衆院本会議で22日、カジノを含む特定複合観光施設区域整備法案(通称、IR法案)の趣旨説明・質疑が行われ、会派を代表して阿部知子議員が質問に立ちました。
本法案は、当面は全国3カ所を上限にIRを整備し、日本人と国内に居住する外国人から入場料6千円を徴収することなどが柱。日本人の入場回数を週3回、月10回に制限し、マイナンバーカードによる本人確認を義務付けて来場回数をチェックすることなどを盛り込んでいます。
阿部議員は、「生命を軽んじ、働く者の生活を破壊し、グローバル化した企業が設け、格差社会を進め、国益を放棄する安倍政権が次に目指すのが、特定複合観光施設区域整備法案だ。刑法では違法とされるギャンブルを『特定複合観光施設区域整備』という名前をかぶせて隠して合法化する。横行するセクハラに加えて、賭博も解禁となれば人としての倫理は崩壊し、社会の闇はさらに深くなる」と指摘。「なぜカジノが要るのか。アベノミクスとは人の不幸の上に成り立つ経済なのか」とただしました。
そのうえで、(1)カジノを含むIRの公益性(2)「カジノ管理委員会」規制能力の担保(3)「カジノ管理委員会」の事務体制(4)依存症対策の費用(5)IR整備法案とIR推進法の付帯決議に示された賭博が違法とされないための8要件(「目的の公益性」「運営の主体等の性格」「収益の扱い」「射幸性の程度」「運営主体の廉潔性」「運営主体への公的監督」「運営主体の財政的健全性」「副次的弊害〈青少年への不当な影響等〉の防止等」)との関係および8要件の考え方(7)基本方針に関するパブリックコメントの実施(8)世界最高水準の規制と収益――等について質問。「収益を追えば追うほど、ギャンブル依存症という悲しい犠牲者が出るカジノ、これが安倍総理のいう美しい日本か。TPPの目指すグローバル化した企業が国境を越えて富をむさぼり、雇用が奪われ、貧富の差が拡大し、射幸心から人々がカジノに群がる姿を立憲民主党は決して幸せな未来とは思えない」と述べ、ギャンブル依存症の対策法すらおざなりにしてIR法案の審議を進めることのないよう、訴えました。
衆院本会議ではこれに先立ち、茂木経済再生担当大臣に対する不信任決議案が議題となり、会派を代表して山崎誠議員が賛成の立場から討論を行いました。
山崎議員は、不信任決議案の賛成理由としてまず、TPP11に対する茂木大臣の基本姿勢を挙げ、「TPP11はグローバル企業に一方的に有利な環境を提供するもの」「TPP11は日本の豊かな農業を基盤とする社会を破壊する大きなリスクをはらんでいる」などと指摘。「日本の政治家が真っ先に守るべきものを見失っている茂木大臣に国際交渉を担っていただくわけにはいかない」と断じました。
TPP11をめぐっては、日本の農業への影響試算のあり方や22の凍結項目など多くの問題や課題を抱えながらわずか3日間、十数時間の審議で終わらせようとしている政府・与党の姿勢を批判。安倍政権から始める国難が去っていない状況のなか、会期を大幅に延長して議論を尽くそうと呼びかけました。
採決の結果、茂木大臣に対する不信任決議案は与党などの反対多数で否決しました。