立憲民主党の逢坂誠二政務調査会長と打越さく良参院議員は15日、#SaveTheCinema 「ミニシアターを救えプロジェクト」の呼びかけ人らと国に支援を求める要望書を提出、各省庁と意見交換を行いました。今回の要請には呼びかけ人の他、社民党の福島みずほ参院議員、共産党の畑野君枝衆院議員、山添拓参院議員が同行しました。
#SaveTheCinema 「ミニシアターを救えプロジェクト」は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、政府のイベント等の自粛要請と、緊急事態宣言を受け映画館の休業で、特に小規模映画館(ミニシアター)が存続の危機を迎えていることから、政府に対し(1)緊急的な支援として、休業などによる損失への支援(2)終息後の支援として、集客を回復させるための広報活動の充実、ゲスト招聘、特集上映などのイベントに対する支援――を求めています。
逢坂政調会長は内閣府と経済産業省への要望書提出に同行。内閣府との意見交換では、「新たな仕組みを考えなければいけない。既存の補助制度や支援制度の枠組みにとらわれていては、今回の難局は乗り越えられない」「ミニシアターの皆さんだけではなく、日本の経営者全体が高齢化している。今回のことで、事業から撤退するという人が出てくる。その後の日本の将来を考えたら、ぺんぺん草しか生えていない。特に文化の部分でぺんぺん草しか生えていなかったら、将来の日本人の心の豊かさや多様性、柔軟性といったものを失わせることになる」と訴えました。
さらに「ミニシアターに私が行くのは、他所でやっていない映画や癖のある映画、無理して行かなければならないような映画をやっているから。それがどれほど人生にプラスになるか。みんなが観ている映画を、みんなと一緒に観ているだけでは、やっぱり人々の個性は育たない。そういう意味でも新たな仕組みを考えなければ。今の補正予算では厳しい」と語り、支援を要請しました。
打越議員は厚生労働省と文化庁に要請。呼びかけ人で映画監督の諏訪敦彦さんは「世界的に日本の映画文化は評価されているが、それを育んでいるのはミニシアター。フランスだとシアターに対する公的助成金があるが、日本はほとんど自助努力でこれまで運営されてきている」、脚本家で映画監督の井上淳一さんは「日本では映画館の4割がミニシアター。年間1300作品の映画を上映していて、そのうちミニシアターは1000作品を支えている。ここは娯楽提供ではなくて、芸術文化拠点。配給者、製作者、俳優などさまざまな職種を支えており、憲法で保障されている、生活、文化、労働の問題でもある。しかし、どのミニシアターも8割以上観客が減っている」、映画監督の白石和彌さんは、「どんな映画監督や俳優もミニシアターでステップを踏んでいる。ここはいわば才能のゆりかご。このままでは、若手の行き場がなくなってしまう。映画文化の根幹が失われてしまう」と訴えました。
内閣府での要請後、逢坂政調会長と弁護士でプロデューサーの馬奈木厳太郎さんは記者団の取材に応じました。馬奈木さんは、「ミニシアターは、日本独特の制度。小規模映画館が全国にたくさんあるのは世界でも珍しい。(来場者数は)もう7割8割減が当たり前の状況になっている。それを、なんとしても残して欲しい。これは小規模映画館だけを残して欲しいという話ではなく、飲食業や観光業の皆さんも大変な思いをしている。その中で小規模映画館やそれに携わる人たちも社会の構成員の一人。そういった人たちも救って欲しい。文化の灯を消してはいけない。文化は作る人がいて、それを育てる人がいて、成立している。ぜひ取り組んでいただきたい」と語りました。
逢坂政調会長は、「文化は多様性が肝。画一的になってしまうと、日本の民主主義の根幹を壊すことにもなりかねない。多様な意見があって、はじめて社会は成り立つ。ミニシアターの存在はそういう多角的なものの見方や、多様的な意見を作る上で極めて大きな役割を果たしている。今日はミニシアターの現状を訴えたのは相当意味がある。単に文化だけではない、単にお金だけではない、広範囲に渡る問題なんだということを伝えることができた。ただその一方で対策はなんだというところで、今日の段階ではゼロ回答。何も今のところ対策はない。そういう点では来週の補正予算もそうですが、もっと政府には本当の意味で国難だという危機感をもって対処してもらうように強く要請していきたい」と語りました。