参院予算委員会で11日、前日10日に衆院本会議で可決され、参院に送付された令和2年度(2020年度)第2次補正予算案が実質審議入りし、立憲・国民.新緑風会・社民から蓮舫、斉藤嘉隆、小西洋之、増子輝彦各議員が質問に立ちました。
蓮舫議員は、(1)持続化給付金事業の事務体制(2)マイナンバーカードを活用したオンライン申請(3)新型コロナウイルス感染症対策専門家会議や連絡会議の記録――について安倍総理はじめ政府の見解をただしました。
中小企業などを支援する『持続化給付金』事業をめぐり、経済産業省から約769億円で事務業務を受託した一般社団法人サービスデザイン協議会が、広告代理店の株式会社電通に約749億円(受注額の約97%に相当)で再委託していた件について、蓮舫議員はキャッシュレス決済のポイント還元事業も今回と同様に一般社団法人が受託し電通に再委託されていることから、直接電通に委託しない理由を求めました。梶山経産大臣は、「(預かり金が巨額になる関係で)経理面から会社として受けない判断に至った。これは投資家への説明の問題」と電通側の説明をそのまま答弁しました。
蓮舫議員は、政府のDV被害相談体制強化費やスポーツイベント再開支援予算などを挙げ、「限りある財源を特定のところに渡すのではなくて、本当に必要なところに渡すのが政府の仕事ではないか」と訴えました。
マイナンバーカードを活用したオンライン申請については、申請が殺到しサーバーがダウンしたことに対し、e-Tax(国政電子申請・納税システム)を引き合いに出し、マイナンバーカードを全員が保有することを前提に構築したシステムであるにも関わらず、一部にしか普及していない段階でこのような事態になったことを問題視、改善するよう求めました。
専門家会議や連絡会議の記録については、森友加計学園問題を受け、打ち合わせ内容等も残すようガイドラインを改正、その上で、今回「歴史的緊急事態」の指定をしていることから、公文書としてしっかり残し、公開することを求めました。
斉藤議員は、(1)10兆円の予備費(2)文化振興・教育課題(3)新型コロナ対応休業支援金――等について取り上げ、安倍総理らの見解をただしました。
斉藤議員は、今回の2次補正予算案に計上されている10兆円の予備費について、「使い途としてどのような想定をされているか」と質問。安倍総理は「予備費はそもそも予見し難い予算の不足に充てるための処置であり、使途をお示しした5兆円についても幅をもってみる必要がある。各々について具体的な予算額を計上することは困難」、麻生財務大臣は「予測し難い、というのが大きな背景。1回(非常事態宣言を)解除したあとにまたなにか起きるかもしれない。仮に再発した場合、予備費で即対応する必要がでてくる」などと答え、「予見し難い」ことを理由に緊急時のための巨額な予算の正当性を主張しました。これに対し斉藤議員は、「予備費は補正予算を待つことができない緊急性のある執行に対応するもの。原則国会閉会中であり、97年の閣議決定を読んでも国会開会中の予備費の支出執行は限定的であるべきだという、政府としての見解が示されている」と指摘。「予定し難い状況だからこそ国会は開いておくべきだ。今年は通年国会とすべきではないか」と求めましたが、安倍総理は「国会の延長については国会がお決めになること」だと繰り返し答えるのみでした。
斉藤議員は、「開会中の予備費用は緊急的なもの、軽微なもの、これが政府の大原則」だとあらためて強調。必要であれば国会を開いて補正予算の審議するよう重ねて訴えました。
その上で、今回ようやく盛り込まれた、文化芸術活動の緊急支援予算に関し、活動を再開しても3密を避けることで客数が限られ、開いても赤字になり営業を続けられない状況に陥っているとして、特に規模の小さい、ライブハウスやミニシアターなどに対し継続的な支援の検討を求めました。
小学校・中学校・高校・特別支援学校等の全国一斉休校をめぐっては、安倍総理の2月27日の唐突な要請以後、約3カ月にわたる臨時休校の長期化にともない、子どもたちや現場関係者をはじめ多くの人に影響を与えたことを踏まえ、この休校要請に至った経緯を後に検証する必要があると指摘。これまで15回開かれた専門会議のうち、現在公表されている議事概要を確認する限り、安倍総理の休校要請前に開かれた2月16、19、24日の3回の会議では、このことについてほとんど言及がなく、総理が決断するに至る根拠としては薄いとして、あらためて専門家会議の議事録の作成が必要だと訴えました。