共同会派法務部会と外国人受け入れ制度及び多文化共生社会のあり方に関する検討合同プロジェクトチーム(PT)は16日、合同会議を国会内で開催し、法務省が公表した「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」に関するヒアリングを実施しました。
この提言は、第7次出入国管理政策懇談会「収容・送還に関する専門部会」が提出したものです。専門部会は、入国管理局施設における退去強制令を受けた外国人の収容が長期化している問題を「退去しない行為に対する罰則の創設」等によって解決すること等を提言しています。
冒頭、石橋通宏PT座長は「外国人PTでは、外国人労働者受け入れ問題と並んで難民認定や収容・送還の問題を取り組み課題の1つに挙げて議論をしてきた。今回の提言には深刻な問題が含まれているとの関係者の指摘があり、まずは法務省からヒアリングを行った上で、対案づくりも含めた議論を前へ進めていきたい」とあいさつしました。
ヒアリングでは、最初に法務省から専門部会提言の概要についての説明を受け、質疑を行いました。出席議員からは、「提言には庇護されるべき人を庇護すると書かれているが、そもそもわが国では、難民認定を求める人の99.5%が拒絶されている現実がある。これを抜本的に改めないままに刑事罰を設けて、罪人にして強制送還しようというのであれば、国際法にも悖る重大な問題ではないか」などの指摘がありました。
続いて認定NPO法人難民支援協会の石川えり代表理事、全国難民弁護団連絡会議世話人の鈴木雅子弁護士、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワークの鳥井一平代表理事から、それぞれ、専門部会提言の問題点についての指摘がありました。石川さんらは、「専門部会提言は、『帰れない人』の実態を見ていない。難民認定申請を繰り返すことを問題視するような記述もあるが、複数回申請をした末に認定された人も1割程度存在する。たとえ罰則を課されても帰れない人がいるということを理解してほしい」「日本の難民認定制度の問題点については、2014年に法務省の審議会から提言された見直し内容すらまだまったく実現していない」「非正規滞在と言われる人たちが解体の現場や産廃の現場を支えている。日本社会や地域経済を支えてくれている担い手という視点も含めて議論して欲しい」などと訴えました。