立憲民主党の障がい者・難病プロジェクト・チーム(PT)は17日、役員会を開催し、3月末に新型コロナウイルスの集団感染が確認された知的障がい者の支援施設「北総育成園」(千葉・東庄町)の状況について、運営する「社会福祉法人さざんか会」(千葉・船橋市)理事の泉一成さんと、以前からサポートをしている立憲民主党所属で船橋市議会議員の津曲俊明さんからウェブ会議の形式で、厚生労働省の出席のもと、ヒアリングを行いました。党からは、座長の山花郁夫衆院議員、事務局長の早稲田夕季衆院議員、道下大樹衆院議員、牧山ひろえ参院議員が参加しました(写真上は、ウェブ会議画面。左下は津曲市議、右下は泉さん)。
PT幹事の道下議員は10日、枝野幸男代表とともに泉さんと津曲さんからウェブ会議で施設の状況を聞き意見交換を行いました。その話を受け、今回のヒアリングは行われました。
北総育成園では感染防止対策を2月から強化したにも関わらず、17日現在、入所者70名のうち57名、職員数67名のうち40名、その家族も含め117名まで拡大。今なお感染ルートは解明されていない状況です。
「さざんか会」は3月末に「北総育成園」で集団感染が確認されて以降、運営している船橋市内の複数の障がい者支援施設の一部を事業縮小し応援スタッフを手配していますが、十分な職員派遣はできず、また感染拡大の恐れもあることから、深刻な人手不足に陥っています。
県と市に支援要請を行い、県からは「人的応援はできない、物的支援はできる」として昼夜の弁当と飲み物の提供、船橋市からは職員2名が、また医師と看護師が派遣されています。
また、入所施設の従業員や資格保有者などから応援に行きたいという申し出があるものの、その家族や勤務先が心配しストップがかかったり、感染源がいまだに不明ということから、受け入れが困難な状況がつついています。
さらに、発生当時は報道があったものの、その後の経緯や状況についてはあまり報道されていないことから、入所者や職員・家族、さざんか会に対して、いわれなのない差別や誹謗中傷の電話やメールが相次いでおり、現場の苦労に追い打ちをかけるような状況に職員の方々から「心が折れそうだ」という切実な声もあがっています。
こうした状況の説明が行われた後、政府に対し次の要望を行いました。
(1)人的支援
一部地域で発足している、障がい者や入所施設の現場などを理解し、経験豊富な社会福祉士等の専門家、有資格者を派遣するDWAT(災害派遣福祉チーム:Disaster Welfare Assistance Team)を発足させ、今回のような場面で広域的に支援を行ってもらいたい。(2)施設と地方自治体間の連携の円滑化に向けた国の関与
入所施設設置者である船橋市と、感染症対策を所管する都道府県とのさらなる情報共有と連携が不可欠。施設支援に向け、都道府県と市町村間の連携が円滑に進むよう国には積極的に関与してもらいたい。(3)現場実態の共有と発信・記録、活用
集団感染した障がい者入所施設の状況を共有し発信するとともに、記録として後世に残すことで、この経験を生かし、今後の施策に反映してもらいたい。
また、情報発信することで、マスコミが取り上げ、支援の輪がさらに広がるとともに、情報が少ないことにより発生する差別や誹謗中傷を減らすことにつながる。
泉さんからは、さらに「ぜひ全国の施設に向けて、食事を摂る時のテーブルの座り方として、対面で食べないようにという指示を出していただきたい。例えば4人ずつ座るときに向かい合って座らずW字など、飛沫感染しないような対応をするよう発出してもらいたい」との指摘がありました。
そして「再開した後に、同じような批判めいたことが起きないように風評被害を抑制する意味でも、また地元の人が今までと同じように作品や製造したパンやジャムを購入していただきたいので、市・県・国が一体となって購入支援や、安全だと発信してもらいたい」との訴えがありました。
津曲さんからは、「情報公開と個人情報の保護は非常に難しいが、自治体も事業者もどこまで情報を開示して良いのか手探りでやっている。ガイドラインまでは難しいでしょうが、Q&Aや事例集といったものを作ることで、差別や偏見の解消にもつながるので検討してもらいたい」との話がありました。