2020年4月7日
コロナ対策に子どもの貧困の視点を~子ども・子育てPT
子ども・子育てプロジェクトチーム(PT)は7日、国会内で会議を開き、新型コロナ感染拡大対策で困窮する子ども世帯への臨時給付金要望について、政府と関係団体からヒアリングを行いました。
子どもの貧困問題に取り組むNPO法人・キッズドアの渡辺由美子理事長は、「収入が住民税の非課税水準以下に落ち込んだ世帯や、収入が5割程度急減した世帯に現金30万円を支給する」「児童手当に1万円上乗せする(1回限り)」という政府案に対し、「新型コロナウイルス以前から低所得(非課税等)で、休校でも子どもに我慢をさせて無理をして仕事をした子育て家庭が、支給の対象からはずれてしまう」「 世帯単位の支給では、子どもが多い家庭は一人当たりの支給額が少なくなる」「 児童手当への上乗せ額が1万円ではあまりにも少なすぎ。3~5万円にして、子育て家庭に必要な支援が行くようにするべき」等、問題点を指摘。その上で、(1)児童手当でカバーできない高校生のいる家庭の経済支援(2)オンライン授業のために低所得世帯へのインターネット通信料の政府負担(3)低所得家庭向けの学習支援や居場所事業の拡充――を要請しました。
公益財団法人あすのばの小河光治代表理事は、(1)大学生・専門学校生の進学断念・中退をゼロにするために、高等教育無償化制度の緊急対応を柔軟にすること(2)高校生の中退をゼロにするために、高校生等奨学給付金(住民税非課税・生活保護世帯)に早急に3万円の上乗せ支給の実施(3)入学時納付金の納入延長の措置――等の対策を提案しました。
内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議の構成員でもある末富芳・日本大学文理学部教授は、「イギリスでは、一斉休校が決まっても、医療・介護従事者、警察、消防、保育士さんなどの家庭や、児童虐待が認められるなどの要支援家庭の子は学校に受け入れる。学校給食を出せないときは、学校が食べ物を買えるカードを配布する」と述べ、イギリス政府は、子どもや若者の命を守る取り組みをした上で一斉休校を決定したと紹介。他方、わが国の一斉休校は、授業日数をどう確保するかを一生懸命計算しているとして、「教育委員会や文科省は、給食がないと食事を食べられない子がいるということを考えているのか。子どもの命をつなぐために1万円の児童手当で済むとは思わない」と訴えました。
結びにあたって阿部知子座長は、「内閣府は、子ども・子育て支援を大きな柱の1つにしている。将来をどう担保するかを大切に考えている国では、子どもに手厚い。コロナ対策に子どもの貧困の視点をしっかり入れるよう、内閣府が主体的に動いて対策を進めていただきたい」と述べました。