イベント制作・音響・照明などライブ・エンターテイメント業界の技術スタッフとして働くフリーランスや個人事業代表2名と経営者1名が22日、2月から続く休業への補償とイベント再開にむけたガイドライン作成や経費補助などの支援を求める各政党への要請行動を行いました。立憲民主党を代表して、枝野幸男代表と石橋通宏政務調査会会長代行、辻元清美団体交流委員長が要請を受けました。要請行動を紹介した桜井周衆院議員が同席し要請行動の進行を行いました。音響エンジニアで活動の発起人を務める林一郎さんは「私たちはコンサートやライブイベントの現場の人間です。安倍総理の自粛要請で2月から全国でイベント・コンサートが止まっており、現状なんの補償もないので、県に対する陳情を始めた。しかし県は最初、国の自粛要請だと言って答えなかった。そのために国に要請することになった」と経緯を説明。具体的要請として(1)エンタメ業界の技術スタッフへの経済的支援、(2)業界の維持、技術継承・発展のための経済的支援、(3)イベント再開に向けた感染拡大防止のガイドライン作成、(4)コンサート・イベント開催時の感染防止対策に係る経費への補助――を求めました。
枝野代表は冒頭「文化・イベント関係の皆さんがすそ野が広く大変だということで、早い段階から持続化給付金の対象になるよう改善や額の上積みを求めてきた。事業再開ガイドラインは大変難しい課題を抱えているが段階を踏んできめ細かく準備ができるよう作成を求めていきたい。従来から文化・イベント関連予算が文化庁と経産省に分かれて押し問答が続いており困難をかかえていた。音楽や文化にとっては『場』を作ることが決定的に大事であり皆さんにそうした『場』を作っていただけるよう、政府与野党連絡協議会などを活用して頑張りたい」と述べました。
意見交換では「大規模イベントだけでなく、盆踊りや夏祭りなど地域の小さなイベントまで中止されている。場を作ることができないと若いスタッフに技術を教えることもできず現場力が戻らない」と技術継承のためにも再開の目安が必要だと訴えがありました。舞台照明の大手経営者は「3月から6月のイベントがキャンセルで150名の従業員はすべて自宅待機。再開していいよと言われても、イベント実施には3カ月以上の準備が必要で、普段ドームツアーは9月から始まるが、オンラインでは十分な打ち合わせもできず、(指針がないので可能な場なのか分からず)会場押さえもできない。あと何カ月会社がもつかわからない。小池知事は徐々にやりましょうと言うが、こうすればやってよいというガイドラインがなければ対応できない。5万人の東京ドームに2.5万人ではやっていけない。市民会館も全部閉鎖。合唱コンクールもピアノ発表会、吹奏楽コンサートも止まっている。練習してきた生徒たちの発表の場が全部なくなって気持ちの上でも大変な状況がある」と訴えました。
桜井議員を通じて今回の要請を実現したイベント制作の菅一義さんは「これまで大阪・兵庫・三重・奈良・京都・福岡の各府県知事に要請し、昨日、東京都知事にも要請した。東京は50万円の協力金を出しているが対象が休業要請を出している業界に限られている。大阪も同様の制度があったがわれわれが『対象外になっている』と要請した結果、対象外給付金25万円の制度ができた。他県では財源がないといわれてきた。東京は5月7日から2回目の協力金給付を決めたが『アート支援金10万円がある』と言われ対象にされなかった。ガイドラインも大事だがそれまでつなげる何らかの制度が必要。自宅待機の社員がアルバイトしたら補助金でなくなるからダメと言われて困っている。フリーランスは何もない。8月に再開OKといわれてもその後3カ月は準備で収入はない」とフリーランスへの対応を求めました。
石橋議員は「フリーランスの方を持続化給付金の対象にするよう雑所得や給与所得への対応を求めてきた結果、今日の夕方に中小企業庁が会見でフリーランスの方を対象にした仕組みを公表するので活用して欲しい」と応えました。また「自粛が解除され再開して良いと言われてもそこから3カ月は準備が必要。大きなイベントだとリハーサルや練習で持ち出しが続く。皆さんが普通の暮らしにもどってからも3、4カ月は収入がない」と収入が回復するまで業界によって大きな時間差が生じるとの訴えがあり、辻元議員は「今日、超党派の文化振興議連で映画・演劇・ライブハウス関係者と一緒に、文化庁・厚労省・経産省などを呼んで話をした。民間の協力と公的補償を含めて超党派で取り組んでいく」と応えました。最後に大規模イベント再開のきっかけとなるイベントとしてオリンピックを活用できないか、スポンサーが踏み込めるよう公的機関で何らかのイベント打ち出しが検討できないかなどイベント再開にむけた方策について検討して欲しいと協力要請されました。