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2018年2月13日

【衆院本会議】「所得税法等改正案」「国際観光旅客税法案」について質問 生方議員

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 衆院本会議で13日、所得税法・国際観光旅客税法の趣旨説明が行われ、立憲民主党を代表して生方幸夫議員が質問に立ちました。質問原稿全文は以下の通りです。

 立憲民主党の生方幸夫です。立憲民主党を代表して「所得税法等改正案」、並びに「国際観光旅客税法案」について質問いたします。

 今週の金曜日、16日から確定申告が始まります。税務署の職員にとってはもっと忙しい期間が始まるわけですが、今年はいつもにもまして忙しいことが予想されます。

 なぜなら、今年は申告の質問に加えて、自分たちの上司についての、質問にも答えなければならないからです。

 国税庁のトップは前財務省理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)氏です。佐川氏は国税庁長官に就任して以来、恒例となっているはずの記者会見を一度も開いておりません。

 国会では、我々の質問に対して、「資料は廃棄した。面会記録はない」を繰り返していた方が、今度は一転、記者の質問には一切答えていません。

 麻生財務大臣は「国税庁所管以外に関心が高まっていたから実施しなかった」と森友問題の追及を避けるために佐川長官が記者会見を開かなかったことを擁護するような答弁をしています。とんでもない話です。

 国税庁長官は徴税のトップです。その人に国会でウソをいったのではないかという疑惑がかけられていたのでは、部下がしっかり仕事ができるはずはありません。

 国有財産は財務省の財産では有りません。いうまでもなく国民の財産です。所管する財務省としては、財政がひっ迫している中、少しでも高く売るというのが基本的な立場です。

 しかるに、森友学園への国有地の売却の過程を見ますと、高く売るどころか、買主の要求に応じて、価格を決めるという極めて不明瞭なことが行われたことが明らかになっております。

 これまで国有財産の売却で、一度もしたことがない定期借地権を与えるとか、随意契約で延納特約をつけたとか、売却額を非公開にしたとか、例外措置がずらっと並んでいます。その結果、最終的に9億5千万円の価値がある土地を1億3千万円で売ってしまった。国民の側からすれば、8億円を超える損をしたことになります。

 会計検査院の調査でも値引きについて「十分な根拠が確認できない」という報告が出ています。書類を廃棄したと言っておきながら9日にも会計検査院に提出していなかった新しい書類が20件も出てきた。このままいけば、更に隠されていた書類がでてくる可能性が高い。これでは財務省の言うことを誰も信用しなくなってしまいます。

 一般の法人は確定申告の後、取引記録などの帳簿を7年間保存することが義務付けられています。確定申告で書類を求められた法人が「書類は軽微なものだったので破棄しました」と言ったら職員はどう答えればいいのですか。

 佐川氏の証人喚問がなければ国にとって大事な徴税義務に支障がでます。麻生財務大臣、佐川氏にきちっと国会で説明するように要請していただけますか。

 それができないのであれば、佐川氏には国税局長官を辞めていただかなければいけません。総理は適材適所だといっていますが、我々から見れば「不適材、不適所」そのものです。総理、証人喚問に応じない場合は、更迭をするべきだという私たちの要求について、お考えをお聞かせください。

 これに関連して安倍昭恵さんについても触れないわけにはいきません。国有財産が不当な安値で売られた裏には、昭恵さんが森友学園の名誉校長だったということ抜きにしては考えられません。

 昭恵さんは「自分も真実を知りたい」などと他人事のように述べておりますが、真実を知りたいのは国民の方です。もう一方の当事者である籠池夫妻は証人喚問され、詐欺容疑でもう半年以上も収監されたままです。

 真実を明らかにするためには籠池夫妻にも再度、国会に来ていただき、ウソが言えない証人喚問の場で、真実は何かを国民の前に明らかにする必要があると考えますが、総理いかがですか。

 もう一つ国民が納得していない事例があります。加計学園の問題です。もうすでに入試の受付が始まっており、獣医学部が少ないということもあって、大変な倍率になっているようです。それはそれでいいのですが、加計学園に関する疑惑が晴れたわけではありません。

 これも肝心かなめの加計孝太郎理事長が一度も国民の前できちんと説明をしていないという事実があります。

 ここでも例外措置を重ねて、友達のために国家戦略特区に今治市を指定し、獣医学部の新設を認めさせた疑念があります。問題なのは行政が恣意的に歪められた恐れがあるということです。

 前川前文科事務次官が「あったことをなかったことにするわけにはいかない」と証言したように、総理の友人であることを忖度して、ことが進められたことは疑いようがありません。

 行政府の長である総理大臣が行政を公正・公平に実行しなかったかもしれないと、国民が思ったら誰も税金をきちんと納めようとは思いません。

 真相解明のためには、加計学園理事長の証人喚問が欠かせないと思いますが、総理、友人として加計氏に証人喚問にでるように説得する気はありますか。ご答弁ください。

 政党助成金も税金で賄われています。その使途に疑問符がつけられれば、国民の納税意識に大きな影響を与えます。茂木経済担当大臣は地元の有権者に線香や国会手帳を配ったそうです。茂木大臣は「政治活動の一環として政党支部の秘書が行った」と答えていますが、これで納得する国民が一体何人いるでしょう。

