衆参両院の議院運営委員会で4日、西村経済再生担当大臣が新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の期限を5月6日から31日に延長する方針を報告。これを受け、各党会派の質疑が行われ、衆院では岡島一正議員、参院では石橋通宏議員が質問に立ちました。緊急事態宣言の期間延長は、基本的対処方針等諮問委員会で了承されたことを踏まえ、同日夕に開催予定の政府対策本部での正式決定を前に国会で報告されました(写真上は、質問する岡島議員)。
衆院議運委員会で岡島議員は、安倍総理が4月7日に緊急事態宣言を発出した際に発言した、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせ1カ月後には終息させるという目標を政府が達成できずに今回の延長となったことに、「結果を出せなかった政権自身の政治責任について政府はどう国民に説明するのか」と質問。これに対し西村大臣は、「現在、国民の皆さまの行動変容のご努力によって新規の感染者数は減少傾向にある。一方で、新規感染者の水準や減少のスピードは期待をしていた状況ではないというのが専門家の皆さんの判断だ。国民の皆さまにはご迷惑をおかけするが、終息に向けて、いま一度力を合わせて行動変容に取り組んでいただければということをお願いしたい。この間の国民の皆さまの雇用生活事業を守るために全力を挙げて取り組んでいきたい」と、政権の責任には触れず、国民にさらなる負担を求めるという無責任な答弁に終始しました。
岡島議員はまた、PCR検査について、政府は1日2万件の実施能力を確保したと言うが、実際にの実施数は6千件から8千件と、能力数と実施数のギャップが大きいことを問題視。「医療崩壊を防ぐためだとPCR検査を抑制してきた結果が、院内感染や家庭内感染の広がりだ」と指摘し、今後のPCR検査の拡充計画を尋ねました。さらに、国民は行動自粛をしているにもかかわらず宣言が延長された理由、国民に求める行動自粛の基準とその科学的根拠、緊急事態宣言解除の判断基準、出口戦略についてただしました。
西村大臣は、PCR検査については、専門家会議の提言にもある、保健所の体制強化、あるいは地域外来検査センターのさらなる設置、あるいは防護服の調達・配備に加え、補正予算で手当てした1490億円の緊急包括支援交付金や、PCR検査体制の確保のための49億円等を活用し、2万件の目標に向けて取り組みを加速していきたいと答弁。宣言解除を行う基準については、「直近2、3週間の新規感染者の数、感染経路が特定できていない感染者の比率、そして重篤な重症例に対応できる医療の体制、あるいはPCR検査を迅速に実施できる体制に移行したことを踏まえながら、総合的に判断をしていきたい」などと述べるにとどまり、明確な科学的根拠は示されませんでした。
参院議運委員会での質疑で石橋議員は、(1)国会に安倍総理(対策本部長)が自ら直接、報告・説明に来ない理由(2)安倍総理が緊急事態宣言の延長を判断した時期と、どのような科学的・数学的根拠、専門家の助言に基づいた判断だったのか(3)緊急事態宣言を5月6日までの1カ月で終えることのできなかった理由・原因(4)5月31日までの宣言の延長が全47都道府県で必要とする根拠と、解除の条件(5)事業主や労働者・生活者への休業補償や家賃支援、収入補てんや家計支援の徹底をはじめ、自治体や医療機関等へのさらなる支援が早急に必要であるなか、第二次補正予算の編成方針――について質問。安倍総理が直接国民に説明しない理由について、西村大臣は「私が新型インフルエンザ特措法の責任者あり、私が説明をするということは与野党合意の上だ」と答え、これに対し石橋議員は「私たちは安倍総理がこの場でしっかりと国民の皆さまに説明するべきだと要請した。にもかかわらずそれが実現しなかった甚だ遺憾だ」と述べました。
西村大臣は、(2)から(5)については、4月7日の緊急事態宣言発令は、専門家の提言を受け、オーバーシュート(爆発的感染)を防ぐためのものであり、国民の皆さまの努力によってオーバーシュートすることなく減少傾向に向かい、全国平均での実行再生産数は0.7まで低下をしているものの、そのスピードは期待をしていたほどではなく、特に医療体制はすでに逼迫している状況のなか、このまま手を緩めると厳しいことから、31日までの延長をお願いするものだと説明。政府のこれまでの対応についての総括や、真摯な反省もない従来通りの答弁を繰り返し、宣言解除の条件についても明確な基準は示されませんでした。