2020年6月10日
【衆院予算委】総理のポストコロナの社会・経済・政治の方向性、「感染症の危機が生じる前の話をなでられているだけ」枝野代表
衆院予算委員会で9日、令和2年(2020年)度第2次補正予算の基本的質疑が行われ、枝野幸男代表が質問に立ちました。
枝野代表は冒頭、これまでの政府の対応は後手に回ってきたと指摘。野党が政府・与野党連絡協議会などで提案した内容を政府が後追いしているとして、「引き続き現場の声を踏まえて、先手先手で必要な施策を提案し、協力すべきことには最大限協力をする」と述べました。
その上で、(1)濃厚接触などが場合でも、入院や手術に先立ちPCR検査を実施することを原則とすべき(2)医療機関や介護施設でのPCR検査の拡大すべき――と提案。第2波に対する備えとして、対応の遅れを検証するために国会に、東日本大震災に伴う原発事故に対する国会事故調のような検証委員会を設け、議事録や速記録、音声データなども含め、すべて提示し検証を進めるべきでないかと、総理の判断を求めました。
安倍総理は、「事態が収束した後には、今回の政府の対応策をしっかりと検証してまいりたい」「(会議等の記録については)各種会議の記録を適切に作成、保存をしている」と答弁書を読みにとどまりました
また、枝野代表は、(1)持続化給付金の手続きの遅れと、電通ダミー法人とでも言える法人による丸投げ、中抜きという疑惑がある民間委託(2)日本政策金融公庫による融資の滞留(3)医療機関等に対する支援、感染症対応従事者慰労金・介護施設職員等慰労金の拡大(4)公共交通機関への支援――についてただしました。
さらに、5月29日に発表した「支え合う社会へ―ポストコロナ社会と政治のあり方」と題した「命と暮らしを守る政権構想」を示し、政府の対策が遅れ対応が後手に回っているのは、コロナ禍で明らかになった社会経済や政治行政の実態を直視せず場当たり的に進んできたことが原因だと指摘。(1)目先の効率性や自己責任が強調され、競争ばかりがあおられてきた、いわゆる「新自由主義的社会」が脆弱であることが明らかになったこと、(2)「官から民へ」「民間でできることは民間で」といったスローガンに振り回され、危機に対応できない小さすぎる行政になっていること――を挙げ、ポストコロナの社会・経済・政治の方向性を安倍総理にただしました。
安倍総理は、(1)地域の医療提供体制、(2)農林水産業(3)公務員の人数――などの状況を説明した上で「小さな政府をひたすら追求しているのかといえば、それはそんなことはない」「今般の新型コロナウイルスへの対応に当たっては、政治の責任として、国民の命と健康、事業と雇用を守り抜くことを最優先に、これまでにない、思い切った措置を講じてきた」「しっかりと検証を行いながら、国民の期待に応えることができる体制を構築していくことが、政治に課された大きな役割」といった表面的な答弁し終始しました。
代表代表はこの答弁を受け、「感染症の危機が生じる前の話をなでられているだけ」と指摘。その上で、「過度な自己責任社会から互いに支え合う社会へ、目先の効率性に拘泥する経済から未来志向の分散型経済へ、こうした社会と経済をつくれる、行き過ぎた小さな政府と政府不信から脱却できる、信頼できる機能する政府を次の総選挙の後につくる、そのことを国民の皆さんにお約束をする」と訴え、質問を終えました。