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2020年5月20日

【参院予算委】コロナ対応で尾身会長、脇田座長、竹森委員が参考人質疑、熊谷議員が質問

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 参院予算委員会で20日、新型コロナウイルス感染症への対処等に関する参考人質疑が行われ、尾身茂さん(政府諮問委員会会長)、脇田隆字さん(政府専門家会議座長)、竹森俊平さん(慶應義塾大学教授・政府諮問委員会構成員)の意見陳述の後、質疑が行われ、立憲・国民.新緑風会・社民から熊谷裕人、森ゆうこ議員が質問に立ちました。

■意見陳述

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尾身参考人の発言要旨

【緊急事態宣言初出の効果】
○4月上旬に爆発的感染拡大(オーバーシュート)で都道府県によっては医療崩壊寸前の地域もあった。
○しかし4月7日の緊急事態宣言発出前後から、市民の懸命なる努力のおかげで、感染は今のところ収束の方向に向かいつつある。
○日本は法律的な拘束力を持たず、他国のようなロックダウンもせず、爆発的感染拡大を回避できたのは、極めて困難な状況に対しての市民の努力の賜物。
○今の感染状況は、東京都を例にとれば、3月上旬から中旬に感染者が急増した直前のレベルに戻っている。

【これから何が起こるか】
○仮に全都道府県で緊急事態宣言が解除、あるいは報告者数ゼロが短期間続いでも、見えない感染が続いていると考えるべき。
○冬の到来を待たず、再び感染の拡大が起こることは十分予想される。
○社会経済活動を再開した諸外国では、比較的早期に再度感染が拡大した例も報告されており、その際は徐々に感染が拡大するというよりは、クラスター感染が突然顕在化することがあり得る。
○社会経済活動を徐々に再開しながら、感染拡大防止のための努力を継続することが極めて重要。
○この3カ月で多くのことを学んできた。
 ・感染のリスクが高く、クラスターが発生しやすい場所・状況がわかってきた。
 ・身体的距離の確保、Physical Distanceの確保。マスクの着用、手洗いの実施など基本的な感染対策が感染防止に有効。
 ・高齢者施設や病院がクラスターとなっている例が多く、引き続きこうした場所での徹底した感染対策が重要。
 こうした点に十分注意しながら社会経済活動を再開。メリハリのついた対策が求められる。

【各都道府県の知事にお願いしたいこと】
○感染状況、医療の供給体制、検査の体制など、さまざまな費用を国の支援を得ながら定期的に評価し、感染拡大の兆候があれば速やかな対策を取っていただきたい。
○感染拡大に備え、医療提供体制や検査体制の強化、発熱外来のさらなる増設、保健所体制の強化など、今までと変わりなく強いリーダーシップを取っていただきたい。

【国にお願いしたいこと】
○医療機関、保険所、自治体の職員の皆さんは、極めて困難な状況の中、日々懸命な努力を続けていただいている。地方自治体を尊重しつつも、今まで以上にこうした現場に対し支援をしていただきたい。
 具体的な例として、一般の医療機関への感染防御具の供給をはじめとして、各都道府県への技術的・経済的支援をお願いしたい。
○迅速抗原検査については、その制度の評価、及びPCR検査との役割分担について、さらなる検討をお願いしたい。
○抗体検査についても、しっかりと精度管理を行い実行されたい。
○市民が期待する治療薬やワクチンは、安全性と有効性に関する適切な審査を行った上で使用していただきたい。
○国内が収束方向に向かっても、感染が地球規模で収束しない限り、ウイルスの国内流入のリスクが続くので、特に医療資源の乏しい国々に対して、技術的・経済的支援もお願いしたい。
○これまで日本がとってきた政策について、諸外国から誤解を受けることがないよう、しっかりとした説明をお願いしたい

