書の管理や情報公開、議会における徹底した説明責任を果たす。こうしたことをなさっていくことが求められているのではないか」と迫りました。
枝野代表は、年金制度改革には長期的な期間が必要だとした上で、「多くの皆さんにとって、いまは健康だからこの年金で何とかやりくりしているが、病気になったとき介護が必要になったときの不安が大きい。この不安に向き合う姿勢が求められている。低年金であっても資産がなくても、万一のときに一定の医療や介護が受けられる安心こそが多くの高齢者の皆さん、あるいはまもなく高齢者になる皆さんが求めていることだと考えている」と主張。
医療費・介護費・保育費・障がい者福祉費の自己負担額合計に、所得に応じた上限を設ける総合合算制度の導入や、介護・医療サービス不足の要因となっている重労働で低賃金による人手不足の慢性化を解消するために介護・医療従事者の賃金の抜本的な底上げをしていくことで、高齢者の安心を高めていくことができると提案し、これらに対する見解を求めましたが安倍総理は答えませんでした。
枝野代表は、「総合合算制度については、一時導入の方向で話が進んでいたものが、軽減税率導入の財源にするために実施をされない流れになった」ことにも触れた上で、老後の安心のために介護・医療従事者の抜本的な底上げを進めていくことが、いまの社会政策、経済政策に対する明確な提案だとして訴えていきたいと述べました。