福山哲郎幹事長は19日夕、定例の記者会見を国会内で開き、(1)顔の表情を隠さないフィルム製の防曇透明マスク「ルカミィ」(2)新型コロナウイルス感染の拡大(3)モーリシャス沖座礁――等について発言しました。

 福山幹事長は冒頭、防曇透明マスク「ルカミィ」について、ルック・アット・ミーを略したもので、聴覚障がい者から紹介されたものだと説明。口の動きを見て手話等のコミュニケーションをとる聴覚障がい者は、コロナ禍でマスクの着用が常態化するなか困っているとして、その改善のための1つのツールだと述べ、今後こうした取り組みを広げていく考えを示しました。

 新型コロナウイルス感染をめぐっては、東京都の新規感染者数の推移を示し、「無為無策であれば感染者が増えるのは自明のこと。重傷者、死者も当初懸念された通り比率が増えているのが現状だ。沖縄では医療従事者が不足する事態になっている」と指摘。加えて、政府の対策本部の議事概要は6月18日以降何も出ておらず、専門家会議は5月29日、6月12日、19日の3回分の議事概要、新たに立ち上がった分科会では7月6日の第1回から8月7日の5回分まで議事概要含め何も公表されていないと問題視し、「GoToトラベルキャンペーンがどういう議論のなかで決定されたのか、なぜ東京だけが除外されたのか、このような感染拡大の状況に政府、あるいは専門家がどのような認識を持っているのか、議事を含めて何も明らかになっていない。こういった状況で国会が開かれないことは国民の不安や不信は大きくなるばかりだ。あわせて経済状況はGDPの3割近くが減速するという未曾有の景気悪化で、このことに対しても政府が何を考えているのか、国会が果たす役割、政府の説明責任非常に大きい。政府は真摯(しんし)にこの事態を受け止め国会を開くべきだ」とあらためて臨時国会の早期開会を求めました。

 日本の貨物船がインド洋の島国モーリシャス沖で座礁して大量の重油を流出させた問題をめぐっては、「非常に懸念しているし、モーリシャスの皆さんには大変なご苦労をおかけしている。政府は第1次の派遣隊を派遣しているが、より大きな形でモーリシャス政府に対して協力と支援を政府として対応いただけるよう強く求めていきたい。漁業、観光業の関係者の皆さんの経済的打撃は計り知れないと思う。賠償責任は一義的には船主が負うと理解しているが、油の流出がいち早く収まるよう、技術的な協力を含めて早急な対応を求めていきたい」と発言。

 1997年1月、島根県沖の日本海でナホトカ号が座礁し大量の重油が流出した際、国会議員になる直前で現場の海に行き油を手作業で取って回収するボランテイア作業をしたと振り返り、全国から多くのボランティアが駆けつけるなか、学生ボランティアのなかに国民民主党の政務調査会の泉健太衆院議員も参加していたことにも言及。「あの時も数十年油がなくならないのではないか、生態系が破壊されるのではないかと言われたが、自然の回復力はわれわれが考えているよりも強く、いまは海水浴もできる状況になっている。だからこそ、いち早く油の除去をやる。日本政府には科学的な知見を集めて協力するよう強く求めていきたい」と述べました。

 国民民主党との合流について今後の日程感を問われると、同日開かれる国民民主党の両院議員総会の結果を受けて平野幹事長と協議するとして、「国民民主党さんの両院議員総会の行方を見守りたい」と述べるにとどめました。

 衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」が同日の総会でグループとして合流を確認したとことには、「心から嬉しく思うし、歓迎したい。どこかの時点で、社保の皆さん、無所属フォーラムの皆さんとも幹事長同士で話し合いをして日程感について協議をしていきたいと思っている。新党に入党いただく方のお声がけ等々の日程感についても協議をしていきたいと考えている」と発言。新党の規模感については、「一人でも多くの皆さんにご参集をいただくことが、大きな塊だと考えている。まずは一人でも多くこの新党に加わっていただきたい」と述べました。

 合流新党に関して「帰ってきた民主党」という批判があるがとの問いには、「全く違う」と明言。「当時とは時代も内容も様変わりしている。立憲民主党として、あるいは国民民主党として新しく当選された方もいて、時代背景も違う。新しい政党として3年前に立ち上げ、さらに新しい綱領を持って国民民主党、経験のある岡田(克也)さんや野田(佳彦)さんと一緒になることでパワーアップできる。新たな政党として立ち上げると認識している。この新しい新党でしっかりと国民が信頼できる状況をつくっていくことがわれわれの責任だ」と力を込めました。共同会派として昨年秋の臨時国会、今年の通常国会で活動するなかで、法律72本、条約16本と計88本の対応では、新型インフルエンザ等特別措置法措法改正で2名が造反した以外はすべて同一行動、同一賛否を貫いたと紹介し、「国会での活動が国会議員にとって最も重要だとすれば、バラバラだと言われる理由はなく、逆に言うと、理念政策が一致しているからこそ、今回共同会派を経て新しい新党として一緒にやることに合意を得られる直前まで来ていると判断している」と述べました。