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2020年8月6日

「核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」をテーマに枝野代表がスピーチ

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 被爆75年となる広島原爆の日の前日の5日、核兵器廃絶日本NGO連絡会主催で「核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」をテーマに討論会が広島市内で開かれました。討論会は三部構成で、一部では現状と課題について、国連事務次長・軍縮担当上級代表の中満泉さん、尾身外務大臣政務官、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長のベアトリス・フィンさんがそれぞれの立場で発言。続く二部では、各政党の立場と取り組みについて代表者がスピーチ、第三部ではそれらを受けて被爆者の立場から田中煕巳日本被団協代表委員が発言した後、出席者全員が今後の活動に向けて1分程度のコメントを寄せました。全体の司会をピースポートの川崎哲さんが務めました。

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 第一部ではまず、国連事務次長・軍縮担当上級代表の中満泉さんから、「核軍縮、安全保障をめぐる現在の状況」「国連から見た日本の政策決定者に考えてほしいこと」について発言がありました。
 核軍縮、安全保障をめぐる現在の状況については、「安全保障環境は悪化の一途をたどっている。質的に複雑になり変化をしている。大国間の緊張感が高まり、核や新しいタイプのミサイルなどをめぐるレトリックが高まっている。例えば、低出力核兵器といった限定的な核の使用があたかも可能なようなイメージまで形作られているような状況まで悪化している。質的な意味からは、おそらく軍拡競争が始まりつつあるような状況にあると思っている。そうした状況のなかで核禁条約が採択されたのが2017年」「もう1つ非常に懸念しているのが来年2月に失効する新戦略兵器削減条約(新START)の延長がなされるのか、なされないのかだ。さまざまな軍縮をめぐる条約、規範が少しずつ崩壊をしているのが現状だ。そうしたなか世界は多極化し、非常に複雑なバランスのなかにあり、中東、南アジア、東アジアなど地域紛争のなかでの核拡散のリスクも高まっている。サイバーや、AI(人工知能)、宇宙など新しいタイプのミサイルなど新しい技術が進展していることによって、これまで核の抑止に基づく、いわゆる戦略的な安定という構図そのものが少しずつ変化し続けている」などと解説。
 政治で議論を深めてもらいたいこととしては、(1)安全保障はさまざまなツールを包括的に使いながら考えていくもの。その1つとして軍縮があり、理想主義的な、現実離れの話ではないこと(2)新STARTを含めて大国への働きかけ、対話路線に戻り、対話と外交を通じた安全保障の道に戻ってもらえるよう日本がどのように働きかけるか(3)核拡散防止条約(NPT)再検討会議の開催に当たって力を尽くし、核兵器は絶対使用されてはならないという不使用の原則を厳守していかれるようさまざまなメッセージを発信していくこと(4)核戦争を起こさないこと。過ちによって核が使われることがないよう、リスク軽減のためのさまざまな成果を出していくこと。21世紀の新しい課題について将来的にきちんと考えていくプロセスを立ち上げていくことの重要性を確認していくこと――などを挙げました。
 また、核兵器禁止条約に対しては、基本的には日本政府が決めることだとした上で、「ドアをクローズすることはしないでいただきたい。問題点、共通の目的を完全に共有していることをぜひ強く発信してもらいたい」と求めました。

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 ICAN事務局長のベアトリス・フィンさんは、日本政府に対し核禁止条約への加盟をし、そのことによって一緒に核廃絶を進めていくことを望むと述べ、「新型コロナウイルスのパンデミックの世界での状況は、より強固な安全保障が必要なことを示した。よりスマートな、人々を守る安全保障が必要であり、核兵器の保有はそれと反対なことをしている」と指摘。「日本は米国と軍事協定を結んだ上でもこの条約に参加することはできる。核兵器を使用しないと呼びかけることもできる。この条約に加盟し、日本が運動をリードしていけばセンセーショナルなことになる。引き続き被爆者の声を聞き、核廃絶に向けて進んでいくべきだ。現在、この条約が核廃絶への最も早い道だと私は考えている。さまざまな国のなかで緊張が高まり、各国の利益を優先したような行動が散見される。核抑止力というセオリーは効かなくなる。核兵器を廃絶しなければいつか核戦争は起こる。70%以上の日本の国民が『核兵器はあるべきではない』と賛同していることからも分かるように、条約が発効することによって運動は進められていく。ですから急いでください。この条約を使い、核廃絶に向けた道を進んでいこう」と呼びかけました。

