衆院本会議で7日、「特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(特定防衛調達特措法改正案)の趣旨説明・質疑が行われ、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して篠原豪議員が質問に立ち、政府の見解をただしました。
本法案は、国庫債務負担行為による支出すべき年限の上限を、PAC-3ミサイル部品やE-2D等の防衛装備品の調達コストを削減するとともに安定的な調達を実現する目的で、上限を5カ年から10カ年に延長する特別措置法の有効期限を5年間延長するものです(現行法は2018年度末に失効)。
篠原議員は冒頭、6日の参院予算委員会での「声を荒げて」という横畠内閣法制局長官の発言に触れ、「法の番人」たる内閣法制局長官として看過できない政治的発言であり、謝罪・撤回で済む話ではないと厳しく非難。「潔く内閣法制局長官の職を辞すべき」だと求めました。
その上で、本法案については、(1)本法律施行により約787億円の調達経費削減効果があったとする防衛省の資料の客観性(2)2019年度予算で取り上げられている、PAC-3ミサイル用部品及びE-2Dの縮減効果の根拠として示されている価格の算定根拠(3)長期契約による縮減効果(4)装備の高度化と長寿化による防衛装備品維持費の増加傾向(5)調達費用の抜本的削減のための防衛産業の構造的な再編(6)防衛装備費を補正予算に計上という違法性の強い手法(7)米国政府の有償軍事援助(FMS)で購入するE-2Dが長期契約の対象になった理由(8)FMSの長期契約適用と国内産業保護との矛盾――等について質問。安倍政権では、当初予算と同時編成される前年度補正予算に、本来当初予算に計上されるべき一部経費を振り分ける手法が常態化していると問題視。2018年度に策定される中期防衛力整備計画に盛り込む方向であったイージス・アショアの導入に関する米国からの各種情報等の取得経費を、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を理由に、あえて前倒しして2017年度補正予算に計上していることに「緊急性が無いにもかかわらず、補正予算を利用してまで防衛予算を膨張させるやり方は、単年度主義の財政規律を乱し、国会が財政をコントロールすることを無意味にする」と指摘しました。
最後に、「今回の特定防衛調達に係る長期契約の削減効果は、あまりに微々たるもので、長期契約による防衛予算の硬直化を緩和するまでに至っていない。防衛予算が毎年、史上最高を記録している現状をみると、その削減額だけ翌年度の防衛装備品の歳出化経費の総額を低く見せることに役だっているという現状がある。その意味で、長期契約によるメリットは、そのデメリットを上回るまでに至っていないのではないか」との認識を述べ、質問を終えました。