2018年12月21日

【談話】2019年度予算案について

立憲民主党政務調査会長
長妻 昭

 本日、2019年度政府予算案が閣議決定された。  

 一般会計総額は、過去最高の税収を見込み、新規国債の発行額を9年連続減額はしたものの、初の100兆円の大台を突破した。2019年10月には、消費税率を引上げ、国民に新たな負担を求めるのであれば、本来、消費の冷え込みへの経済対策を進めつつも、国自らが、行政改革を通じた歳出の見直しを図らなければならない。しかし、今なおアベノミクスの幻想に憑りつかれ、歳出の膨張を無節操に許し、バラマキ予算を続けていることは、極めて憂慮すべき事態だ。

 公共事業費は前年度比15%増の結果となった。毎年恒例の「今年の漢字」が「災」であったように、本年は大規模な自然災害が相次ぎ発生し、その復旧・復興のためには、公共事業を措置する必要性は一定理解する。しかし、防災や国土強靭化と称し、無駄な公共事業となっていないのか、事業内容、優先順位等について、厳しい精査が必要である。 

 防衛費については、「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の閣議決定を受け、5年間で約27兆円が投じられることとなった。また、後年度負担の残高が年間防衛費に匹敵するなど異常な状態にある。日本を含む東アジアの安全保障を巡る状況は一進一退であり、予断を許すものではない。しかし、第2次安倍内閣以降の防衛予算は、他の歳出項目と比して突出した伸びが継続している一方、自衛隊員の生活・勤務環境など、人的基盤強化予算が不足している実態もあり、基礎的な活動を支える予算の充実を優先しつつ、安全保障の強化を進めるべきである。 

 消費税率引き上げにあたっては、現役世代の不安を軽減するための社会保障財源を用い、複数税率(軽減税率)が導入されることとなった。国民にも、企業にも極めてわかりにくい制度であるとともに、また、軽減の対象にするか否かという政治による恣意的な選別を許し、結果、税制の私物化への道を開くものである。天下の愚策そのものであり、断固抗議するとともに、その撤回を求める。 

 東日本大震災を経験し、今なお、ふるさとへ帰ることのできない原発事故被災者を多く抱える我が国は、持ちうる高い原子力技術を、廃炉や新たな原子力災害の防止にこそ傾注すべきである。にも関わらず、経済産業省では、小型原子炉の研究開発が進められることとなった。我が国の経験を踏まえ、未来への責任を果たすためには、今こそ原発ゼロへの道を果敢に進むべきであり、新たな原子炉を進めることは決して認められない。

 これらの論点に止まらず、立憲民主党は、膨張し続ける予算案について、個々の歳出に無駄がないか、現下の課題に十分対応しているか、厳しい視点で精査を行っていく。

以上