参院本会議で7日、「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」に関する報告について質疑が行われ、立憲民主党・民友会・希望の会を代表して白眞勲議員が質問に立ちました。
白議員はまず、イージス・アショアの配備地について、秋田県付近の候補地として他に適地はなかったという根拠データに9カ所もの誤りがあったことが判明したと指摘。政府の信頼をなくし、住民がどれだけ不安を感じているか総理大臣の見解を求めました。
また、イージス・アショアの搭載レーダーは現在開発中のものであり、イージス艦に搭載されている既存レーダーの方が信頼性やアップグレードにも優越性が高いとして、選定理由を防衛大臣にただしました。
日本のサイバー防衛については、米国は約6,200人、中国は約3万人、北朝鮮が約6,800人と言われているが、我が国のサイバー防衛隊は今年度の増員も含め合計で220名しかおらず、「サイバー防衛能力の抜本的強化」と言えないのではないかと指摘、採用にあたっても専門性が極めて高いため、これまでとまったく違った方法で募集する必要があると指摘しました。
装備品導入による後年度負担の増加については、補正予算への計上が常態化しており、本来、補正予算は、災害などの年度途中に予期し得ない事態が発生した場合に組むものであり、これら費用は当初予算で手当てすべきものではないのかと指摘、総理大臣の見解を求めました。
韓国との関係については、大綱には韓国との間では幅広い分野で防衛協力を進めるとあるが、レーダー照射の問題についてどうなったのか、1日に韓国の国防大臣と会い解決したのか、防衛大臣をただしました。
また北朝鮮との対話について、安倍総理は、北朝鮮の金正恩委員長に対し、条件を付けずに向き合わなければならないという考えを明らかにしたことについて触れ、今まで拉致問題の解決に資する会談でなければならないという条件をつけていたことと矛盾し、拉致問題の解決に資さなくても会うという誤ったメッセージになりかねないと指摘、今後、北朝鮮にどういうアプローチを考えているのか、方針が変わった以上、国民に少しは説明すべきだとして、総理大臣の見解を求めました。
さらに、安倍総理が「あらゆるチャンスを逃さない」という決意で臨んでいるのであれば、トランプ大統領が金正恩委員長と次の3回目の首脳会談を行う際に同席してみてはどうかと提案。昨年の予算委員会で、「まず順番としては、南北そして米朝が行われ、そしてもちろん日米朝という形の首脳会談というものも私はこれは否定するものではもちろんありません」との答弁を取り上げ、まさに今、そのタイミングだとして、安倍総理の決意をただしました。
攻撃型空母について、2月7日の参院予算委員会において岩屋防衛大臣が、核兵器等の大量破壊兵器を搭載する能力を持つものが攻撃型空母に当たる旨の答弁しており、過去の攻撃型空母の定義に関する政府答弁において具体的に言及のなかった「核兵器等の大量破壊兵器」を例示した理由についてただしました。
F35について、取得数を42機から147機とし今後は完成機輸入とされたが、国内生産ラインの整備に投じた1997億円について見解をただしました。また、FMSという購入方法は相手の言いなりで取引することにすぎないと指摘。武器調達のオフセット取引など柔軟な発想が求めらると指摘しました。
自衛権の発動について、防衛大臣は自衛権発動の三要件に該当する場合、他国への領域における武力行動でも憲法上、法理上許されないわけではないとの見解を示しているが、F35などの有人機はもとより今後無人機が相手国でブースト段階の弾道ミサイルを迎撃することも可能なのか、総理大臣にただしました。
最後に、北方領土を戦争で取り返す是非について言及した衆院議員について言語道断だと発言。「私たち政治家は、相手がどういう国であれ、戦争だけは絶対に避ける、その知恵を絞るのが政治家の役割である」と強調し質問を終えました。