参院法務委員会で26日、立憲・国民.新緑風会・社民から有田芳生議員が質問に立ち、黒川前検事長問題をめぐり(1)法務大臣はいつ「週刊文春」報道を知ったのか(2)黒川検事長への調査は誰がどのように行ったのか(3)賭けマージャンの常習性の有無をどう判断したのか――等について森法務大臣らに迫りました。

 有田議員はまず、東京高検前検事長の黒川氏が新聞記者らと賭けマージャンをした問題で辞職したことを受け、法務省は26日付で林真琴・名古屋高検検事長を後任に起用する人事を決めたことに言及。安倍政権は今年1月31日、黒川氏を「余人をもって代えがたい」との理由で脱法的に定年を延長する閣議決定をしていることから、これと矛盾することへの合理的な説明を求めました。森法務大臣は「黒川検事長が今般辞任したことにより東京高検検事長の席が空席となった。大変重要なポストであり、そのポストをいつまでも空席にしておくわけにはいかない。業務遂行上支障が生じたこの空白期間を埋めていただき、東京高検の職務に当たっていただきたいと思っている」と答弁。有田議員は「これまでの説明は意味を成していない。ご都合主義だ」と批判しました。

 その上で、黒川前検事長に対する調査について、誰が発議をし、どんなメンバーでいつからいつまで、どこで何時間、どんな調査をしたのかと質問。これに対し森法務大臣は、5月19日夜、秘書官から黒川前検事長に関する週刊誌報道が出るとの報告をメールで受け、事務次官にこの不祥事の調査にあたるよう自身が指示、事務次官がメンバーを選定し法務省大臣官房および刑事局で実施、黒川氏本人に対しては法務事務次官が21日までの2日間、「随時電話をしたり面談をしたりして聴取をしていた」などと答えました。

 有田議員は、「これだけ重大なスキャンダルを電話で聴取するのか」「黒川さんの発言が正しいかどうか(賭けマージャンの相手方であった報道機関の関係者に対する)反面調査はされたのか」などと迫りましたが、川原刑事局長は、「黒川氏からの聴取のほか、調査時点において報道機関が公表するなどしている内容は参考にした。その上で、同席した、報道機関の関係者3名については彼らから見て取材行為にあたる可能性があることから、取材行為に対する調査は差し控えるべきと考え、報道機関関係者に対する調査は行っていない」「刑事事件と異なり、法務省という行政機関が行政機関としての調査を行ったものであり、捜査権限として認められている権限の行使がない。事実の特定と言う意味でも処分に必要な事実を特定すれば足りる」などと答弁。有田議員は、当該週刊誌は黒川氏に対し17日午前に取材にあたり、翌18日にも取材したが何ら答えがなかったため、東京高検に詳細な質問状を出そうとしたが受け取りもしなかったことに触れ、「黒川さんほどの方であれば17日の朝に賭けマージャンについての取材が来れば法務省あるいは官邸に連絡するのではないか」「黒川さんが取材を受けてから大臣が情報に接触するまで丸3日空白がある。官邸で聴取を受けていたのではないか」と迫りましたが、明確な答弁はありませんでした。

 有田議員はまた、「3年間に100回近くの賭けマージャンをしておきながら常習賭博でないとなぜ言えるのか」とただしましたが、川原刑事局長は、「回数のみで判断するものではない。旧知の間柄で必ずしも高額とまでも言えないレートで行われたこと、本人が深く反省していることや先例を考慮した」と強弁、到底納得できるものではありませんでした。