参院予算委員会で29日、同日の衆院本会議で可決され、参院に送付された令和2年度(2020年度)予算案が実質審議入りし、立憲・国民.新緑風会・社民から蓮舫、白眞勲、宮沢由佳各議員が質問に立ちました。
蓮舫議員は、(1)専門家会議として緊急事態宣言解除・延長の判断基準(2)個人事業者や中小企業等への支援のあり方(3) 東京都の全相談件数に占める検査実施の報告件数が低い背景や事情のフォローアップの結果――等について取り上げ、安倍総理らの見解をただしました。
蓮舫議員は、質疑のなかで虐待や性暴力の被害に遭った10代女性を支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」が自民党議員の視察を受け入れた際に10代少女へのセクハラ行為があったとして24日、謝罪を求める抗議文をツイッターに公開したことに言及、この事実をどう受け止めるかとただしました。
安倍総理は、この件について報道等により承知していると述べ、「最大限の配慮をすべきであり、大変なご迷惑をおかけしたこと、自民党総裁として申し訳ないと思う」と謝罪の意を表明。
橋本内閣府特命担当大臣(男女共同参画)は、「性暴力の被害者の心情や、その支援現場の状況に対する配慮に欠ける対応だと受け止められる行為はあってはならないこと。今回、まずは各議員自身が深く考えていただく必要があるが、私からは、同僚議員という立場で今回視察された5名の国会議員にそうしたことをお話した。今後こうした問題が起こらないように適切な判断、措置をしていかなければならない。しっかりと説明責任を果たしていきながら、今後こうした支援活動されている団体に対しても適切な支援をするべきだと考えている」と答弁しました。
蓮舫議員が「セクハラを受けたという女の子は、眠れなくなっている。この団体に対しては、ネット等でバッシングが起こっている。どうか、これらの団体にヒアリングをして、ちゃんと手当てをしてほしい」と述べると、橋本大臣は、「この度の視察は党として行われた議員活動の一環であるが、そういった問題が生じたことに関しては、男女共同参画という立場においてしっかりと対応していく必要があると思うのでしっかりとやっていく」と明言。蓮舫議員はさらに、視察をした自民党議員と被害を受けた少女とあいだで発言に齟齬があるとして、安倍総理にも総裁として当該議員に厳重注意をしてほしいと求めたところ、安倍総理は「自民党総裁として大変申し訳ないと申し上げたところだが、私から厳重に注意したい」と答えました。
蓮舫議員はこれに関連して、今回の補正予算案に盛り込まれた、すべての人に対する一律10万円の特別定額給付金の給付について、こうした団体のところにいる少女たちにも必ず届くよう、自治体の窓口や、あるいは相談センターなど、チームで取り組んでもらいたいと要請。また、配偶者らからDV被害を受けて避難している方は、必要な手続きを行えば、いま住んでいる市区町村で受け取ることができるようになっているものの、この申出書の提出期間が4月30日までとなっていることを問題視しました。
高市総務大臣は「加害者の方に被害者の分まで行かないようにと一旦4月30日までに申し出られる人は申し出ていただきたい旨を伝えたが、それを過ぎた後申し出られた場合も、その各市区町村の給付期間、つまり申請の受付が始まってから3カ月の間であれば、ご本人が受け取ることができる」「仮にそれまでの間に加害者の方が二重取りをしてしまったという場合には、しっかりと取り上げさせていただくことになる」と説明。蓮舫議員は、そもそも世帯主支給にするからこうした問題が起き、手続きも複雑になるとして、次回からは個人に着眼した給付のあり方を考えてほしいと訴えました。
蓮舫議員はまた、観光・運輸業、飲食業、イベントなどに関する支援として新型コロナウイルス収束後に地域活性化を図る目的で盛り込まれた「Go To キャンペーン事業」に関し、必要性は一定認めるものの、「今ではない」と批判。今リスクと隣り合わせで働いている医療従事者や介護職員、保育士、自粛要請等により厳しい状況に置かれている事業主や個人、学生などをしっかりと支援をし、収束後には反転攻勢ができるよう、未来図を示すことが政治の責任ではないかと訴えました。
白議員は、(1)WHOと台湾の関係(2)近隣国との連携(3)マスクの流通管理・品質管理、国産化、手作りマスクのガイドライン(4)災害発生時の避難場所の対応(5)新型コロナウイルス感染症にかかる日本銀行の企業金融支援特別オペ(6)中小企業事業者支援手続きの簡素化、地方銀行への窓口一本化――などについて質問しました。
日銀が決定した新型コロナに対応するための企業金融支援特別オペ(1.対象担保範囲を家計債務を含めた民間債務全体への拡大、2.零細企業向け貸出の割合が高い信用金庫や信用組合、農協など、被取引先を系統会員金融機関等に拡大、3.利用残高に相当する当座預金に0.1%の金利を日銀が払う)を白議員は評価。周知するよう黒田日銀総裁に求めました。
こうした地域の金融機関を中心とした取り組みをさらに一歩進め、中小企業事業者に対する支援手続きを簡素化するために、地域金融機関への窓口一本化を提案。申請する中小企業側はワンストップで申請ができ、自治体窓口の業務負担も減り、自治体から窓口となる金融機関に手数料を支払うことで金融機関は手数料収入が得られるとして、三方が丸く収まると説明しました。この提案に、麻生財務大臣も安倍総理も、身近な存在の取引銀行は地銀などだろうから「そういう方向で考えていきたい」と応えました。
宮沢議員は、非常事態宣言下の(1)医療体制(2)妊婦への支援(3)子どもの貧困(4)児童虐待(5)DV(6)小中高校生の学校休校によるメンタル面への影響(7)大学生への支援(8)農林水産業への支援――について質問しました。
友人の娘がコロナウイルス感染症ではないが先日亡くなったことについて、感染を恐れ病院に行かず、体調が悪化したため救急車を呼んだが、感染が疑われ受け入れ先の病院がなかなか見つからなかったことなどを説明。救急搬送がたらい回しになっていることへの対応を求めました。
さらに実情を説明しながら、里帰り出産を予定していたものの移動自粛で近くで新たな病院を探しているが見つからないことへの対応、妊娠を理由に解雇等があった場合の対応、子ども食堂への補助金も含めた支援、特別定額給付金の生活貧困世帯への上乗せ、子育て中の親のストレス等を相談できる体制づくり、児童養護施設や里親のもとで暮らす子どもへの10万円の特別定額給付金の給付、DV被害対策として民間シェルターへの支援、メンタルケアのため教育関連団体との連携強化、授業料を国が補てんするなどの対応などを求めました。
また、農林水産業の関係者と子ども食堂への支援として、農産品を適正価格で買い取り、こども食堂やフードバンクでの活用を検討すべきだと提案しましたが、江藤農水大臣は、国が一括して買い取った場合の保管場所の問題や、適正価格を決定するのが困難だとして、一括買い上げは検討したが難しいと答弁するにとどまりました。
これに対し宮沢議員は、「今こそ美味しい日本の農産物で子どもたちを救う時ではないか」「保管について世界のフードバンクがさまざまな手段でやっているので検討してください」「そもそも日本は食料自給率が低いことが課題」だと訴えました。