2018年10月29日
【衆院本会議】枝野代表が安倍総理の所信表明に対し代表質問
衆院本会議で29日、安倍総理の所信表明演説などに対する各党の代表質問が行われ、立憲民主党・市民クラブを代表して枝野幸男代表が質問に立ちました。質問全文は以下のとおりです。
所信表明に対する代表質問
立憲民主党・市民クラブ 枝野幸男
私は、立憲民主党・市民クラブを代表して、総理の所信に対し質問します。
【議長談話】
先の通常国会の閉会後、大島議長は、「今国会を振り返っての所感」という談話を出されました。
談話は、「立法府と行政府の間の基本的な信任関係に関わる問題」や「国政に対する国民の信頼に関わる問題」が数多く明らかになり、「民主的な行政監視、国民の負託を受けた行政執行といった点から、民主主義の根幹を揺るがす」としています。その上で、「森友問題をめぐる決裁文書の改ざん問題」、「裁量労働制に関する不適切なデータの提示」、「陸上自衛隊の海外派遣部隊の日報に関するずさんな文書管理」を具体的に指摘し、「立法府の判断を誤らせるおそれがあるものであり、」「議院内閣制の基本的な前提を揺るがす」とまで述べ、政府に対し、「経緯・原因を早急に究明する」ことと、「再発の防止のための運用改善や制度構築」を強く求めています。
ところが、過日の所信演説では、議長談話について、そして、そこで指摘されている改ざん問題や文書管理について、何の言及もありませんでした。「国権の最高機関」とされている国会の議長が示した談話に、何のコメントもないことには強い憤りすら感じます。
総理は、議院内閣制の前提を揺るがした最高責任者として、議長の指摘にどう答えるのか。行政府の長として、この立法府の場において、責任をもって明確に答弁下さい。
【災害対策】
今年は、大阪北部地震、西日本豪雨災害、台風21号、そして北海道胆振東部地震など、大きな自然災害が相次いでいます。改めて、亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害にあわれた皆さんにお見舞いを申し上げます。
ようやく、これら災害に対処するための補正予算が提出されました。
北海道の地震からすでに約2カ月、西日本の豪雨からは実に4カ月近く過ぎています。私たちは、それぞれの災害直後から、復旧に向けた補正予算を早期に編成するよう強く求め、通常国会閉会後は臨時国会の召集を要求してきました。しかし、政府与党は、そのたびに予備費がある、総裁選挙を行っているなどの理由で、補正予算の編成を先延ばしにしてきたのです。
関係自治体には、補正予算の裏付けがないと、思い切った対策や計画を進めにくいという事情があります。この間の対応は遅きに失したものであり、「被災地置き去り」と言われても仕方ありません。
補正予算の編成が遅れたことによって問題は生じていないと思っているのか、総理の認識をうかがいます。
私は、先週、北海道の奥尻島を訪ねました。
奥尻島は、1993年の北海道南西沖地震によって198名の人命が失われ、300戸以上の家屋が全壊するなど、甚大な被害を受けました。それから25年が経過した今日、島は表面上、被害から立ち直っているようにも見えます。また、島の皆さんは、高齢化・人口減少が進む中、災害の記憶を胸に、地域が一体となってまちおこしに取り組んでいます。
しかし、詳しく話をお聴きすると、国などからの予算措置があったとはいえ、この間の町の財政負担が膨大な規模にのぼり、防災拠点となるべき町役場をはじめ老朽化したインフラ整備の予算が確保できないなど、今なお災害の影響が大きく及んでいることがわかります。
大災害が発生した直後は、世の中の注目や関心も高く、政治や行政、そしてボランティアなど民間の対応も比較的多く行なわれているのに対し、復旧の段階から復興段階に移っていくにつれて、徐々に世の中の関心も薄れがちです。しかし、被災者や地域が元の姿を取り戻すには、本当に長い時間がかかることを改めて痛感しました。
長期にわたる復興の取り組みを息長く応援していくことこそ、政治に携わる者の責任です。奥尻島や阪神・淡路大震災の被災地、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故、そして熊本地震など、常に被災地に寄り添い続けること、そして今年の相次ぐ自然災害に対しても息の長い支援を続けていくことを、立憲民主党としてお約束するとともに、政府にもこうした姿勢を強く求めます。
【経済政策】
