衆院本会議で15日、立憲民主党はじめ野党5党1会派が提出した石井国土交通大臣に対する解任決議案が議題となり、趣旨弁明を森山浩行議員、会派を代表した賛成討論を宮川伸議員がそれぞれ行いました。石井国交大臣は、野党側が十分な審議を求めているカジノを含むIR(統合型リゾート)の実施法案の担当大臣です。
森山議員は、石井国交大臣の不信任決議案の提案理由として、(1)「資質」の問題(「大臣としての自己認識の不足」「カジノ法案についての説明不足」「国民との意見交換の不足」)(2)公明党より選出された大臣でありながら政権のブレーキ足り得ていないという、自公連立政権の問題(3)森友学園問題への無責任な対応(4)国民への説明もないままカジノ法案を提出したこと(5)カジノ法案を審議不十分なまま成立させようとしていること――の5点を列挙。カジノ法案をめぐっては、「『博打』で成長戦略ということでいいのか」「違法性をカジノに限って阻却し、民間施設で解禁していいのか」「外国資本に対する規制のないこの法案でTPP、PFIに続き外資に『国を売る』ことになるのではないか」「緩い入場制限や公営賭博でも認められていない『特定貸付業務』制度の採用、カジノ「管理委員会」の公正中立性が保たれていないなど、石井大臣が連呼する『世界最高水準の規制』が盛り込まれていないのではないか」など多くの論点を指摘し、議論が不十分なまま結論ありきの石井大臣の対応を批判しました。
最後に、「国民的に不人気なカジノ整備法案を出来が悪いままでもさっさと通して来年春の統一地方選挙や夏の参院議員選挙ごろには国民世論も『忘れているだろう』ということで、党利党略で「カジノ整備法案」を無理やり通そうしていると言われても仕方がない」と述べ、締めくくりました。
宮川議員は、安倍政権の下で森友学園・加計学園問題や防衛省の日報問題など、わが国の議会制民主主義が崩壊しかねない大問題が次々に起こっているなか、特に森友学園問題では大阪航空局がゴミ撤去費の積算等を行っており、その所管大臣である石井大臣の責任は重大であると厳しく非難。「いまだに真実は解明されておらず、積極的に問題解決に取り組まない石井大臣はその職を辞すべきだ」と断じました。
カジノ法案の審議では、問題の本質にきちんと向き合わない答弁、結論ありきの答弁を繰り返してきたとして、(1)「なぜカジノが必要なのか、誰のためのカジノなのか」という基本的な質問に答えていない(2)「カジノ新設によってギャンブル依存症になる人が増えるのではないか」との懸念に明確に答えていない(3)国民の約7割が反対しているにもかかわらず法案審議を強引に進め、国民への丁寧な説明を怠っている――といった点等を指摘。同法案には刑法との整合性の問題やマイナンバーカードの問題、倒産後の処理の問題など、まだまだ議論が必要な問題が残っているとして、「これで審議を打ち切って採決することなどあり得ない。人の命よりもお金を優先する、このような成長戦略は即刻やめるべき」と訴えました。
不信任決議案は与党などの反対多数で否決されました。