2020年7月2日
【参院厚労委】「東京アラート」、数値基準ない新たなモニタリング指標を問題視 田島議員
参院厚生労働委員会で2日、閉会中審査が開かれ、共同会派「立憲・国民.新緑風会・社民」から質問に立った田島麻衣子議員は、新型コロナウイルス感染症に関し、(1)「東京アラート」と東京都の新モニタリング基準(2)視聴覚障がいを持つ方への情報提供のあり方(3)ホームレス・ネットカフェ難民に対する特別定額給付金の支給――について取り上げ、政府の見解をただしました。
田島議員ははじめに、6月19日の「東京アラート」の解除後の都内新規感染者数の推移を示し、直近の6月26日から7月1日までの6日間連続で50人以上が確認されるなど、「東京アラート」発令期間中よりも増加傾向にあることに、「普通に考えればアラートに該当するのではないか」と指摘。小池都知事が6月30日の記者会見で、新たなモニタリング指標の変更を打ち出し、今後「東京アラート」の発令はないとしていることを問題視しました。
これに対し、加藤厚労大臣は「新たなモニタリング指標を踏まえながらこれから総合的に勘案していくと小池都知事が言われたと承知している」「厚労省としては東京都の取り組みをしっかりと支援していく。同時に医療提供体制の確保について努力していきたい」などと他人事のような答弁。田島議員は、「支援以上のものが必要ではないか」と述べ、新たなモニタリング指標について宮下内閣府副大臣が「具体的な数値目標について話はなかった」と答弁していることに、「数値なしに新たな指標だけで大丈夫なのか。数値基準を示していくべきではないか」と迫りました。
視聴覚障がいを持つ方への情報提供については、当事者らから「情報が十分行き届いていない」という声が届いているとして、新たな支援制度などについて、手話と音声、字幕などを付けて情報を出していく仕組みを作ってもらえないかと要請。加藤厚労大臣は、「すでにさまざまな工夫はしている」とした上で、今後さらに改善を図り、必要な対応を取っていくと前向きな姿勢を示しました。
ホームレス・ネットカフェ難民に対する特別定額給付金をめぐっては、住民登録をしていない方々に対し、臨時に役所等を住所地として特別定額給付金を支給できない理由を質問。総務省は、「仕組みの簡素化、給付の有無の確認、二重給付の防止を図る観点から住民基本台帳の情報に基づき給付を行うこととしている」「住民登録のない方は、現に居住している市区町村で住所の認定を受け、住民登録をされることが必要。住民基本台帳法における住所とは、各人の生活の本拠を言うもので、地方自治体庁舎のような公共の用に供する施設は、ある個人が生活の本拠として専有することができないため住所地として認定できない」などと説明。その上で、4月28日に地方自治体に対して手続きの援助や積極的な周知などの支援するよう連絡、6月24日には「住民登録の相談に積極的に応じること、緊急的な一時宿泊場所についても管理者の同意があり、生活の本拠たる住所として市区町村が認定することが適当と判断したときは住民票を作成すること、この場合、自立支援センターやネットカフェのほか簡易宿所、無料定額宿泊所、生活困窮者一時宿泊施設などもその対象となりうることなどについてお知らせをしている」などと答えました。
田島議員は、自身も炊き出しボランティアなどに取り組んでいることに触れ、こうしたホームレス支援等に関わっている団体らの労力に対し支援金等が必要だと指摘。あわせて、申請主義ではなく、支援の届かない人々に対しアウトリーチしてくことが大切だと述べました。
田島議員はほかに、男性ベビーシッターが保育中の男児にわいせつ行為をして逮捕された問題に関連し、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業において、子どもに対する性犯罪を防止するための、過去の犯罪履歴の照会の可否について質問。加藤厚労大臣は、犯罪情報は個人情報であることや、免許制度、認可制度がベースになっている保育士と異なりベビーシッターは届出制度になっていることなどを踏まえ、そうした制度そのものを含め、安心して使えるように議論をしていく考えを明示。田島議員は「事故が起こってからでは遅い」と、改善を含めて厚労省での検討を続けてほしいと求めました。