この間、企業の内部留保が過去6年連続で増え続け、2017年度では過去最高の446兆円となりました。しかし、企業の稼ぎから働く人に回る労働分配率は、43年ぶりの最低水準となっています。金融緩和と円安によって、大企業と輸出企業の業績は向上しているものの、6年経っても働く人たちに行きわたっていません。
自民党総裁選挙において総理は、「企業に3%の賃上げを要請」し、「多くの企業が3%を引き受けてくれた」と繰り返し発言しました。9月16日のNHK討論番組では、「今年の春闘で、一般の企業については7割以上で3%の賃上げが行われた」と一歩踏み込んだ説明をしています。
しかし、企業の賃上げについて経団連が4月に公表した調査結果では、「2%を超える企業が76.3%」と記載されており、「3%以上で76%」の数字は見当りません。連合の調査結果による賃上げ率は平均2.07%であり、厚生労働省の調査結果でも平均2.26%です。総理の説明は、これらの実態と食い違っています。
「一般の企業について7割以上で3%の賃上げ」という具体的な根拠について、総理の答弁を求めます。
所信表明では、雇用情勢についても、就職率や有効求人倍率の改善を述べていましたが、同じ演説の中で、「この五年間、生産年齢人口が450万人減」っていること、その中で、女性の就業者が増えているとはいえ200万人にとどまっていることも認めており、経済政策の成果ではなく、人口動態の変化こそ、雇用情勢が好転しているように見える主たる要因です。
このように、総理が、まやかしとも言って良いような水増しされた成果を強調しても、多くの国民は、豊かさや経済成長、暮らし向きの改善を実感していません。都合の良い数字ばかりが並んでも、中身が伴っていない以上、多くの国民がこうした認識を持つことも当然だと思いますが、総理は、こうした国民の実感についてどう考えているのか、見解を求めます。
大企業や富裕層など「強い者、豊かな者」をさらに強く豊かにすることで社会全体を引っ張り上げる。そうすれば、いずれ豊かさが国民各層に滴り落ちる。こうした昭和の高度成長をもたらした「上から」の経済政策は、時代遅れになっています。
経済低迷の主たる原因は消費の低迷であり、その背景には、将来不安や、格差の拡大による「消費したくても消費できない」貧困層の増加があります。
私たちは、将来不安の解消に向けて大きな需要がありながら、低賃金で人手不足が慢性化している分野、象徴的には保育や介護などの分野における賃金底上げに、限られた財源を優先的に配分すること、そして、適切な所得再分配政策を推進することこそが、新しい時代の経済政策だと、一貫して主張しています。詳細は、本年7月20日の本議場における演説で申し上げましたので繰り返しませんが、今後の委員会審議などを通じて、この方向性に基づき、より具体的な論戦を挑んでまいります。
【消費税引き上げ】
政府は、来年10月に、消費税率を現行の8%から10%に引き上げることを閣議決定しました。
総理は2年前、消費税率引き上げを2年半延期すると表明した際、その理由について「世界経済が大きなリスクに直面している」と述べています。
そのリスクが小さくなったとは、とうてい言えません。国内を見ても、賃金や内需の伸びはなお力強さを欠いています。足元では、日米ともに株価が急落するなど、過去の先送りを決めた時点と比べて、経済状況の見通しはより不透明になっています。
私は、6年前、消費税引き上げを決めた三党合意を構成する民主党の一員でした。しかし、その合意の前提は決定的に覆されています。
一つはその使い道です。その象徴が、保育所等の無償化に要する8,000億円です。財源に余裕があれば、幼児教育の無償化を進めることに私たちも賛成です。しかし、逆進性の強い消費税を引き上げながら、高額所得者ほど恩恵が大きい保育所等の無償化を進めるというのは、とうてい理解できません。保育料は保護者の所得などによって既に違いが設けられており、低所得の場合には負担が免除されています。なぜ無償化を急ぎ、より緊急性が高い待機児童解消に限られた財源を集中しないでしょうか。
もう一つは格差の拡大と低所得者の増大です。この間、貯蓄ゼロ所帯の急増など格差の拡大と固定化は確実に広がっていますが、総理には見たくない現実なのでしょう。逆進性対策を取ったとしても、低所得者に大きな打撃を与える消費税引き上げが可能な状況ではありません。
【逆進性対策等】
