衆院経済産業委員会で24日閉会中審査が開かれ、共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」から大串博志、斉木武志、山崎誠、川内博史各議員が質問に立ち、持続化給付金や家賃支援給付金事業等について質問しました。
大串議員は質疑の冒頭、「新型コロナウイルス対策を国民の皆さんの協力を得ながら進めていくためには政府への信頼を欠くことはできない」との問題意識のもと、前法務大臣の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員が逮捕された公職選挙法違反(買収)事件に言及。自民党から交付された1億5000万円のうち1億2千万円は政党交付金が原資と判明していることから、税金を原資として違法な資金提供が行われたのではないかと西村官房副長官にただしました。自民党席からは「コロナ対策ではない」「理事会の合意事項だ」などと怒号が飛び、公明党の富田茂之委員長はたびたび質問を遮り議事を止めましたが、大串議員は「政府への信頼の問題だ」と反論。自民党の二階幹事長が23日の記者会見で、1億5千万円の使途について「党として支出した先がどうなったか細かく追及しておらず、承知していない」と述べたことを受け、二階幹事長の従来の説明や、それを引用し「党本部で事後的に各支部の支出をチェックしている」とした安倍総理の18日の記者会見での発言、参院決算委員会での岡田官房副長官の答弁と異なることから、この点について説明を求めました。西村官房副長官は「(二階幹事長の発言は)承知していないので答弁できない」と答弁を避けました。
その上で、「家賃支援給付金」事業をめぐり、大手広告代理店・電通が下請け企業に対し、別の広告大手に協力しないよう求める発言をした問題を取り上げ、「他の支援業務を妨げようとしているのであればとんでもない。事実であれば独占禁止法に抵触することになる」と事実関係を確認。梶山経産大臣は、サービスデザイン推進協議会から実施したヒアリングによれば、5月23日に持続化給付金事業において全体の管理・調整を担当していた電通社員から個人として不適切な発言があったことは事実だと認めた上で、「組織的な圧力ではなかったと聞いている」と答弁。大串議員が「『組織性がない』と確認した客観的事実はどこにあるのか」と迫ると、梶原経産大臣、前田中小企業長官は明確な説明はせずに、「不適切な問題発言があった電通社員はすでに処分され、電通として再発防止に向けたコンプライアンス協議を実施している。今回の件をもって事業遂行に特段の影響はない」「追加の調査予定はない」などと強弁しました。大串議員は、他の下請け企業に対する圧力があった可能性もあり、事業を担わせるべきか判断する必要があると述べ、調査に消極的な経産省に対し、「電通を庇おう、庇おうとしている。経産省自体が癒着しているのではないかという疑念が残る」と指摘しました。
山崎議員は、持続化給付金事務事業に63社もが関わるなか、業務の履行体制がしっかりしておらず、個人情報等取扱業務の再委託に係わる承認について、本来提出が求められている情報取扱者名簿と情報管理体制図を把握できていないことを問題視。「事前に報告せずに個人情報をいじることはできない。それがルールなのに守れていない事実は重い。もし、個人情報が流出するようなことが起これば全部業務が止まってしまう。いま給付を待っている方がたくさんいらっしゃる。事業をやめなければいけないと思っている人たちにどういう責任を取るつもりなのか」と訴え、参画しているすべての企業と、どういう個人情報にかかわる取り決めの文書を交わし、作業実施者の実態を把握しているのかについて、書面での提出を求めました。
川内議員は、「家賃支援給付金」事業をめぐる電通社員から下請け企業への圧力メールについて、経産省が、サービスデザイン推進協議会から「削除されている」と聞いていると説明していることに、「コンプライアンスの観点から証拠をすべて残す必要があるということで開発されたソフト(を使用している)。官を欺くものではないか」と批判。「われわれとしては、持続化給付金の事業は進めてもらわなければいけないが、事務は効率化し、コストダウンしなければならない。行われていることには法的適合性、コンプライアンスを守ってもらわなければいけない。独禁法違反の疑いがあることには、詳細に調査しなければ家賃支援給付金をはじめ、今後のさまざまな給付金事業に影響が出る可能性がある」と指摘。「独占禁止法で禁じられている、優越的地位の濫用にあたり、独占禁止法違反であると思慮する。組織的なものか否か、どこまでの範囲でこのようなことが行われていたのか、公正取引委員会としてしっかりと調査をすべきだと申告するのでお受けいただきたい」と述べました。これに対し公正取引委員会審査局長は、「申告として受付、独占禁止法の規定に基づき適切に対処してまいりたい」と応じました。