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 立憲民主党を代表してスピーチした枝野代表は冒頭、「核兵器廃絶に向けて日本はいま何をすべきか。それは唯一の被爆国として、核保有国と非保有国の橋渡し役をつとめ、核軍拡の流れを止めること」だと表明しました。
 核兵器の開発や実験、保有、使用を全面的に禁止する核兵器禁止条約を国連で採択してから3年、唯一の被爆国であり、非核三原則を持つ日本として、核軍縮のリーダーシップをとるべきだと主張。核による脅威が高まり、国際的な環境整備が今後の大きな課題であり、日本が核軍縮でリーダーシップを発揮するためには、国際的な安全保障環境の整備を図るとともに、米国との同盟関係を維持しながら核兵器禁止条約に参加するための具体的ロードマップを描く必要があるとの考えを示しました。
 その上で、「まずは何よりも、どのような条件が整えば批准に向かうことができるのか。国会の中で、与野党が胸襟を開き、真摯に話し合うべき。ここに集う私たちこそ、政治的な立場を乗り越え、核のない世界へ向けた一歩を踏み出すため、協力し合うことを提案する」と述べました。
 NATO加盟国のオランダや米国の同盟国であるオーストラリアの労働党を例に「米国との同盟関係を尊重しつつ、核兵器禁止条約へ参加することを、矛盾せずに解決する道は、決して閉ざされてないと確信している。加えて、批准に時間を要するとしても、日本は、核兵器禁止条約の発効後に開かれる締結国会合に、せめてオブザーバーとして参加し、核保有国の米国や英国などとの橋渡し役を果たすことが可能なのではないか」と提起。人類全体でコロナ危機や気候変動危機と全力で戦わなければならないなか、人間同士が、核兵器で脅し合い、争っている余裕など全くないとして、「核保有国間の相互不信の連鎖を食い止め、核戦争の危機を回避するために、日本こそが、他の非保有国と連携しながら重要な役割を果たすべきだと考える。明日の、そしてさらなる未来の人類のためにともにがんばりましょう」と訴えました。

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 第三部で田中煕巳日本被団協代表委員は、「私は13歳のときに原爆の惨禍を目撃した。そのときから、こういう核兵器を戦争に使ってはならないと思って今日まで戦ってきた。しかし、今日いろいろなご議論をいただいたが、まだまだ壁が大きいと感じる」とコメント。核保有国の外交官と話しをすると「核兵器を使いたくないが信頼関係がない限り抑止力として必要だ」と言われるとして、「それぞれの国同士で信頼関係をどう作っていくかが今一番必要なことではないか。安全保障というのは、相手が悪いことをしてくるのではないかと考えることではなく、どう関係を良くしていくかを考えることではないか。そうでない限り条約ができても核兵器を使うことが起こる。あるいは核兵器を持とうとする人が出てくる。戦争はしない。戦争をしないためにはお互いの信頼関係を築いていくことをこれからの政治にはしてもらいたい。各党の皆さんには、国会できちんと議論をしていただく。そういう場がないのであれば作る、そういう形で議論をしていただき、核禁止条約に日本は署名をし、批准をし、締約国として核兵器のない世界を作っていく先頭に立ってもらいたい」と求めました。
 最後に枝野代表は、今後に向けて「いろいろな立場からではあるが、核兵器の廃絶に向けて頑張らなければいけないということは共有できた。アプローチの仕方については立場の違いがあるが、国会での一般質疑、場合によっては小委員会をつくって議論をしていくことを提案していきたい。国会がしっかりと、行政府を引っ張っていくような議論をしていきたい」と決意を述べました。

写真提供:核兵器廃絶日本NGO連絡会

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