枝野幸男代表は30日夕、定例の記者会見を国会内で開き、同日の衆院本会議での施政方針演説に対する代表質問を終えての所感をはじめ記者からの質問に答えました。
枝野代表はまず、代表質問での安倍総理ら答弁を受け、「予想していたことではあるが、相変わらず聞かれたことに正面から答えない、都合の悪いことから逃げるという残念な答弁だった。そもそもいま、政治の一つの大きな争点がこうした答弁姿勢そのものが問われなければならないということではないか。今日質問に立って強く感じた」と発言。質問後にツイッター等での感想に「いつもと比べて声にハリがない」との指摘を受けたとして、「ちゃんと発声練習に勤しまなければいけないと反省をしている」と述べました。
厚生労働省の毎日勤労統計の不正調査問題で、雇用保険などの追加支給のため新年度予算案の閣議決定をやり直さざるを得なかったことについて、根本厚生労働大臣が「事案の具体的な内容や影響が明らかになっておらず、予算案との関係性を判断できる状況になかった」との旨答弁したことには、「にわかに信じがたい話。そうだとすると、失業給付等がどういう基準で算定されているのかという基本について担当大臣でありながらご存知ないことになる。少なくとも事務方が気づいて当たり前の話であり、事務方も気づいてないとすれば厚労省の能力が問われる。気づいていれば大臣に報告すべき案件であり、『知らなかった』というのは到底信じがたい」と断じました。
根本厚労大臣がこの問題について報告を受けたのが昨年12月20日、安倍総理がこの問題について厚労省から報告を受けたのは12月28日だと発言し8日間の空白があることの見解を問われると、「そもそも28日まで空白があったこと自体が信じがたい。もし本当にそうであるならば根本大臣含めて厚労省のサボタージュ、あるいは隠ぺいだと言わざるを得ない。もっと早く知っていたのではないか」と指摘。「今後国会論戦その他を通じて明らかにしていきたい」と述べました。
北方領土問題をめぐり、枝野代表の「日本固有の領土か」との質問に対し、安倍総理が「わが国が主権を有する島々だ」と答え、「固有の領土」と言及しなかったことを問われると、「今日の答弁だけ聞くと、わが国の基本的な立ち位置から後退しているのではないかと感じざるを得ない。従来から一貫している『固有の領土』という言い方をしていただけるようにきちんと詰めていきたい」との認識を示しました。
東京電力福島第1原発事故により、福島県外に限ってもいまだに全国に4万人以上の方が避難しているなか、避難者への対策の打ち切り、縮小が進んでいるとして、こうした状況に対して党を挙げて対策を講じるべきではないかの問いには、「ご指摘のような被害に遭われた方、避難をされている方に対する支援の打ち切りや縮小が適切ではないのではないかと思われるケースが少なからずあると私も思っている。一方で、ケースごとに状況が違うので、全部を一緒くたにすることは難しい状況にある。それぞれ個別のケースを見ながらしっかりと寄り添っていきたい」と表明。特に、自身が経済産業大臣時に仲裁機関を作ったときには、そこでの結論を事業者側は尊重することを約束しているとして、「仲裁機関における仲裁に対して事業者側が和解、仲裁を拒否している案件がいくつも積み重なっている。仲裁を拒否しているのは当時の約束違反であり、今後も厳しく指摘していきたい」と強調しました。
NGT48のメンバーへの暴行事件への所感を問われると、「NGT48の『世界の人へ』という最新曲は大変素晴らしく、私も歌えるようになったところ」と述べた上で、「今回の事件に限らず、未成年を含めた若い皆さんの安全・安心は所属事務所を中心に社会全体でしっかり守っていかなければならない。そうしたことへの枠組みや仕組み、慣習というものは、日本全体としてまだまだ十分ではない点がある。今回の件に限らず、特に未成年のアーティストを抱えている事務所、関係者の皆さんには、安全や安心のためにさらなる努力をしていただきたい」と述べました。