立憲民主、国民民主、無所属の会、共産、自由、社民の野党5党1会派は共同で25日午前、加藤厚生労働大臣に対する不信任決議案を衆院厚生労働委員会に提出しました。同日の委員会は委員長の職権で立てられ、質疑後に働き方改革関連法案の採決することを決めていましたが、不信任案決議案の提出を受け、休憩となりました。

 同委員会は同日夕、衆院本会議で大臣不信任決議案が否決されたことを受けて審議を再開。野党議員の質疑終局に併せ与党が採決を強行しました。

 午前中、質疑に立った西村智奈美議員は、裁量労働制をめぐる労働時間の調査結果に不適切なデータが含まれていた問題で、厚労省は全1万1575事業所のうち、2割強に当たる2492事業所のデータを削除したと発表しましたが、その後残りの8割に当たるデータを見直したところ、そこにもおかしなところがあったと指摘。「底なし沼だ。チェックするたびに次々と誤りが見つかる。何を信じたらいいのか分からない」とあらためて問題視しました。

 なかでも、尾辻かな子議員が異なる通し番号でデータがすべて一致しているものが6件あると指摘したことに対し、厚労省の労働局長が「理論上はありうる」、加藤大臣は「精査は上がっている」旨の答弁をしたことに言及。それが今朝の理事会で「実はコピーが存在していて同一の調査票を二重に集計していた」と認めたことに対し、政府の対応を厳しく非難しました。

 西村議員は「こんなデータでどうやって議論ができるのか。そして私たちがこのデータの精査のために費やした時間はどれほどだとお思いか。それに対する答弁もいい加減であり、余計に時間を費やすことになった」などと批判。「データを原票に当たって精査をしてもらわなければ採決などできない。(働き方関連法案は)このデータを出発点として労政審(労働政策審議会)の議論が始まり、閣議決定され、いまここで議論されている。その法案の採決前にはデータの精査をすべきだ」と求めましたが、加藤大臣は「精査したプロセスには何ら問題ない」と拒否しました。

 西村議員は、「こんな無茶苦茶なデータを次々と国会に出してきて議論しろというのは本当におかしい。与野党ともに怒らないといけない。一緒に怒ってください。こんな状況では採決なんてできない」と与党議員にも呼びかけ、「こんな状況では審議などできない。加藤大臣、あなたは不信任です。不信任案を提出しました」と断じました。

 加藤大臣への不信任決議案は西村議員の質問中、9時45分に提出されました。