枝野幸男代表は5日午後、国民民主党の玉木雄一郎代表、社会保障を立て直す国民会議の野田佳彦代表と国会内で会談。衆院での会派「立憲民主党・無所属フォーラム」に加わって、ともに戦っていただきたいと呼びかけました(写真上は、国民民主党玉木代表との党首会談の様子)。

 会談は、党の両院議員総会で枝野代表の提案が了承されたことを受けて開かれたものです。参院で統一会派を組む社会民主党には福山哲郎会派代表(党幹事長)から又市党首に提案したところ、「大きな趣旨については理解、賛同するが、まずは参院で一緒にやらせていただくなかで、衆院については留保させていただきたい」との回答がありました。

 枝野代表は、国民民主、社会保障を立て直す国民会議との会談後に記者会見を開き、提案内容(下記PDF参照)を読み上げました。国民民主の玉木代表からは「ありがたいご提案である」としたうえで党に持ち帰って検討すること、野田代表からは「歓迎したい」旨発言があったことを報告しました。

 残念ながら安倍政権は、議席数を背景とした強引かつ不条理な議会運営を行い、必要な資料を開示せず、時には資料を改竄・隠ぺいし、聞かれた問いに正面から答えないという暴挙を繰り返しています。また、参議院規則に基づいて要求された参議院予算委員会審議に応じなかったことに代表されるように、十分な実質論議の場を設けることすら逃げ回ってきました。
 こうした実態に対抗し充実した国会論戦を実現して、行政監視という野党としての役割を果たすとともに、安倍政権に代わる政策を的確に示すことで、政権の選択肢としての期待と信頼を高めるには、「数の力」を背景とした与党に対抗しうる強力な構えが必要であることを認識するに至りました。

 こうした認識に基づき、本年5月29日の「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」に記された13項目にわたる政策要望を踏まえるとともに、立憲民主党の政策、すなわち、立憲主義の回復など憲法に関する考え方、いわゆる原発ゼロ法案等のエネルギー関連政策、および、選択的夫婦別氏制度や同性当事者間による婚姻を可能とする一連の民法一部改正法案等の多様性関連政策などにご理解ご協力いただき、院内会派「立憲民主党・無所属フォーラム」に加わって、衆議院でともに戦っていただきたく、ここにお呼びかけさていただきます。

 これに賛同いただくことで、数の上でも、論戦力の上でも、より強力な野党第一会派を作り、充実した国会論戦を実現して、政権交代へと向かっていきたいと決意しています。
 次の臨時国会には、体制を整えた上で十分な準備をして臨む必要があることから、8月中旬を目処にご意向を伺いたいと思います。
 よろしくご検討いただきますよう、お願いいたします。

令和元年8月5日 

立憲民主党代表 枝野幸男

〇質疑応答での主なやりとり

記者)「院内会派『立憲民主党・無所属フォーラム』に加わって」ということは統一会派を組むこととは別なのか。
枝野代表)あくまでもここに申し上げている通り。院内会派「立憲民主党・無所属フォーラム」という、現在存在している会派にお加わわりをいただきたいとお願いした。

記者)「衆院で」となっているが、なぜ衆院だけなのか。参院に関しても同じような呼びかけをしていくのか。
枝野代表)参院では一緒に戦ったところもあり、切磋琢磨して戦ったところもある。その参院選挙が終わった直後である。また、参院では新しい政党・会派がいくつも生まれておられる。そうした皆さんと、どこまで野党としての連携ができるのかは先方のご事情もあるので、これから順次段階的に最大限可能なことを模索していくことになろうかと思っている。秋の臨時国会に向けて、まずは次の主戦場である衆院においてより大きな構えを作り論戦力を高めることを現時点では進めさせていただきたいということで、衆院での会派の呼びかけをさせていただいた。国民民主党さんは衆参での話を検討したいとの話がございましたが、それは党内でのご検討を踏まえてご提案があればいただければと申し上げた。

記者)市民連合の要望書には共産党も含めてだったと思うが、共産党に呼びかけていないのはなぜか。
枝野代表)総合的な判断のなかで、こうした呼びかけを3つの党派にさせていただくことには共産党さんにもお伝えをし、ご理解をいただいていると理解している。

記者)代表は結党以来「永田町の数の論理には与せず数合わせはしない」と発言してきたが、今回の呼びかけはこれに当たらないとの認識なのか。呼びかけ自体は、個人の身分で立憲会派に加わってほしいという趣旨のものか。
枝野代表)われわれとしては、結党以来有権者の皆さんに申し上げてきている基本的な姿勢が変わったとは思っていないが、そうした基本姿勢に基づいた政治を実現するために、特に国会におけるこの通常国会でも、与党の横暴という現実に対してしっかりとご期待をいただいている皆さんの声を反映した国会議論を進めていく上では、こうした戦い方が必要なフェーズに入った、ステージが変わったと思っているので、ご理解を得ていきたい。
 こういう形で党派に対してお呼びかけをさせていただいたので、もちろん加わっていただければそれぞれ皆さんの力を個人として最大限発揮していただきたいと思いますが、会派として、党派としてこの申し入れをご賛同いただき、加わっていただくことを期待したい。

記者)今回の呼びかけは、参院選の結果を受けてのものなのか。
枝野代表)こういう判断は、ある瞬間に判断するものではない。特に通常国会での与党の横暴がさらに極まる状況のなかで、さらに力強く戦っていくためにはどうしたらいいのかを考えてきた。

記者)会派を一緒にすることで衆院選に向けた野党共闘のあり方にどのような影響があると考えるか。
枝野代表)まずは国会のなかで、この呼びかけに応じていただけるのかどうか自体分からない。できれば呼びかけに応じていただくことで国会論戦をより力強く進めていきたい。まずはそこからだと思っている。

党首会談提案文書.pdf