衆院予算委員会理事懇談会に23日、学校法人「森友学園」に関する財務省の改ざん前の決裁文書全文、交渉記録、添付されていたメモ(現時点で財務省内で探索しうるもの)と、防衛省が存在しないとしていた陸上自衛隊のイラク派遣部隊の日報問題をめぐる調査報告書が提出されました(現時点で財務省内で探索しうるすべてのもの)。
 決裁文書は約3,000ページ、交渉記録は約900ページ、本省相談メモは30ページ弱に及びます。

 これを受け、同委員会の野党理事は国会内で記者会見を開催しました。

 野党筆頭理事の逢坂誠二衆院議員の冒頭発言の概要は以下のとおりです。

 「これだけのものが1年間改ざんされ、隠ぺいされ、しかも廃棄されたという状況になっている。この1年間、国民を騙し続けた。そして騙されたなかでわれわれ国会議員は質疑せざるを得ないという時間を送ってきた。これのどこが民主的な国家なのか、強く政府の対応を非難したい。(政府は)交渉記録はずっと『ないない』と言ってきた。しかも意図的に廃棄をした可能性が高い。それについてはまだ調査中で、はっきりした因果関係が今日の時点では言えないようだが、虚偽の答弁をして、その答弁に合わせる形で書類を廃棄していたとすれば許しがたい。財務省はさまざまのことを『いま調査している』と言っているが、これほどの改ざん、隠ぺい、廃棄があったことはすでに事実であり、今日この時点で多くの関係者の責任は明らかだろう。特に、それを管理・監督をしている財務大臣に積極的な反省の弁がないという姿勢も驚きだ。しかもこの案件は総理自身が関わっていたのではないかと疑われていたものだ。当の総理からも積極的な話がないことには、行政の長、財務省の長に対して強い憤りを感じている。今日この文書が出され、中身についてはまだ全く一切目を通す暇はないが、この内容、あるいはこれまでの政府の嘘に満ち満ちた答弁をあらためて精査をして政府の問題点を追及していきたい。
 来週28日の衆参両院の予算委員会の1日だけの集中審議では問題が明らかになるとは思えない。さらにしっかりとした審議ができるよう与党に要求していきたい」

 理事懇では、防衛省の調査報告をめぐり、赤いシールで「防衛省による公表まで対外的に言及しないでださい」と書き込みがある資料が自民党と委員長にのみに配布されたことが発覚(写真手前が、自民党理事らに配布された資料のコピー)。逢坂議員は、「われわれに公表する前にどこかに説明していたのではないか。政府のなかで説明するならいいが、防衛省以外に説明していたのではないかという疑念を拭い去ることができない」と問題視しました。

 加計学園問題では、中村・愛媛県知事の参考人招致、加計孝太郎理事長の証人喚問、柳瀬元総理の参考人招致をあらためて強く求めたと報告。これに対し、与党からは真相解明のためにそれが資するのかという疑問が呈されています。逢坂議員は、「総理自身が膿(うみ)出し切るといっている。いろいろな人の話に齟齬(そご)があり、『違うのではないか』という疑問があれば当事者に話を聞くのは当たり前なことだと思うが、与党からは『応じる』という答えをいただいていない。与党は膿を出し切るどころか真相解明にはまったく後ろ向きで、真相を闇に葬ろうとしているとしか思えない」と批判しました。