 過去に小野寺防衛大臣が有権者に線香を配ったという事例がありました。小野寺氏の場合は潔く議員辞職をしました。どうして茂木大臣は辞任をしないのか、総理はどう考えているのでしょうか、お答えください。

 ここから個別事項についてお尋ねします。まず、給与所得控除についてですが、今回の改正では控除額の上限について、年収が850万円を超える会社員や公務員が対象となりました。しかし、なぜ850万円を基準にしたのか、十分な説明がなされておりません。

 与党の中で自民党は800万円を公明党は1,000万円超を主張し、その中間で「取りやすいところから取る」ということで850万円が決まったという話もあります。根拠なく場当たり的に決めたといわれても仕方ありません。

 年収850万円は都市部では必ずしも高所得層とは言えません。中間層といっても過言ではないのが実情です。消費が盛り上がらない景気環境の中で、消費性向の高い中間層を対象にした増税は、さらなる消費の落ち込みを招きかねません。どうして850万円を基準としたのか、消費への影響をどう考えているのか財務大臣お答え下さい。

 法人税制についてお伺いします。大企業は高収益を上げているにも関わらず、賃上げは十分に進んでいません。一方、企業の内部留保は2016年度の法人企業統計で406兆円超と、過去最高を更新しています。

 企業の行動を国が指図することは出来ませんが、税制改正を通じ、人への投資を促すことは可能です。今回の改正では所得拡大促進税制を見直し、十分な賃上げも設備投資もしなかった企業には税額控除の適用を停止することで、内部留保の活用を求めています。

 しかし、これまでの経験からして、本当に実効性があるのか、はなはだ疑問です。所得拡大促進税制がどんな効果があったのか、また、さらなる賃上げを促すために、税率の引き上げや租特の廃止を含む法人税制の抜本的な改正をするつもりがあるのかどうか、財務大臣の見解を伺います。

 次に金融所得課税について伺います。ここ数日株価は乱高下していますが、年初から株式市場はバブル以来の最高値を記録するなど生活実感とかけ離れたところで盛り上がっています。

 しかし、来年度税制改正では、金融所得課税の引き上げに向けた議論が十分に進むことなく、給与所得者を中心とした増税が議論されることとなり、格差の固定化が一層進むのではという懸念があります。

 高所得者の所得源の多くは給与所得よりも金融所得であるという調査もあり、このままの状況が続けば高所得者ほど所得税負担が小さくなるという逆転現象を生んでしまいます。様々な商品が乱立する金融市場の実態を鑑み、金融所得課税の引き上げが必要と考えますが、財務大臣はどうお考えでしょうか。

 また、最近、不正流出などの問題が発生している仮想通貨について伺います。十分な防御措置が取られないまま仮想通貨が投資対象として活用されております。仮想通貨自体への規制のあり方、市場における健全性確保をどうするかについて今後議論が必要です。税務当局として、課税対象の捕捉、課税のあり方などどのように進めていくお考えかを合わせて伺います。

 国際観光旅客税について伺います。日本を訪れる外国人観光客が順調に増えていることは、好ましいことです。しかし、観光客が増えたからと言ってすぐに、税を課すというのは、やはり取りやすいところから取るという発想と言わざるを得ません。

 税額は出国一回につき1,000円となっております。旅行者にとってそう負担になる額ではないと思いますが、これ以上増やさないように、要望しておきます。

 この税の目的は観光基盤の拡充、強化を図るためとされております。そうであるならば、国税として国が全額を徴収するのではなく、空港や港が置かれている地方にも財源の一部を回す方が、より効果的と考えますが、財務大臣いかがでしょうか。

 今後の税制改革について伺います。先の衆議院選挙で総理は社会保障と税の一体改革によって決定された消費増税の引き上げに伴う税収増加分について、教育や子育て支援に転用するなど使途を大きく変更しました。

 その結果、財政健全化目標も先送りになり、過日示された、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」では、プライマリーバランス黒字化目標の達成は、当初の目標から2年遅れ、2027年まで遠ざかることになりました。何度も先送りしてきたこれまでの経緯から言えば、この目標すら達成は難しいと言わざるをえません。

 高齢化に伴い、支出は今後も増え続けることが予想されます。それに引き換え、税収が大幅に増えるということは予想しづらい状況です。そうであれば、きちんとした将来像を示し、甘い見通しを繰り返すのではなく、真剣にあるべき税負担について国民に示すことが責任ある政府の態度だと考えます。総理のご見解をお伺いします。

 最後に、日銀総裁の任期は4月に迫っております。この間、デフレ脱却のためと称して、日銀は大規模な金融緩和を実施し、マイナス金利まで導入しました。

 しかし、目標とした物価上昇2%はついに見果てぬ夢と終わってしまいそうです。欧米諸国はすでに金融緩和から脱出しつつあります。ところが日本では依然として2%目標を掲げたままで、まっとうな出口論争が行われていません。

 財政規律がないがしろにされたたまま、超金融緩和政策を続けていけば、いつか円が急落するとか国債が暴落するなどの不測の事態が起こる危険があります。

 いわばアベノミクスの後始末ともいえる出口戦略を総理はどう考えているか、また、巷間言われておりますように黒田総裁を続投させるのかどうかを総理にお尋ねして質問を終わります。