福山哲郎幹事長は1日、国会内で定例の記者会見を開き、(1)安倍総理の辞意表明(2)新党の立ち上げ(3)新党の代表選出・党名決定選挙と結党大会の日程――について発言しました。

 安倍総理の辞意表明を受け福山幹事長は、「安倍政権にも終わりがある」と改めて感じたと語り、平家物語の冒頭「祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」の一節が浮かんだと述べました。病気が悪化し辞めることについて、「無念だったろうと推察」「1日も早い回復をお祈り申し上げ、療養に万全を尽くされることを祈念したい」と語りました。

 また、新党立ち上げ準備を進めている中で、自民党の総裁選挙が行われることについて、「同じ時期に代表選挙と総裁選挙が行われることは時代の要請」だと語り、「巨大な自公(自民・公明)に、大きい塊となった野党がどう挑み、どう国民に選択肢を示していくのか、そういう競争の状況になった」と分析しました。そして大きな節目になるとして、「命と暮らしを守り、しっかり機能する政府を作っていかなければならない」「安倍政権の7年8カ月をしっかり検証し、緊張感のある政治状況を作っていきたい」と強調しました。

 新党の代表選出・党名決定選挙については7日告示、10日投票。結党大会は15日に開催することを報告しました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

記者)
 自民党総裁選に関連して、今日の自民党総務会で総裁選は党員投票はせず、国会議員と県連代表による投票で決める方法が決まりました。
 他党のことですが自民党総裁は総理大臣にもなる方なので、自民党内から党員投票をやるべきとの声が多数上がる中、こうした方法に決まったことについて、どのようにお感じになるか。
 もう1問、合流新党に関連して、民間産別の組織内議員9人が合流新党には来ないと決めました。1人でも多くと呼び掛けている中、こうした結論が出たことをどのように受けとめていらっしゃるか。

福山幹事長)
 まず、自民党の総裁選挙については、他党の総裁選挙なので、あまり私がコメントするのは適切ではないと思います。
 一方で、かなり派閥の力学的なものが前面に押し出されてきたなと感じていまして、いつか来た道ではありませんが、かつて派閥の闘争が激しく、自民党政治の密室性が批判にさらされていた時代があると存じます。非常に派閥の力学的なものが前面に出てるなと感想としては申し上げますが、総裁選のやり方自身が適切かどうかについて私が申し上げるべきではないのではないかと考えております。

 2点目、合流新党に民間労組の方々が参加をしないことを決めたと言われましたが、実はそのように認識しておりません。
 先ほども連合から報告があり、今日、臨時の三役会があり、昨日の夜から今朝にかけて出ている報道については、誤報も多いとの報告を受けています。
 今日はいろいろな記者がいらっしゃいますから、どこが誤報でどこが誤報ではないみたいなことを申し上げる気はありませんが、連合からは、非常に誤報がありましたと。
 今日の意見交換会でも連合側は、各種報道にある連合構成組織の動向に関し、甚だしい事実誤認、誤報が流布されるなど、看過できない事態にあると言われています。
 ですから、私自身は連合との関係で申し上げると、6産別の皆さんは、まずは申し合わせ通り、新党に対する支援は決めていただいているという認識でございます。
 そして、それぞれの組織内議員については、今もていねいに協議をされているという認識でございますので、新党にそのまま行かないと決まったと、いまのところ私はまったく承知をしておりません。いまでも、1人でも多くの皆さんに新党に参加をしていただきたいと思いますし、6産別の構成組織の皆さんは、連合総体として新党を応援をする、支援をすると決めていただいたことを歓迎したいと思いますし、組織内の議員の皆さまには、それぞれ新党に合流いただくように、いろいろな方面から働きかけもしていきたいし、説得もしていきたいと考えております。

記者)
 自民党総裁選と合流新党の代表選・結党党大会がほぼ同じ時期ということで、先ほど幹事長は時代の要請だとおっしゃいましたが、どうしても世間の注目は自民党総裁選の方に行きがちになるかと思うのですが、そんな中、野党合流新党としての意義なり存在感を発揮していくために、どういったことをアピールしていきたいか。

