2020年5月29日
難民懇が東京入管収容施設での暴力事案に関するヒアリングを開催
難民問題に関する議員懇談会が27日国会内で開かれ、東京出入国在留局内で発生した女性被収容者に対する暴力事案に関し、関係者の証言紹介および出入国在留管理庁へのヒアリングを行いました。立憲民主党からは、同懇談会会長の石橋通宏参院議員、同事務局長の石川大我参院議員、近藤昭一衆院議員、打越さく良参院議員が出席しました。
冒頭、石橋議員は、「入管の問題には、非常に多くの方が問題意識を共有していただいている。入管におけるコロナ対策、および東京入管での人権侵害・暴行事案について、入管からあらためてご説明いただきたい。さまざまな課題があるので、入管庁長官に対して、要請行動も検討させていただいている」とあいさつしました。
会では、被害を訴える当事者のコンゴ人女性、収容所内の目撃者、そして目撃者の夫の証言が、ビデオおよび電話録音の形で紹介されました。
同事案に関しては、東京入管の女性ブロックで、仮放免の件で説明を求めていた被収容者を、男性を含む複数の入管職員が暴力的に制圧をしたと言われています。
収容所内の目撃者たちは、「プラカードを持って静かに立っていただけ」「入管に新しく入った人が帰国に同意すれば、入管は2カ月の仮放免をあげるのに、(すでに入所期間が)長い人はそのまま。だからみんなデモやった」「入管職員は、彼女たちをつかんで持ち上げ、床に落とした」「ある女性は、壁にこんなふうに(首を絞められて)押し付けられた」「カメラに映らないところに連れて行って、床に押さえ込んで膝で押さえつけた」などとと証言。
また、入管職員は2日後、一人ひとりを呼び出して、「仮放免を待っているのなら、許可を与えるつもりはない。それが罰だ」「一生ここに入れておくつもりだ。ここから出る方法は、たった2つしかない。コロナにかかるか、死んで遺体袋の中に入って出るか」と言っていたとも証言しています。
先述のコンゴ人女性は、騒動の後、部屋に帰って服を脱いでいたら、女性職員にビデオ撮影をされていたことに気づき、撮影をやめるように訴えると、男性職員が入ってきて、ビデオ撮影をされた状態で、下着姿のまま懲罰房に連れて行かれ、服は投げ込まれたものの、5日間隔離されたと訴えています。
この件に関して、ヒアリングに出席した出入国管理庁の担当官は、帰室するべき時刻が経過しても帰室拒否をする収容者に対し、被収容者処遇規則第十七条のニに従って「制止等の措置」が執行され、抵抗が激しかった数名に対し、同規則第十八条による「隔離の措置」をとられたと説明。
ヒアリングを主導した石川大我議員は、懇談会を代表して以下3項目を入管に要望しました。
1. 本省の責任において、入管職員側だけでなく、被収容者当事者から事実関係を直接聞き、報告すること
2. 議員が当事者にヒアリングを行う機会を設けること
3. 本懇談会の会員が、当該事案を撮影したビデオを見る機会を設けること
最後に、議員時代から入管問題に取り組んでいた平岡秀夫・元法務大臣が、「撮影されたビデオを見る権限のある人は誰か。本日来ていただいた法務省の4名は、ビデオを見たうえで説明されているのか。どこかで必ず検証されるべき事案なので、当該ビデオの保存期間が切れたとしても、ビデオがなくなることが絶対にないようにしていただきたい」と、申し入れました。