しかも政府は、消費税率引き上げに伴い、高所得者も恩恵を受け、逆進性対策とはならない天下の愚策、軽減税率の実施を決めています。軽減税率となる対象品目の線引きはなお難しいまま。中小事業者の準備も全く進んでいません。実施時の混乱は明らかです。そもそも6,000億円とも言われる恒久財源は全く確保されていません。
これに加え、クレジットカードを利用したポイント制度やら、マイナンバーカードを利用した商品券の配布やら、様々な案が伝えられています。伝えられるのはバラまく手法ばかり。呆れて言葉もありません。
街の魚屋で、八百屋で、肉屋で、クレジット決済を利用する人など、どれだけいるのでしょうか。やむなく小規模商店が導入したとしても、導入費用やクレジット会社への手数料の転嫁が可能でしょうか。また、クレジットカードを持つには審査が必要ですから、低所得者をはじめ持つことができない人がいます。結果的に、低所得者、小規模事業者、高齢者、地方経済を切り捨てるものです。
クレジット決済利用率を向上させたいあまり、消費税率引き上げを利用しようという姿勢は、「卑怯」そのもの。
所信表明で、「引き上げが経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる施策を総動員する」とおっしゃいましたが、本当にこんな愚策を考えているのか。他にどのような施策を検討しているのか。総理の答弁を求めます。
【憲法】
総理は所信表明で「国の理想を語るものは憲法」とおっしゃいました。
しかし、憲法は、総理の理想を実現するための手段ではありません。憲法の本質は、理想を語るものでもありません。確かに形式的意味の憲法に理想を語っているとも読めるプログラム規定が含まれることはありますが、憲法の本質は、国民の生活を守るために、国家権力を縛ることにこそあります。
総理の勘違いは今に始まったことではありませんが、ここでもう一度、申し上げます。総理、憲法とは何か、一から学び直してください。「国家権力の正当性の根拠は憲法にあり、あらゆる権力は憲法によって制約、拘束される」という立憲主義を守り回復することが、近代国家なら当然の前提です。憲法に関する議論は、立憲主義をより深化・徹底する観点から進められなければなりません。憲法を改定することがあるとすれば、国民がその必要性を感じ、議論し、提案する。草の根からの民主主義のプロセスを踏まえて進められるべきであり、縛られる側の中心にいる総理大臣が先頭に立って旗を振るのは論外です。
【公文書管理】
議長のご指摘にもあるとおり、公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民全体の共有財産であり、国民が主体的に利用するものです。これは、公文書管理法の第1条に明記されています。その公文書を改ざんする行為は、民主主義を揺るがす重大な犯罪行為であり、国民に対する背信に他なりません。
政府は、内閣府の「独立公文書管理監」を局長級へ格上げするとともに、各府省における公文書管理状況のチェック体制を整備したなどと言っているようですが、深刻な改ざんの実態が明らかになったことへの対策としては、全く不十分です。
立憲民主党は、独立性と専門性を兼ね備えた仮称「公文書記録管理庁」を設置すべきと考え、議員立法に向けた作業を進めています。独立性と専門性が高く、強い権限を持った公文書管理機関の必要性について、総理の見解を伺います。
【第一次産業】
安倍内閣は、農林水産等一次産業分野においても、競争万能主義の考え方をとり、あまりにも性急で硬直的な効率化と大規模化の道筋を突き進んでいます。今国会では、水産業改革が重要な論点となっていますが、漁業権に関する大きな変化が関係者に大きな不安を与えており、特に沿岸漁業に著しい悪影響を与えるのではないかと指摘されています。
競争力強化の観点から、一次産業においても効率化・大規模化を目指すべき部分があることについては、全面的に否定するものではあません。
しかし、農林水産業の価値は、市場で評価される金銭的なものだけではありません。農山村や漁村、離島等で生活を営んでいくことは、伝統・文化の継続や国土政策や安全保障の面でも重要です。安全・安心な食べ物を求める全国の消費者、すなわち全ての国民にとっての利益にもつながります。水や土地、緑や海などの自然環境を守る役割には、かけがえのない価値があります。