福山幹事長)
 自民党の総裁選挙、イコール、総理大臣を決める選挙ですから、国民の注目が集まることは当然のことだと思います。
 われわれも政権のときに、総理がお辞めになり党内選挙をやった経験もございます。国民は総理を決める選挙ですから、当然注目されると思います。
 しかし一方で、1年以内に衆院選挙がある。そして今回は衆参合わせて150名前後の大きな塊の野党が誕生した。おそらく200名以上の候補者が擁立できる合流新党ができるということは、1年以内に政権選択する選挙があるという面でも、合流新党の代表選挙にも注目をしていただきたいと思います。
 合流新党が7年8カ月の安倍政権の検証も含めて、何をどういう形でこの国を変えていくのか、綱領には新しい社会のあり方、そして情報公開・公文書管理、災害やコロナ対応も含めて、実効性があり機能する政府という新しい概念も提唱しているところでございます。
 そういった合流新党の綱領に基づいて、リーダーとなるべく代表選候補がどういう形で国民の皆さんに訴えていくのか。これは衆院選挙にも直結する話ですので、そういう点を国民の皆さんに、しっかりとお示しし、ご理解いただけるように最大限の努力をしていきたい。
 メディアの皆さんにも、自民党の総裁選挙に注目が集まることはある意味当然だと思いますが、一方で1年以内の政権交代の衆院選挙があるという前提で、大きな塊である野党第一党に対しても一定の国民に対しての報告・告知・広報という形で言えばしっかりと報道をいただきたいと思います。

記者)
 合流新党内に参加の方を取材していますと、代表選をやらないで無投票で速やかに体制をつくるべきではないかという声も聞こえるのですが、こういう声があるということについては幹事長はどのようにお考えになりますか。

福山幹事長)
 20人の推薦人が集まり候補者がやると言えば立候補されればいいわけですから、そのことを別に、われわれは何ら止める気もないし、そのために代表選挙規程を作ったわけですので、代表選挙やる方がいい、やらない方がいいなどという話は、どなたが言われているかは別にして、私は分かりませんけれども、私の立場としては代表選挙規程に則って推薦人が集まった方は、出られればいい。それ以上でもそれ以下でもなく、それで政見、運営のあり方、党名等について、それぞれがしっかりと議論し、それが国民に伝わればいいなと思っているので、やるとかやらないとか私の立場でいう話ではないと思います。

記者)
 新党を結成した直後に総選挙がある可能性が高まってきています。これについて幹事長として、いまの体制で万全で臨めるだろうとか、いまの体制をどのように感じてらっしゃるか。次の衆院選で政権交代を目指していくのか。
 もう1点、安倍政権は透明性という点で非常に問題があると批判されてきたと思いますが、新党を結成するにあたり、それぞれの党を解党するわけですが、立憲民主党は、党の最終的な収支を公開するつもりがあるか。あるとしたら、いつまでにどのような形で公開するかを教えてください。

福山幹事長)
 衆院選挙がいつあるか分からないのは、いまに限ったわけではありませんし、現実に解散が、よりリアリティあって近くなっているという感覚は私も思っています。
 ですから逆に言えば、新党の合流が、2カ月前から一つひとついろいろな方の協力をいただき形になりつつあるのは、バタバタしない分だけ、先ほどから申し上げたように、時代の要請に合ってきているのかなという感じでいます。
 選挙は、特に衆議院はいつあるか分からないものですから。何が万全かは、なかなか難しいですが、新党が結党したあとに一番最初にやらなければいけないのは、間違いなく衆院選挙への準備だと思いますので、万全かどうかは別にして、万全になるように最大限の努力をするのが、新党結党後の執行部の最大の仕事だと考えております。
 先ほど申し上げたように、衆院で100強、参院で50前後の大きい塊の選挙ができる新党になり、候補者もおそらく200を超えてくると思いますので、当然、政権交代を目指していく選挙になると思います。
 収支については、政党助成法に基づいて、もしくは政治資金規制法に基づいて、法に則って対応するつもりでございます。まずは法に基づいて対応することが最低限やらなければいけないことだと考えております。

記者)
 代表選のことで、自民党総裁選と比べ選挙期間が若干ですが短いという部分で、日数のことや、どう国民に向けて政策やポストコロナを訴えていきたいと思っているのか、方法を教えてください。
 それと自民党の総裁選が、かなり関心が高いこともあり、党本部を見ても記者もたくさんいて、足の踏み場がないぐらいの状況です。ただ一般の人から見ると、かなり密な状態で取材をしていると感じる人もいると思うのですが、他党のことですが、ああいう画と言いますか、これを見て幹事長はどう思われるでしょうか。

福山幹事長)
 まず、代表選挙の日数については、いたずらに長くするのではなく、両党で国会議員で選挙することになりました。まだ新しい政党ですから、そのことも含めて、この期間でやることを決めました。
 もう1点は今の2点目の質問に繋がりますが、一般的な代表選挙は、全国で集会をしたり、全国で街頭演説会をしますが、今回コロナの状況です。
 大挙して東京からスタッフが地方に行き、そこに代表選の候補者が行き、なおかつそこで人を集め、そこにマスコミもたくさん集まってやるのは、このコロナの状況で適切なのかどうかを考えた上で、今回期間を短縮し、今日決まったことで言えば、共同会見は各候補者でやる、ネットでの討論会もやらせていただくということで、後のメニューはいくつか選管にお任せしますが、いくつかの工夫をしていきたいと考えております。
 やはりコロナ感染拡大の中での代表選挙は一定の配慮が必要だと思いますし、多少は弱まったと言いながら東京は多いですから、無症状や軽症者の方もいらっしゃいますので、東京から大挙して代表選挙だと言って、あちこち回るのは、あまり現実的ではないと思っておりますので、こういう形での代表選挙にさせていただきました。
 自民党の総裁選挙でごった返しているのは、それは私が何か申し上げるべきことではなくて、自民党の党本部なり自民党なりが対応を行う、ご検討いただくことだと思っております。

