共同会派を組む立憲民主党、国民民主党、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」、社会民主党と共産党は5日、大学入学共通テストにおける記述式試験の導入及び民間英語試験の活用の中止、大学入学者選抜において「JAPAN e-Portfolio」(ジャパン・イー・ポートフォリオ:JeP)による主体性評価を廃止・見直しすることとする「独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案」(大学入試センター法改正案)を衆院に提出しました。
同法案は、(1)大学入学共通テストは、その一部であっても記述式によっては行わず、従来どおり、マークシート式により行うこと(2)大学入試に関し、大学入学共通テストの枠組みにおいて、民間事業者によって実施される英語試験の活用は、行わないものとすること(3)大学の入学者の選抜に当たって高校生らの課外活動等が記録されたデータベースを用いることの弊害に鑑み、データベースに関する事業の廃止その他関係する施策の見直しを行うものとすること――の3点を盛り込んだものです。
(1)については、採点の不透明性や採点者の専門性の欠如といった採点体制の問題点や自己採点が困難であること、(2)については、経済格差や地域格差といった試験の公平性・公正性の確保、制度全体の不明確さなどの課題があることから、共通テストには導入しないとするもので、個別の大学や2次試験等で確実な採点体制の下で行うことについては、各大学の判断を今後とも尊重すべきとしてます。
(3)については、大学の入学者の選抜に当たって高校生らの課外活動等が記録されたデータベースを用いることは、各個人の個性に応じた多様な活動を行うことができる環境を阻害することや、留学などをする経済的余裕のない高校生らにとって不利となるといった弊害が生じるおそれがあることから、このようなデータベースに関する事業の廃止その他関係する施策の見直しについて法律に定めることとします。
法案提出後の記者会見で川内博史議員は、「新型コロナウイルス感染症に伴う一斉臨時休業などにより現場が大変混乱しているなか、受験生は来年の入試がどうなるか大変心配していると思う。当事者である高校生らからは延期、見送りではなく中止を求める声が上がっているなか、(1月から始まった文科省の)検討会での議論の推移を見ていると、英語民間試験についても、国語・数学の記述式試験についても復活を狙っているのではないかと思われる」と指摘。「入試という、受験生にとって大事な機会を大人たちの思惑でかき乱すようなことがあってはならない。公平・公正で、受験生が実力を発揮し、納得できる環境を整えることが大人の役割だ」と強調しました。データベースの活用をめぐっては特に「主体性」について、「定義できない言葉だと思う」と述べ、それにもかかわらず学校現場で評価の対象にしてしまうと「こういうことが主体性なのだ」と定義を押し付けかねないと懸念を表明しました。
今回の法案提出により、先の国会で提出し継続審議となっていた「記述式試験中止法案」は、取り下げました。
【要綱】大学入試センター法改正案.pdf
【法律案】大学入試センター法改正案.pdf
【新旧対照表】大学入試センター法改正案.pdf