国連で27日から予定されていた核不拡散条約(NPT)再検討会議が、コロナウイルス感染症の影響で延期になったことを受け、29日、NGOが「オンライン NPT再検討会議 2020」を開催。長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授の中村桂子さん、NGOネットワーク・ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)国際運営委員の川崎哲さん、日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳さんおよび木戸季市さん、ピースボートの畠山澄子さんをはじめ、多くの専門家、市民、若者が、核軍縮のいまとこれからについて語りました。立憲民主党からは、福山哲郎幹事長が発言をしました。
中村さんは、「現在、近代的核兵器への総とりかえ、使いやすい『低威力』核弾頭を含む新型核兵器の開発と配備など、(今後)50年、100年は核兵器のある世界を続けていく計画が着々と進んでいる」と懸念を表明。「今は安全保障環境があまりに悪く、核軍縮を進める環境にない」とする米国の新イニシアティブ「核軍縮のための環境づくり(CEND)」の主張に関し、「そもそも核軍縮はNPTの義務。また、核兵器にしがみついて軍拡を進めている核保有国の姿勢そのものが、安全保障環境を悪化させているという、根本的な矛盾に触れていない」と指摘しました。また、日本が橋渡しをするにあたっても、どこへ向かうかという姿勢を明確に示すべきだと主張しました。
福山幹事長は、オバマ大統領のプラハ演説を受けて核軍縮の気運が高まった2010年の国連NPT再検討会議に、日本政府代表として出席した経験に言及。「わずか10年で、これほど世界情勢が逆方向に行くのは、やはり国際社会の怖さ。唯一の希望の光は、核兵器禁止条約ができたこと」だと述べ、「問題の鍵を握るのは、核抑止論を乗り越えて、なんとか核軍縮への道を作ろうとする世論や市民社会のうねり。日本の国会でも、核兵器禁止条約署名に向けての条件はどのようなものか、締約国会議が開かれることになったときに、日本はどういう形でオブザーバー参加できるのか、議論をするべき」と語りました。