一次産業に携わる皆さんが安心して地域社会で暮らしていくことができる。そんな社会を実現するために、競争のみに偏るのではなく、地域に寄り添う視点と施策こそが必要です。そのための第一歩として、私たちは農業者戸別所得補償制度の法制化を目指しています。農業者戸別所得補償制度提案に対する総理の見解を求めます。
【障がい者雇用水増し】
中央省庁の障害者雇用水増し問題について、第三者による検証委員会が報告書を公表し、根本原因として、「意識の低さ」を指摘しました。障がい者雇用のかじ取り役となるべき省庁の不正は言語道断ですが、残念ながら総理の所信で、この問題に対する言及はありませんでした。
水増し問題そのものは、私が閣僚であった時期を含め長期にわたり、私自身を含め、問題を把握できなかったこの間の政治全体の責任です。この点で、安倍総理だけの責任を問うつもりはありません。しかし、問題が明らかになった後の、総理の対応にははなはだ疑問があります。
総理は、所信で触れる必要のない軽微な問題との認識なのでしょうか。具体的な再発防止策、特に中央省庁の意識改革に向けた具体策を含め見解を求めます。
【入管法改正】
今国会では、戦後初めて、単純労働分野での外国人を受け入れ可能とする入管法改正案が提出予定とされています。これまで総理自身が否定してきた移民受け入れ政策への転換とどう違うのか、明確な答弁を求めます。
合わせて、問われるのは受け入れ体制です。職場環境、日本語習得体制、住宅問題、社会保障など、本格的な受け入れの前提となる整備は、十分とは言えません。
総理は所信表明で、群馬におけるベトナム人青年の成功例を取り上げました。私も先日、北海道でベトナム等からの技能実習生を受け入れている農場を訪ね、日本に来られた方も、受け入れた方も、ともに喜んでいる成功事例に接してきました。
他方で、多くの在日ベトナム人の方々がお参りする寺院に、日本で亡くなったベトナム人青年の位牌が多数安置され、「日本で働いたベトナムの青年が多く亡くなっている。自殺や突然死も多い。日本は働きやすいとはいえない。」と言われている。そんな指摘もあります。
見切り発車では、日本の人権レベルが国際社会から問われかねず、大きな禍根を残します。受け入れ体制の整備に、いくら予算をつけて具体的に何をするのか、明確な説明を求めます。
【企業コンプライアンスの低下】
企業のコンプライアンス、法令順守の機能や姿勢が著しく低下し、消費者などに不利益が生じています。最近も、免震オイルダンパーの件が問題になりましたが、この間、品質データの改ざんや新幹線台車問題など、社会の根底を揺るがしかねない問題が次々と起こっています。「鯛は頭から腐る」という格言どおりの状況が、政治から、企業社会にも広がっているように思います。
特に、スルガ銀行の問題は、消費者保護と金融機関の信用という両面に関わる重大問題です。十分な資産や投資経験のない方が、スルガ銀行から多額の融資を受け、土地を購入してシェアハウス等賃貸用建物の建築を行いました。しかし、家賃保証をしていたサブリース会社が経営破綻し、賃料収入が途絶え、シェアハウスの管理運営も担わなければならず、深刻な事態に陥っています。
スルガ銀行が、真摯に顧客に対応し、適切な融資判断を行っていれば、無茶な投資には歯止めがかけられていたはずです。しかし、実際には、サブリース業者に融資の審査条件を漏洩し、偽造が行われていた書類も見て見ぬふりをし、疑念を唱える審査部もトップダウンで押さえつけ、融資がなされてきたのです。
通常であれば、投資のリスクと負債は、投資を行った人自身が背負う必要があります。しかし、投資を行うにあたって、判断に必要かつ適切な情報を与えられず、信頼する銀行に騙されてしまった方々にも、同じように責任を問うのはあまりに過酷ではないでしょうか。国として、適切な救済のあり方について検討すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
また、これらをチェックできなかったばかりか、むしろスルガ銀行の経営を高く評価していたと言われても仕方がない金融庁の責任をどう考えるのかもお答えください。
【エネルギー政策】
東京電力福島第一原子力発電事故から7年以上が経過しました。安倍政権は、原発事故の教訓など忘れたかのように、原発ゼロ方針を反故にして、原発再稼働へと突き進んでいます。そこに、原発被災者に寄り添う姿勢は全く見られません。
私たちは、原発ゼロはリアリズムであり、原発ゼロを決断することこそが政治の責任であると考え、原発ゼロ基本法案を衆議院に提出しています。