記者)
 本日午前中に立憲民主党を中心とした若手、実際には新党に参加する立憲・国民・無所属フォーラム・社保、それぞれも参加されていますが、立憲が多くを占める若手の方々が緊急の政策提言を会見で発表しました。
 今後、代表選で提言について候補者に諮ったり、もしかしたら代表選で候補者を立てるかもしれないという動きが若手からあり、新党の始まりと同時に、こうした若手からの活動が出ていることについてどのように思われるか。

福山幹事長)
 すみません、今日、連合との関係や、1時からの選管、それから4幹事長での議論をしていまして、その後、常任幹事会もあったものですから、あまりこの動きについて詳細に承知をしておりません。
 私のところに届けられたわけではなく、いまは私は立憲の幹事長なので、私に届けるというよりは、おそらく代表選挙の候補者に届けるご意図だと思いますので、なんともコメントしようがないので、内容もわかりません。
 ただいろいろな声が上がるのは、それはそれで党内、いろいろな声があって活発でいいのではないですか。

記者)
 事務的な話ですが、代表選に関して候補者の共同記者会見とネット討論会は決まったということで確定でいいのか

福山幹事長)
 確定でいいと思います。

記者)
 スケジュール感としては初日に共同記者会見でしょうか

福山幹事長)
 それは私の事項ではなく選管の事項なので、私が決めるわけにいかないですが一般的に言えば告示日に共同記者会見で、次の日かその次の日、2日しかないわけですから、どちらかにインターネットでの討論会等はやるのだろうな、ネットでやるのだろうなとは思いますが、日にちまで特定しているわけでありません。

記者)
 3日の午後5時に新党に入る人の入党が決まると思いますが、これも実務的な話ですが、その日の夕方の段階で、何人とか名簿の一覧というのは出していただけますでしょうか。

福山幹事長)
 これも実務的なことなので、まだ分かりませんが、各党が取りまとめをすることになっています。各党取りまとめの期限が17時なものですから、その後どういう形で公表するかについては、まだ話し合いをしておりません。次の日にはおそらく幹事長会談が開かれると思いますが、今のところはなんとも言いようがありません。

記者)
 先ほどの質問の中で、次期衆院選で政権交代を目指すとおっしゃいましたが、現時点で合流新党として233人以上を立てられる見込みがあるのかどうか。
 それと国民の審判を受けていない状態で新政権が発足しますので、速やかに解散総選挙して国民の信を問うべきだとお考えか。

福山幹事長)
 両質問ともすごく気が早いですね。
 まだ新党も結党もしてないのに、候補者がどのぐらいの数かとか、私が答えるのは僭越な内容だと思います。新党結党して新しい執行部になれば、当然、政権交代を目指して選挙をやるわけですから、候補者を立てていくことが出てくると思いますが、まだ新党に参加される議員の数すらこれからですから、ちょっと気が早いなと思います。
 2点目も同様で、自民党総裁選挙の候補者もまだ出揃っていなくて、新政権が発足もしていないのに、誰に向かっていま解散するべきかどうかを記者さんに伝えるのか。いまは辞める総理がいらっしゃるだけですから、あまりそれも、ちょっと気が早いなと思いますので両方答えようがありません。

記者)
 3日に新党の宣誓書が締め切られる、各党での受付ということですが、立憲民主党の分だけでも、その日のうちにの発表や公表することは可能でしょうか。

福山幹事長)
 実務的には可能だと思いますが、それが意味があるかどうかですよね。
 みんなで集めて、みんなで新しい政党を作ろうというのに、立憲だけが発表するのが、本当に一体感としていいのかどうか。
 今日の選管と幹事長の会議の冒頭であいさつしましたが、そのときに「今日ここにお集まりいただいている方は皆さん、選管委員も新党への宣誓書を申し入れ、出されてから選管に当然なってる。ですから、ここにいらっしゃる方は、近々同じ仲間になるので、そこは同じ仲間として、同じ政党に属する一員として、この選管・幹事長会談も含めてお願いしたい」「それぞれの政党の立場を背負ってこられるのは分かるけれど、そこはもうすぐに同じ政党の中でやる仲間だから」「そういう意識でぜひお願いしたい」と申し上げているので、うちだけが3日に何人ですということが本当に新党のスタートとしていいのかはよく分からないので、実務的には可能ですが、そういう発表するかどうかはまだ決めていません。