福山哲郎幹事長は27日夕、2019年度予算案が可決・成立したことを受け国会内で記者団の取材に応じました。記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。
Q:今日、来年度の予算が成立しましたが受け止めを
消費増税を前提とし、天下の愚策である軽減税率を導入するという予算が通ったことについて、将来の日本経済と国民生活に大きな禍根を残すということで、非常に残念に思っています。
Q:予算審議を通じ、統計問題や辺野古問題など野党側は追及を続けましたが、政府側の姿勢はどのように感じられたか
結果として共通事業所の実質賃金、間違いなくマイナスになっているものも提出がされませんでした。辺野古の問題についても、新たな軟弱地盤の報告書も結果としてギリギリまで提出されませんでした。改ざん、隠ぺい、不正、安倍政権の国会に対する非常に不誠実な対応が今年もまた続いたということです。
Q:一方で審議が与党のペースで進んだことや、特に参院に移ってからは盛り上がりに欠けたのではないかという指摘もありますが、そのようなことにはどのようにお感じになるか
予算委員会はショーではありませんから、盛り上がりが問題なのではありません。審議の中身です。議事録を読んでいただければ、いかに野党側が問題点の指摘をし、それに対して政府側がまともに答弁できなかったことがどれほど多かったことか。われわれは審議の場を確認をして、非常に内心、忸怩たる思いでいっぱいです。(審議で必要な)時間が経過すれば、予算さえ通ればそれでいいわけではありません。将来的に国民の生活に影響し、また防衛費の予算も非常に拡大され、長期の契約で将来にわたって拘束されるような予算になっています。このことは先々、かならず国民生活のひずみになって出てくると思っているので、最低限われわれとしては予算委員会で問題点を指摘し、それに対しての政府の不誠実な状況について明らかにできたと考えています。
Q:今日の予算成立までの過程の中で、野党として大臣の問責の提出など、閣僚の資質が問われる中でいろいろな手段があったと思うが、それらを見送った理由は
参院の予算審議は、自然成立という制限のなかでやっています。閣僚の資質がひどい状況ということは国民にはもう知れ渡っていると思います。暴言・失言・放言、そして間違った答弁。状況によっては虚偽まで含めて、ひどい閣僚の資質がいくつも散見されました。これは安倍政権全体の問題ですので、統一地方選挙、そして参院選挙において、安倍政権全体に対する評価として、われわれは国民に問うていかなければならないと思っていますので、問責を出し、否決をされて数によってこれで認められた(信任された)んだと言われるぐらいなら、このような酷い資質の閣僚をそのまま放置している安倍政権の姿勢を問うべきだと考えました。
Q:予算成立し、後半国会を迎えるが、立憲民主党としては何に力点・焦点をおいて政権に対して行政監視していこうと思うか
まずは、元号の発表があり、譲位が行われるという状況ですが、そのことについては静かな状態で迎えるべきだと考えております。一方で国会はまだ毎月勤労統計調査の問題について、実質賃金の公表もされていません。さらに言えば監察委員会の報告書のずさんさ加減も、まだ一向に問題解決にはいたっておりませんので、引き続きやらなければならないと思います。外交問題に目を移せば、米朝首脳会談後の北朝鮮情勢、そして安倍総理が非常に熱心に取り組んでいる日露の北方領土の問題についての状況、外交問題はかなり安倍政権が行き詰まっていると考えておりまして、その姿勢についても国会の中ではしっかり審議をしていかなけばならないと考えております。経済は非常に不透明な状況に入っています。国民生活が厳しい状況のなかで、本当に消費増税が適切かどうかについては予算が通ったからといって終わるわけではありませんし、国民生活は常に続いていますので、われわれとしてはしっかりと国会で論議を深め、今の安倍政権のおかしな点について、より強く追及をしていかなければいけないと考えております。
Q:統計問題に関して、野党側の追及によって明らかになった点は
まずは監察委員会の報告書がいかにずさんで、監察委員会の名に値しない、非常にお手盛りの報告書であったかということは明らかになったと思います。2点目は、毎月勤労統計調査の問題について、官邸の関与の可能性が非常に強いということも、メールのやりとり等でも明らかになってきたと考えています。つまり森友学園、加計学園、そしてアベノミクスに関する勤労統計に対しての問題、それぞれ官邸が暗躍をしていた可能性が非常に高くなってきていまして、やはりこういった形で事実が隠されるというのは、日本の社会、民主主義、議院内閣制にとって非常に不健全な状況になっていくと思っています。統計というのは国家の根幹ですから、そのことについて非常に不信を持たれる状況があったということを、国民全体に対して明らかにできたと考えています。
Q:衆院審議の時から実質賃金の提出を求めてきたと思いますが、実質賃金の提出を採決の条件としなかったのはなぜか
自然成立しますから。自然成立するのに採決しないとかするとか言っても、参院は先程申し上げたように自然成立という制限のなかでやっているので、逆に言えば、それが分かっているのに参院予算委員会の審議中に出してこなかった政府側の対応について責められるべきだとわれわれは考えています。