原発ゼロ基本法案は、本年3月9日に提出されましたが、私たちの強い要求にもかかわらず、全く審議されないまま通常国会は閉じられました。この他にも、委員長提案を除き37本の議員立法を提出しましたが、そのほとんどが審議されていません。特に原発ゼロ基本法案を所掌する経済産業委員会では、政府提出法案の処理がすべて終了しており、時間は十分にあったにも関わらず、委員会の開催と法案審議は、拒否され続けました。
自民党は野党の審議拒否を散々非難してきましたが、時間がありながら議員立法を審議しないことこそ究極の審議拒否です。この臨時国会こそ、原発ゼロ基本法案をはじめ、立憲民主党が提出した議員立法について審議を行うよう強く求めます。
先の北海道胆振東部地震では、北海道全体がブラックアウトするという異常事態が生じました。大規模集中型電源構成の持つリスクが顕在化したものであり、再生可能エネルギーを中心とした小規模分散型の電源構成で、リスクを下げることの重要性が改めて明確になりました。
立憲民主党は、大規模集中型の電源構成から、エネルギーの地産地消、分散型エネルギーへの転換により、災害にも強く、地域でお金が回る仕組みへの転換をすべきである考え、分散型エネルギー社会推進4法案を今国会に提出予定です。これらの法案についても審議拒否することなく、しっかりと審議し、成立させていただければと思います。分散型エネルギー社会の重要性に対する総理の認識を伺います。
【日米貿易交渉】
9月の日米首脳会談において、物品貿易協定(TAG)の交渉開始で合意したそうですが、本当はどのような合意であったのか、総理のその後の発言を聞いても、日米間の認識の違いなど疑問点ばかりです。
総理がいくら自由貿易協定(FTA)とは異なると言い張っても、ペンス米国副大統領等がFTAと明言していると伝えられています。TAGは「FTAと言いたくないための詭弁」との指摘もあります。これらの指摘にどのようにお答えになるか、お尋ねします。また、そもそもFTAとTAGはどう違うと考えているのか、日米共同声明の本文に基づいて、改めてきちんとご説明を願います。
【核兵器廃絶】
トランプ米国大統領が、INF(中距離核戦力)全廃条約から離脱するとの方針を明らかにしました。核兵器廃絶の流れに全く逆行するものであり、唯一の戦争被爆国として見過ごすことはできません。
総理は、このトランプ大統領の方針表明に対してどう考えるのか。米国の条約からの離脱を、わが国は黙認・容認するつもりなのか。明確な答弁を求めます。
昨年7月、国連で122もの国・地域によって採択された核兵器禁止条約に、わが国は棄権すらせず、反対という態度をとりました。核保有国と非保有国の対話を促すと言いながら、その役割を十分に果たしているとは言えません。日本政府、そして総理ご自身の核兵器廃絶に向けた決意を、根本から疑わざるを得ない状況です。
総理には、被爆者の皆さまもお持ちであろうこうした懸念を払拭するためにも、この場で改めて核廃絶への決意を語るよう求めます。
【辺野古基地建設問題】
先の沖縄県知事選では、この本会議場で席を共にした玉城デニーさんが当選しました。那覇市長選等も含め、この間の沖縄での数々の選挙結果が示したものは、沖縄のアイデンティティがイデオロギーを超えて県民の幅広い支持を得たということに他なりません。辺野古新基地建設のこれ以上の強行は認められないという、沖縄の民意は明らかです。
安倍総理は、玉城知事就任後すぐに面会して、「沖縄県民に寄り添う」と言っておきながら、僅か5日後に、沖縄県による埋め立て承認撤回への対抗措置に出ました。片方で手を差し伸べながら、片方で頬を張るようなやり方は人の道に反します。
所信表明で、原敬の言葉を引き、「常に民意を存するところを考察すべし」と高らかに宣言した総理にお聞きします。沖縄が明確に示した民意は、あなたにとっては民意ではないのですか。あなたにとって沖縄の民意とは、辺野古新基地の建設を強行してよいと聞こえているのですか。はっきりと説明してください。
【北朝鮮情勢】
北東アジア情勢を俯瞰すると、南北、米朝、中朝などがハイレベルの会談を断続的に行っている中、わが国が蚊帳の外に置かれているという懸念を払しょくできません。日朝首脳会談について意欲をお示しになるのは結構ですが、一向に事態が進展したとの話を聞きません。拉致問題も進展の気配はなく、大変憂慮しているのは私だけではないと思います。
最後に、首脳会談実現に向け、決意だけでなく、何が実現を妨げているかという現状認識を総理にお尋ねし、質問を終わります。