2019年4月19日
【参院本会議】大学修学支援法案等が審議入り 斉藤議員が質問
参院本会議で19日、高等教育の無償化に向けた「大学等における修学の支援に関する法律案」(大学修学支援法案)の趣旨説明・質疑が行われ、会派を代表して斉藤嘉隆議員が質問に立ちました。
大学修学支援法案は、本年10月からの消費税率10%引き上げを前提に、住民税非課税世帯とそれに準じる世帯の学生を対象に、大学や短大などの授業料と入学金を減免、生活費として返済が不要な給付型奨学金も拡充するものです。
斉藤議員は冒頭、野党各会派が先週、参院規則38条に基づき、予算委員長に対して委員会の開会の要求をしたことに言及。回答期限の16日、自民党から「開会されても所属議員は出席しない」との表明があり、委員長からは引き続き与野党間で協議するようにとの話があったと述べ、「これは自民党による明らかな審議拒否」と批判、早急に予算委員会開会に応じるよう立法府の一員として強く求めました。
本法案については、(1)消費増税実施の有無による影響(2)公的な教育支援の年収要件の定め方が異なっていることの論理的説明(3)従来の減免制度を維持するのか(4)支援対象は個人であり、機関要件による大学等の教育の質確保とは別問題ではないか(5)成績要件の内容(特に相対評価)は不当であり見直すべき(6)学び直し、リカレント教育の推進とも矛盾する、支援対象を高校等卒業後2年の学生までとする理由(7)現行の貸与型奨学金の制度の見直しと有利子奨学金の無利子奨学金への転換促進――などについて見解をただしました。
公的な教育支援の年収要件の定め方が異なっていることについて、今回の支援対象は住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯の学生となっており、本法案の大学生等に対しては低所得世帯に限る措置ですが、3から5歳児の幼児教育の無償化は所得に制限なく全世帯対象です。さらに民主党政権時代にスタートしたすべての高校生への授業料無償化は「自民党議員のばらまき批判が相次ぎ、現政権下で所得制限が設けられました」と語り、「公的な教育支援のあり方に対する考えが、幼児、高校生、大学生等で、それぞれバラバラで整合性なく、基本的なスタンスがまったく理解できない」と述べ、それぞれの施策の年収要件が違うことの説明を求めました。
学習状況要件について、「具体化に向けた方針」では平均成績が連続で下位4分の1の場合など認定を取り消すとされていると指摘。「平均成績が下位4分の1、それも各大学各学部での相対的評価であり、大学ごとのレベルは無視されてる。授業料減免と給付型奨学金が打ち切りとなれば、それは即座に退学を意味し、相対的評価である以上、毎年一定数の中退者を生むことになりかねない」として、省令制定にあたっては方針を見直すべきと述べました。
また、今回の奨学金給付はごく一部の限られた低所得者層へのものであり、貸与型奨学金の多くの利用者や返済者への支援とはなっていないと指摘。現在の貸与型奨学金に対して、返還猶予期間の15年などへの延長、延滞金賦課率を現行の5%から大幅に引き下げること、返済順序を元本返済からを基本とすること、人的保証の廃止などの具体的な対策を打つべきと話しました。
さらに全学生の2割程度を対象と想定した今回の施策には7600億円の予算が必要とされる一方、現在の有利子奨学金を無利子に転換するための予算は試算では350億円程度だとして、有利子から無利子への完全な変換を早期に実行してはどうかと大臣の答弁を求めました。
最後に、本法案は「高等教育の無償化」と言うにはあまりに対象者が少なく、日本が留保を撤回した国際人権規約13条2項(高等教育の漸進的無償化の導入により、すべてのものに均等な機会が与えられるものとする)に沿うものとは言えないと指摘、多くの点で改善が必要だとして、立憲民主党からの提案にも真摯に向き合うよう強く訴え、質問を終えました。