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脇田参考人の発言要旨

○わが国では1月から2月にかけ、中国武漢市および湖北省を中心とした地域からの感染流入による第1波の流行、3月以降の欧米からその10倍以上の規模の流入による第2波の流行があった。
○2月7日に新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが厚生労働省に設置。クルーズ船内における感染の対策、および国内の流行対策を議論をしてきた。
○アドバイザリーボードは2月20日に形を変え、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議として設置。
 構成員は感染症、公衆衛生学、ウルス学、臨床医学、社会学などの専門家で構成。必要に応じて座長の求めにより、その他の専門家にも出席を要請してきた。
○その上で2月24日からは、科学的な分析・見地から、見解、状況分析、および提言を発出。
○厚生労働省クラスター対策班と密接に連携し、サーベイランスデータの分析から、新型コロナウイルス感染者の約8割が他人には感染させないが、しかし残り2割の多くの部分が、密閉された環境で密集密接することにより、多数に感染をするクラスター感染を起こすことを明らかにし、その対策を提言。
○クラスター対策により第1波の流行に一定程度の封じ込めがなされた。
○しかし3月中旬以降、第2波の流行が拡大し、リンクの追えない新規感染者が増加。4月7日に政府が緊急事態宣言を発出、この流行対策として外出時自粛要請を行った。
○その間、営業自粛や休業要請も行われ、その途上、自粛要請で大丈夫なのか、ロックダウンは必要ではないかという声もあった。
○他方で経済が困窮し自粛どころではないという声もあった。
○医療現場も3月後半から、ベッドが日に日に倍増しつつ対応。現場スタッフの毎日の努力で、なんとか経過できた。
○市民の各自の生活で尽力いただき、収束の方向に向かっている。
○収束の状況を今後も維持することが重要だが、ワクチンの開発まで長丁場の対応が必要となると考えている。
○われわれ専門家は、今回の緊急事態宣言の効果を科学的に分析をし、今後の対策に役立てることが重要と考えている。
○国会、政府、自治体の皆さまには引き続き対策にご支援をお願い致したい。

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竹森参考人の発言要旨

○私が今まで経済学で興味を持ってきたテーマは、金融危機、経済危機。
○記憶を探りパンデミックが原因で経済危機が起こったことがあるかと考えてみたが、残念ながら知らない。
○1918年から1920年のスペイン風邪(スペインインフルエンザ)は、死亡率は非常に深刻だが、当時は第1次大戦終末期で、戦争が景気を刺激したためか不況にはならなかった。
○経済学者としても医療関係者の意見を聞き、協力してやって行かなければならない。
○今の経済対策を景気刺激策と表現することがあるが、これは間違っている。渋谷や新宿などの繁華街に人がいないようにすることが政策のポイントである時に景気を刺激できるわけがない。基本的に困ってる人を助けることが主眼。
○今回の危機で日本社会の弱い部分は、中小企業、非正規、フリーランスの労働者。今の段階では景気刺激ではなく、むしろこういう弱い部分をなんとか接合し守ることを第一にすべき。
○国際的に見ると、感染が来たのは、警戒の緩いアラームの十分働かないところから。この弱い部分をどうやって埋めていくのかは今後国際的に考えていく必要がある。

■質疑

 熊谷議員は脇田参考人に対し、現時点で判明している新型コロナウイルスの特徴と今後の対策について質問。脇田参考人は、(1)2003年に流行したSARSウイルスに非常に近いウイルスだが、性質はかなり違っている(2)SARSウイルス感染の場合は、発症者を見つけ隔離すれば流行は抑えられる特徴があったが、新型コロナウイルスは、症状がさまざまであり感染をさせる危険性がある。また症状が出る前に感染力が強いという報告が出ている。一方で感染力は比較的強くないのはないか(3)治療等に関しては、新たな知見が生まれてきており、効果のある抗ウイルス薬の開発が望まれている――と述べ、今後の対策については(1)早期発見、早期診断し、治療に結びつける(2)抗原検査をできるだけ多くのところでできるようし、陰性の場合にはPCR検査をもれなく受けられるようにする(3)感染者が見つかったら積極的疫学調査をし、濃厚接触者もきちんと検査をやる(4)抗体検査により感染の規模を把握する――という体制を構築すべきと語りました。

 竹森参考人に対しては、感染対策と経済対策に両立について今後、諮問委員会でどのような主張をされるのか質問。竹森参考人は、制度や仕組みで直さなければいけない点について、予算が必要あれば国がすぐ動ける体制を作っていきたいと語りました。

 尾身参考人に対しては、2012年の新型インフルエンザ等対策有識者会議会長を務めていたことから、その当時の懸念が今回どのように生かされたかを質問。尾身参考人は、(1)政府の中の責任体制、役割分担をはっきりさせる(2)国と地方の関係でも役割分担、責任のありかたをしっかりする(3)政府の専門家委員会と政府との関係もしっかりする(4)危機に際しては責任者を決め、情報発信、リスクコミュニケーションを行う――ことが、今でも適用されると語りました。

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