日本私鉄労働組合総連合会(田野辺耕一中央執行委員長)は21日午後、民間バス事業における新型コロナウイルス感染症対策について、枝野幸男代表に緊急申し入れを行いました。私鉄総連から田野辺委員長、池之谷潤交通政策局長、宮崎功一政治政策局長が参加し、組織内議員の森屋隆参院議員、辻元清美衆院議員が同席しました。

 田野辺委員長は「公共交通である私鉄は移動のための公共インフラで、総理も止めないと発言したが、そのための支援策や対応策は打ち出していない。現場は人と接して仕事をしている。しかしマスクも消毒液もまったく足りない。感染リスクを感じながら日々働いている。学校休校やテレワークで定期券の払い戻しが増え、高速バスや空港線の旅客減少で地方の運賃収入は激減している。車内消毒の経費も膨らんでおり、いつ資金ショートしてもおかしくない。感染終息が見込めない中で、事業の縮小や廃止に伴う雇止めが懸念される。私鉄総連には関連事業で働く組合員も多く、コロナ終息後の観光振興策や公共交通利用促進も必要だ」と現状を説明しました。

 その上で、具体的対応がただちに求められる課題として池之谷局長は「バス運転士の感染を避けるために、コンビニのように座席との間にビニールシートを垂らしたり、運転席のすぐ後ろの座席を使用禁止にして距離を取りたいが、運輸局の判断がすぐに出ない。乗客の皆さんの理解と協力を得るためにも、国の明確な姿勢が必要だ。観光貸切や高速乗合バス・空港線は売上が95%減っている。事業者に対する緊急支援がないと立ち行かない」と訴えました。

 枝野代表は「交通インフラを支える皆さんは、医療や介護と同様に欠くことができない仕事をしておられ、感染防止のための施策は絶対に必要だ。ビニールシートや座席の使用禁止はすぐに国交省に働きかけたい。資金ショートが起こりかねないという話は深刻で、地方交通や経済活動を支えているバス事業者を存続させるために、地方金融機関を巻き込んだ資金繰り支援が必要だ。地方交通を守るための基金を設置するなど、国が財政支援をすることも含め、第2次補正予算での対応を検討したい」と応えました。党団体交流委員長を務める辻元議員は「党対策本部や共同会派の合同対策本部、超党派議連でも取り組みを進め、与党にも働きかけていく。国土交通省の第2次補正に向けた対応を求めていく」と決意を語りました。