2017年12月22日

2018年度予算案について(談話)

立憲民主党政務調査会長
長妻 昭

 本日、2018年度予算案が閣議決定された。

 「格差は成長を損なう」――。今や、先進国で広く共有された認識である。先進国の中でも大きな格差を是正することは我が国の喫緊の課題である。今回の予算案は、格差を是正するものとは到底言い難い。

 一般会計総額は97兆円を超え、6年連続で過去最高を更新することとなった。安倍政権発足から5年。「3本の矢」「一億総活躍社会」「人づくり革命」など、スローガンばかり勇ましいながら、何ら目標達成も成し得ないまま、焼き直しの事業を継続させ、予算規模ばかりが膨れ上がっている。実質賃金や消費の低迷、非正規雇用の拡大など、アベノミクスの影が顕在化しているにも関わらず、立ち止まることもなく、「この道しかない」と強引に突き進む姿は、国民生活を置き去りにするものである。

 特に、消費税率引き上げ後の使途変更により、財政健全化目標への道筋が閉ざされたにも関わらず、その穴埋めも、新たな目標もないままに、放漫財政を続けている。計画性のない予算編成は、将来世代を犠牲にしている。

 また本年は、診療・介護・障害福祉の3報酬が同時改定となった。診療報酬の本体部分は0.55%引き上げられた。医療と介護の需要が増加する中、地域医療を支える観点から引き上げを評価する。しかし、医療の安定供給への不安が十分解消されないまま、団体間の利害調整が先に立った改定であったことは大きな問題である。介護報酬は0.54%引き上げられた。前回の改定では引き下げられ、介護事業者のひっ迫した経営を招いた。介護サービスの安定的な提供を可能とするために、介護の将来ビジョンを明確にしたうえで、適正水準まで引き上げるべきである。障害福祉の事業者に対する報酬は0.47%引き上げられた。障害福祉サービスを受給者が安心して地域で生活し、自立を支える体制を整えることが急務である。

 他方、生活保護費の切り下げが行われることとなった。低所得世帯の消費支出が減少しているにも関わらず、その対策もないままに、生活保護世帯の生活扶助費の切り下げを進めることは、本末転倒である。貧困や貧困の連鎖を加速させる間違った決定であり、強く撤回を求める。

 具体的な事業においても問題がある。特に、防衛省予算では、巡航ミサイル導入に関する経費が計上された。そもそも概算要求では計上されず、国会閉会後、突如、防衛大臣が追加要求を公表したもので、国民的な議論を避けた姑息な手段である。日本が堅持してきた専守防衛の観点から、通常国会において精査していきたい。

 あわせて総額約2.7兆円に及ぶ2017年度補正予算案も閣議決定された。これまで発効せずとも数兆円を執行してきたTPP関連予算の積み増し、3年後に開催される東京オリンピック・パラリンピック大会経費の政府負担を計上するなど、財政法の定める「特に緊要」と考えられる予算案とは到底言い難い。

 立憲民主党は今後、上記を含む様々な問題点について、通常国会での論戦を通じ明らかにするとともに、国民生活を重視した予算の実現を図っていく所存である。また、国会での審議にあたっては、十分な審議時間が確保されるよう、強く求める。

以上