2020年4月29日
「一律学費半額を求めるアクション」の学生らが水岡文科部会長に緊急要請
国による一律学費半額と高等教育への予算措置を求める署名運動に取り組んでいる大学生・院生らが29日、立憲民主党の水岡俊一文部科学部会長と国民民主党の城井崇文部科学部門長に緊急要請行動を行いました。「一律学費半額を求めるアクション」の山岸鞠香代表と同署名活動に参加している一橋大学院生、成城大学・帝京大学の学部生、学生アドボカシーグループ「高等教育無償化プロジェクトFREE」事務局長の東洋大学生の5名が参加しました。
一律学費半額を求めるアクション代表の山岸さんは、1万人署名に至る経過を「わたしはチェンジアカデミアという大学院生有志団体で活動している。学費問題については、3月頃からみんなソワソワしていた。4月半ばになって学費の振込用紙が届いたが、いつも通りの金額で何の説明もなく、学生も親も混乱した。そうしたなか、大学に対して減額や説明を求める署名活動が各大学で立ち上がり、最初は4大学くらいだったものがどんどん増えていった。それが活動慣れした学生ではなく、Twitterアカウントで『こういうの初めてなんですけどやってみます』といった人ばかりで、心細さや怖いといった思いがあると分かり、皆をつないでノウハウのシェアなどが出来たら良いと思ってグループになった。LINEグループで126人になったのがこの1週間。それぞれの大学に対して減額や説明を求めていたが、大学院生たちは大学の財布だけではどうにもならないことが解っていたので、これは国に予算を求めるべきだと学部生に伝え、大学ごとの運動だったのを、国に予算を求める署名を作ってまとめた。24日0時から5日と6時間で、10,663名の署名が集まって、親御さんや学生の支持を集めることができた」と説明しました。
一橋大学院生は「大学生たちが声を上げているらしいと山岸さんに声をかけていただいて参加した。多様な学生が試行錯誤で文書を考えているのでその作業をお手伝いしてきた」と語り、要請内容のポイントを説明しました。「国の予算で一律の学費半額化を求めます」としたことについて、「いろいろな状況の学生がいるが、この4、5月に本当に手元にお金が無くなるという危機感を受け止め、どうにか支出を抑えるためには、審査に手間のかかる所得基準がなく、一律にというのが緊急時には有効だと考えた。半額というのは、いろいろな所属、私立や国公立の違い、授業料の内訳、施設費や実習費などに関わりなく、一定の納得度や迅速性を考えた。国立で26万円、私立で50万円が学費の半額だが、それが4月、5月の支出から除かれることで安心して大学に在籍できることになる」と述べました。また、「大学への予算措置を求めます」との要請については、「大学もオンライン授業(の実施)など教職員も疲弊しながら奮闘している。大学に減免を求める声が上がっているが、国の無策によって大学に矛先が向くのはおかしいと考え、国の予算措置を求めた」と説明しました。
帝京大学の学部生は「アルバイト代や奨学金で学費を賄っている学生は多いが、休業手当がでないバイト先が多い。手当が出ても想定以上に給付額は少なく、時給500円程度で手取りが大きく減っている。下宿生は家賃の支払いもあり、収入が減っても支出は減らない。私は看護学科なので、オンライン授業が行われても、実習がなければ就職した際に大丈夫かという不安がある。大学vs学生の対立構図とならないよう国が予算を組んでほしい」と訴えました。
成城大学の学部生は「大学に学費や寄付金などの金銭的な減額を求める要望書を提出した。最初はコロナで普段と同じ授業がなされないのに何故同じ授業料なんだろうと疑問を感じていた。しかし先生や大学職員と話をするなかで大学の事情も解ってきて、政府からの支えが大学にとって重要であることが解った。私は大学の事情も解ったが、ほとんどの学生はそうしたことは知らない。大学と学生の対立を避けるために、国からの支援や説明が必要だ。そうした対話の場としてこのアクションを活用したい」と述べました。高等教育無償化プロジェクトFREEからは、4月に行った実態調査の特徴と緊急提言が説明されました。
意見交換では、「アルバイトで授業料や生活費を賄っている学生は多いが、アルバイトが無くなったのは大学生だけではない。ただ他の職種の方には補償があるが、学生は抜けている。個人の学生に給付を行おうとすると口座登録など手間がかかる。学費は学生にだけ掛かっている固定費なので、学費が年間50~100万円だとすると、月々5~10万円固定費があり、学費を国が負担する予算をつければ、大学が学生から学費をとらずに済み、学生の負担が減る現実的な方法だ」と学費半額の理由が説明されました。また持続化給付金の拡充という野党の提案について「全国360万人の大学生・院生・専門学生に20万配ると7200億円かかるが、大学独自には7億円しかない。5月になると食費に困る学生も出てくる。補正予算に入るのか」との質問も出されました。
水岡部会長は「持続化給付金や住宅確保給付金という今ある制度や補正予算で組まれた制度を学生にも適用できないか、という考えで予算委員会で要求している。文科省以外の経産省などの事業が多く、楽観視できない状況だ。申請による給付でなく、学生だけにかかる固定費を減らすというのは学生にとって意味があるし、現在の制度の問題や手続きのなかで、明快で簡便、意味のある主張だと思う」と応えました。城井部門長は「他省庁の施策についても文科省として拡充を働きかけるよう要請している。昨日の文科大臣への申し入れでも、学費の減免・猶予に加え、施設整備費の扱い、奨学金の拡充を要請した。実習の扱いについては、国の対応とともに議員立法を含めて考えなければならない。オンライン学習にかかる通信費についても事業者の対応を求めている」と応えました。水岡部会長はまとめで「皆さんの協力を得ながら、今後も現場の具体的な声をうかがい施策に活かしていきたい」と呼びかけました。