衆院予算委員会で14日、外交・安全保障等に関する集中審議が行われ、枝野幸男代表が質問に立ちました。枝野代表は、(1)裁量労働制の拡大(2)現職の陸上自衛官が提起した「命令服従義務不存在確認請求控訴事件」(3)総理の憲法9条改定に関する発言(4)解散権の意義(5)憲法53条後段(6)待機児童問題(7)佐川国税庁長官問題――について取り上げ、安倍総理ら政府の見解をただしました。
裁量労働制をめぐっては、安倍総理は「裁量労働法制で働く人の労働時間は平均で一般の労働者より短いというデータもある」と発言していましたが、同日の委員会で「精査が必要なデータをもとにした答弁は撤回しおわびしたい」と自身の国会答弁を撤回し謝罪。加藤厚生労働大臣が、データの根拠となった厚生労働省の2013年度労働時間等総合実態調査について精査中だとしているなか、枝野代表は「データの出た時期を考えると労働政策審議会(労政審)などの議論でも、こうしたデータ、間違った根拠に基づく議論がなされ、それに基づいて法案が出され、国会で審議がされたのではないかという重大な疑義がある。ただでさえ野党の質疑時間が減らされているなかで、こんなにも時間を空費させた責任をしっかり取ってもらいたい」と委員長に迫りました。
河村委員長は「データ的に瑕疵(かし)があるという指摘があり、このような結果になったことは遺憾に思う」と発言。枝野代表は、引き続き理事会での協議を求めるとともに、精査中のデータについては、事業者名以外すべてのデータと、どういう計算根拠に基づき平均時間を出したのかを明らかにするよう求めました。
枝野代表はまた、「裁量労働制が今回拡大されようとしている。そうなると時間外手当が基本的にはつかなくなり、長時間労働がますます進むのではないかという本質的な問題がある。営業職一般に適用されかねないような条文になっており、こうしたことは国民の皆さんの働き方に直接かかわってくる問題だ。そのもとになっているデータが国会で繰り返し質疑をされたなかで『おかしいのではないか』と精査がなされているということを知っていただきたいし、厳しく追及していきたい」と力を込めました。
枝野代表は質疑後、国会内で記者団の取材に応じ、質疑に立った感想について「時間が短かったので聞きたいテーマを全てできたわけではないが、聞けたテーマについては、政府のいい加減な姿勢と、われわれの主張は明確にできたのではないか」と話しました。
また、裁量労働制めぐり安倍総理と加藤厚労大臣が、データと「一般労働者よりも短いというデータもある」との答弁を撤回したことについては、「裁量労働制の方が労働時間が短いかもしれないといったことを前提に法案を議論してきたので、本来であれば、一度法案を撤回し考え直す。もう1つは、これまでそうした間違った答弁に基づいて浪費をせざるを得なかった時間を、しっかりと別枠で質疑時間に上乗せしてもらう。この2つは最低限やってもらわないといけない」との見解を語りました。